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ITの取材現場からインサイトを伝える「エンプラ」編集長ブログ

アイティメディアはちょうど3年前の今日、ブログを活用した新たな情報発信サイトとして「オルタナティブ・ブログ」を開設しました。「もう3年も経ったのかぁ」というのが正直な思いです。

おかげさまを持ちまして、ブロガー数はゆうに150を超え、月間のページビューも100万を超える規模となっています。この場を借りてお礼申し上げたいと思います。

さて、この3年のあいだ、ブロガーの位置づけは大きく変わりました。個人でも簡単に日記風の記事ページが作成でき、コメントやトラックバックによってコミュニケーション機能も備えるブログは、個人を主体とした情報発信を牽引してきましたが、中にはメディアに属さずとも多くの読者の信頼を勝ち得た著名ブロガーも現れています。むしろ、商業メディアに属さないゆえの自由な視点が評価されているのかもしれません。

また、米国のITイベントにおいては、プレスやアナリストとほぼ同等の取材機会がブロガーにも与えらるようになってきました。記者会見への参加はもちろん、プレスセンターも利用できるようになっています。こうした流れが止まることはないでしょう。

3年前の開設時、「オルタナティブ・ブログの開設によって、新しい情報発信の在り方を積極的に支援するとともに、読者との新しいコミュニケーションを模索していきます」と謳ったのですが、今となっては「余計なお世話だ」という声も聞こえてきそうです。

開設時にブロガーとしても参画した私はといえば、つい最近までは休眠が長く続き、一念発起で数カ月前から再びエントリーを始めたのですが、それもまた滞りがち。「e-Day」というブログタイトルを付けたのを今さらながら後悔しています。

これを機会に「ほぼ毎日更新」を宣言したいのですが、「Web 0.8」の私には無理だろうなぁ。

ともあれ、ブロガーや読者のみなさんにこの3年のお礼をお伝えし、5年後、そして10年後もオルタナティブ・ブログを変わらずに支えていただけるようスタッフと一緒に取り組んでいきたいと思っています。

ありがとうございます。そして、頑張ります。

              ITmedia エンタープライズ編集長 浅井英二

e-あさい

雨がちだった4月が、年度初めの慌ただしさもあってか、あっと言う間に終わりました。黄金週間後半からは気温もグンと上がってきそうです。

黄金週間前にはカリフォルニア州サンフランシスコで「Web2.0 EXPO San Francisco」が行われ、幾つかニュースがありました。中でも、目玉はMicrosoftが「Live Mesh」を披露したことでしょう。5月5日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではこの話題を取り上げてみました。

Microsoftは4月23日、かねてから予告したとおり、Web2.0 Expoで、同社の新たなファイル同期化フレームワークであるLive Meshを初めてデモしました。

Live Meshの本質は、パソコンとさまざまなデジタルデバイスをシンクロさせ、情報を最新の状態に保つことができる技術です。同社は、パソコンとデジタルデバイスを相互に認識し合えるようにし、サービスも付加していく「Software plus Service」戦略を掲げており、Live Meshは、その構想に対応するプラットフォームといえます。

最近のデジタルデバイスは、その多くが初めからインターネットへの接続機能を備えるようになってきましたが、デバイス同士が連携する、ということを意識しているものはごく稀です。

Live Meshは、ネットワークやパソコンを媒介とし、デジタルデバイスが相互に連携できるようにしてくれると考えればいいでしょう。

Web2.0 Expoでは、Live Meshの機能の一部を紹介するビデオも見せています。そのビデオは、母親が携帯電話で息子の写真を撮ると、離れた場所にあるパソコンや、空港でフライトを待つ父親の携帯端末などと自動的に同期化し、写真が表示されるという筋立てだったといいます。

現在、Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクトを務めるのは、かつて、ピアツーピアでデータを同期化する技術をベースとしてNotesを生み出したレイ・オジー氏です。やはり似ていませんか? わたしは脈々と同じ考え方が受け継がれているのを感じます。

ただし、同じカンファレンスでO'Reilly Mediaの創立者であるティム・オライリー氏が、「Windowデバイスしかサポートしていないのに、そこまでの体験が得られるだろうか」とやんわりと釘を刺しています。

インターネットという巨大なメッシュでは、共通のものが求められます。Microsoftは近い将来、サポートを拡大するとしていますが、急ぐべきでしょう。サブセットを生み出しても、淘汰されてしまうのは歴史が証明しています。

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この週末、強くなった日差しでもう日焼けしている人がいるかもしれません。明けた月曜日のきょう、桜吹雪の中、多くの学校が始業式を迎えています。日本の多くの企業も本格的な新年度の始まりです。

新年度といえば、新たな気持ちで……のはずですが、ここのところ、景気の先行きも不透明、なかなか意気が揚がりません。さらに4月から新年度入りした上場企業やそのグループ会社では、いよいよJ-SOX法の適用も始まりました。4月7日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではこの話題を取り上げてみました。

監査法人トーマツは3月下旬、企業の内部統制報告制度の対応状況について、昨年末から今年初めにかけて調査を実施し、292社から回答を得た結果を発表しました。それによると、進ちょく状況が依然として「文書化実施」段階にあると回答した企業が42.5%に上っていることが分かりました。

この4月から新年度に入った上場企業は、適正な財務諸表に加え、内部統制が有効であると経営者が主張する、つまり、内部統制の有効性を経営者が自己評価する「内部統制報告書」の提出が求められることになりました。

年度の始まりが4月ではない企業は、少しだけ余裕があるわけですが、監査法人トーマツの調査結果からは、それにしても遅れている、という印象を受けました。

J-SOX法は「黒船来襲」?

J-SOX法の大きな目的は、財務諸表の信頼性を高めることです。そこでは、事業を遂行していくためのプロセスを広範囲に洗い出し、「伝票を間違って2枚書いてしまう」とか、「簡単に在庫を持ち出せてしまう」といったリスクを減らすことによって、財務諸表の品質をコントロールしていくことが求められます。

「文書化」というのは、業務プロセスを洗い出し、どこにリスクが存在するのかを把握し、対応する社内チェックなどを表にまとめる段階です。

調査結果によると、上場企業の4割強がまだこの段階にあり、さらに市場別に内訳を見ると、東証や大証の上場企業の多くが次の段階である「評価実施」や「外部監査」に移っているのに対して、新興市場の上場企業では、半数が「文書化」に留まっているほか、その前段階にあたる「対応準備段階」とした企業も1/4に達しています。新しい制度に戸惑っている実態が浮き彫りになった格好です。

企業は資金の調達を市場に求める以上、適正な財務諸表を公表することが必須となります。「J-SOX法は日本企業の競争力を削ぐ米国の陰謀」との見方も一部にはあります。しかし、日本においてもカネボウやライブドアなどの不正会計事件が相次ぎました。前者の事件では、監査法人の雄、中央青山監査法人を前身とするみすず監査法人が解散に追い込まれたことも記憶に新しいと思います。決して「黒船来襲」などではありません。

内部統制の構築は、企業グループ全体のガバナンスを高め、業務の「見える化」と「標準化」および「統合化」を進めることにより、過去の負の遺産を自浄し、グローバル競争に勝ち抜くためのコスト削減と意思決定の迅速化を実現する好機となるのではないでしょうか。

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データウェアハウスソリューションの日本テラデータが3月上旬、日本NCRからの分社化後、初めてとなる年次カンファレンス「Teradata Universe Tokyo」を都内のホテルで開催し、「ニッポン企業の知力向上」を支援し、その競争力強化に貢献していくことを改めて強調しました。3月17日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではこの話題を取り上げてみました。

1970年代の終わり、ロサンゼルス有数のヨットハーバーで知られるマリーナ・デル・レイのガレージから産声を上げたのがTeradataです。データベースの処理に特化した専用の並列処理コンピュータを開発し、のちにNCRに買収されました。現在、HPのCEOを務めるマーク・ハード氏が頭角を現したのも、今から10年ほど前のNCR時代にテラデータ部門を率い、その事業を大きく伸ばしたあたりからです。わたしも、2002年にNCRの社長兼COOに昇格したハード氏にインタビューしたことがありました(当時はまだソフトバンクZDNetでしたが……)。

ハードウェアの大半がコモディティー化する中、専用サーバを必要とする同社のTeradata Warehouseソリューションは奇異な存在に映るかもしれませんが、複数のコンピュータをつなぐために自社開発した相互接続機構である「BYNET」は、高い性能と信頼性を確保するために欠かせないものだと同社は主張しています。

マーク・ハード氏とともにCTOとしてteradata事業の成長をリードしてきたスティーブン・ブロブスト氏は、「いずれBYNETもコモディティー化するだろうが、それでも決して他社には真似できないソフトウェアがある」と話しています。

Teradata Warehouseの優位性は、技術的な話はともかくとして、多くのユーザー事例が雄弁に物語っています。

日本でも4大メガバンクがすべてTeradataのユーザーであるほか、百貨店トップ20社のうち6割がやはりTeradataを活用し、顧客の購買行動を分析するなどして、国内消費が先細る淘汰の時代にあっても競争力を高めようとしています。

同社が提唱するのは、経営者から現場の担当者に至るまで、一貫性のある鮮度の高い情報を日常業務の中で生かすことができる「アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンス」です。これを実現するためには、さまざまな業務系システムと情報系システムの垣根を取り払ってデータを一元化する必要があり、並大抵のデータベースやソリューションでは難しいと考えられています。

ビジネスを丸ごとデータ視点で表現

ブロブストCTOは、テラデータが長年培ってきた、業界ごとのデータモデルを提供できることも同社のソリューションの強みとして挙げます。このデータモデルは、業界ごとに典型的なビジネスが、データという視点から丸ごと表現されているもので、特定の技術に依存していません。ユーザー企業は、これを「ブループリント」、つまり設計図として活用し、自社のビジネスに合わせて詳細設計したり、拡張しながら効率良く全社の情報を管理していけます。

情報システムが部門ごとに最適化されてしまっている日本の多くの企業では、部門ごとに出てくる数字が違う、ということがしばしばあります。ようやく製品マスターや顧客マスターの統合に目を向け、取り組みを始めている企業もありますが、個別に始めてもアナーキーな状態を助長するだけだとブロブスト氏は指摘します。

SOAによるシステム構築のアプローチも、データのサービス化なしには実現できません。

突き詰めていくと、部分最適から全体最適への壁を越えられるか、という日本企業の運営システムが抱える課題にたどりつきそうです。

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三菱東京UFJ銀行が2月下旬、都内でシステム統合に関する記者説明会を行いました。金融機関が、社内のITプロジェクトの進ちょく状況を記者向けに説明するのは前代未聞です。3月3日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではこの話題を取り上げてみました。

銀行再編の中、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して生まれたのが、現在の三菱東京UFJ銀行です。2006年1月の合併と同時に第1段階のシステム統合を実施しましたが、預金や為替、融資、外為、インターネットバンキングといった国内の主なシステムは、並存して運用されてきました。ちなみに、三菱東京UFJ銀行の店舗に行くと、入り口などに「四角」か「丸」の印が表示され、元はどちらの銀行だったか分かるようになっています。これらを今年5月から一本化していくのが、第2段階のシステム統合になります。

具体的には、今年初めまでに将来の業容拡大を睨んだインフラの増強を終え、5月にそれまでUFJ銀行だけで提供されてきた機能を旧東京三菱銀行の全店に追加します。そして仕上げとして、7月から12月にかけ、計5回に分けて旧UFJ銀行の店舗システムを入れ替えていきます。計画策定から2年半、サブシステム数が200を超え、システム投資も2500億円を投じた、まさに巨大プロジェクトです。

ITが社会インフラ化する中、その不具合が多くの人たちの日常生活にも大きな影響を及ぼすようになっていますが、システム障害による混乱は後を絶ちません。金融機関が、社内のITプロジェクトの進ちょく状況を記者向けに説明するのは前代未聞ですが、事務・システム部門長を務める原沢隆三郎常務は、「社会的な影響が大きいため、説明責任を果たしたい」と話しています。

11万人月を要し、ピーク時には6000人がかかわる現場を預かる根本武彦システム部長は、100人を超える記者を前に、約1時間にわたってリスクとそれを抑え込むためのプロジェクト管理体系やプロセスを説明しました。入念なリスク分析と評価、そして再三のテストを計画通りに進めてきたものの、「念には念を入れているが、品質のことだから最後まで分からない」と気を抜けない心境も話しています。

テストは、単体テストや結合テストを終え、本番リリースに向けた全体品質の最終確認に入っていますが、それぞれの段階ごとに完了規準を明確化し、業務部門の担当役員から銀行の取締役会、持株会社の取締役会まで巻き込んだ合計で11回の上る移行判定が予定されています。

根本氏は、「進ちょくは計画通り。8合目まできた。運転免許でいえば、路上講習に入ったところ」と説明しましたが、「九分九厘をもって半ばとし、これからもコツコツと努力を継続したい」と、現場を引き締めるメッセージも忘れませんでした。

プロジェクトが完遂できれば、並存していたシステムを一本化することによるコスト削減効果はもちろん、顧客サービスの向上というシナジーも生まれます。そして、それ以上に、根本氏は、「巨大プロジェクトは人を育てる。これは今後、われわれの大きな財産になる」と、メリットを強調していました。

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2月初め、業界を揺るがせたMicrosoftのYahoo!買収提案が、新たな展開を見せています。2月18日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではこの話題を取り上げてみました。

静観を決め込んでいた買収王、ルパート・マードック氏率いるメディアコングロマリットのNews Corporationが13日になって動きを見せました。傘下のSNS最大手であるMySpaceをYahoo!に統合させ、20%程度の株式を取得する交渉に乗り出したのです。

Microsoftよる買収提案が明らかになるや、Googleのエリック・シュミット会長がYahoo!のジェリー・ヤンCEOに支援を申し出るなど、まさに「敵の敵は味方」的な動きが報じられています。

合従連衡に走るダイナミズム感じますし、今回の騒動には幾つもの伏線があり、それも興味深いところです。

先ず、Microsoftは、2006年にもYahoo!と合併の可能性を探って交渉したこともあり、むしろ、満を持して買収交渉が始まったとみるべきでしょう。2007年に400億ドルだったオンライン広告市場は2010年には800億ドルに膨れ上がるとみられています。これをただ指をくわえて見ているわけにはいきません。特に大きな伸びが見込まれている検索連動型広告市場は約75%をGoogleに握られており、やられっぱなしです。

インターネット企業の先駆者であるYahoo!も、最近はいいところがありません。昨年6月、創業者のジェリー・ヤン氏がCEOとして再登板しましたが、独走するGoogleに対して効果的な手が打てずにいます。1月末、第4四半期の利益が大きく減少したことを報告、1000人規模のレイオフに踏み切ることも明らかにしたばかりでした。株価も、5年前の水準である20ドルまで下落していました。

一方、破竹の勢いのGoogleも、1月末に発表された第4四半期決算が、初めてウォールストリートの期待を裏切っています。Microsoftの買収提案は、まさに「絶妙のタイミング」といえるでしょう。

後から手を挙げたように見えるNews Corporationも実は2006年から事業統合を検討してきたのです。

魅力的なサービスはどの組み合わせから?

ただし、ユーザーにとってはオンライン広告のビジネスは関係ありません。今回の買収提案でいえば、むしろ、Yahoo!が社内や社外に築いてきた優れた開発チームこそが重要な資産ということになります。どの組み合わせから、最も魅力的なサービスを生まれてくるのでしょうか。

依然として最有力候補であるMicrosoftは、開発者に対するサポートでは定評のあります。インターネットに精通した開発チームを受け継ぎ、引き続きサポートしていけば、魅力的なサービスが生まれてくるはずです。

Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは、Yahoo!買収の成否にかかわらず、Googleに対抗していくには、検索広告事業の規模拡大と研究開発の強化が必要だと話しています。彼はまた、新たな収益の機会を求めて、自社のすべての製品を「SaaS」として提供する計画も改めて強調しました。Yahoo!を買収することで、そうした流れが加速することは間違いありません。

みなさんにとってはどの組み合わせが魅力的でしょうか?

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日曜日は未明からしんしんと雪が舞い、久々の積雪となりました。週明けの朝もなかなか気温が上がらず、底冷えします。NFLスーパーボールの生中継を暖かい部屋でゆっくりと楽しみたいところですが、そうもいかず、残った雪が凍りついた道を取材先に向かいます。

寒さといえば、1月下旬の米国もかなり寒かったです。フロリダ州オーランドまで「Lotusphere 2008」の取材に出掛けたのですが、やはり米国の天候をナメてはいけません。乗り継ぎのシカゴが極寒だったのは覚悟してましたが、フロリダ半島の付け根にあるオーランドまでが零下になるとは……。リバーサイドで行われたカンファレンスのウェルカムパーティーも寒さに耐えきれず、すぐに部屋に退散してしまいました。「フロリダだから」と薄着で出掛け、大失敗でした。

それでも、マーチン・ルーサー・キング・デーの1月21日、カンファレンスが初日を迎えると、ようやく寒さも緩み、フロリダらしいキラキラした太陽の光が注ぎ始めました。「Hannover」のコードネームで開発が続けられてきたNotes 8が昨年、出荷されたこともあって、今年のLotusphereは目新しいニュースのネタには乏しいとみられていましたが、蓋を開けてみると、「Lotus Sametime」の10周年や、中堅および中小企業市場をターゲットにした、いわゆるDominoアプライアンスサーバである「Lotus Foundations」、同社初となるSaaS、「Bluehouse」も披露するなど、盛りだくさんの内容となりました。2月4日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではSametimeの10周年を取り上げてみました。

リアルタイムコラボレーションのためのプラットフォーム

Sametimeは、簡単に言ってしまえば、リアルタイムコラボレーションのためのプラットフォームであり、分かりやすい例としては、インスタントメッセージングなどの機能があります。

その誕生は、1998年5月に実施された2つの会社の買収まで遡ります。Lotusは既にIBMの傘下にあったものの、まだ独立した子会社として活動していたころです。奇しくも5月19日という同じ日に、Lotusは、Webカンファレンス製品のベンダーだったケンタッキー州レキシントンのDataBeamと、インスタントメッセージングベンダーだったイスラエルのUbique(ユビーク)を買収しました。

既にコラボレーションのリーダーとしてその地位を確立していたNotes/Dominoでしたが、「すぐに専門家の意見を仰いで顧客の問題を解決したい」といったリアルタイム性には欠けていました。Notes/Dominoを補完し、より幅広い企業のコラボレーションのスタイルをセキュアな環境で支援するのがSametimeの狙いだったのです。

あれから10年の歳月が流れ、Sametime 8.0は音声やビデオも統合し、統一されたユーザー体験によってリアルタイムのコラボレーションを促進できる「ユニファイド・コミュニケーション&コラボレーション」のプラットフォームとして進化を遂げています。その進化は、VoIPの普及と歩調を合わせており、コンピュータと通信の融合で生まれつつある、新たな市場をターゲットとしています。

IBMはまた、オープンかつ拡張可能なソフトウェアプラットフォームとして開発を進めることに努め、エコシステムを構築することにも成功しました。Arcatel、Avaya、Cisco、Nortel、Simence、および3Comといった名だたる通信機器メーカーがパートナーに名を連ねているほか、今回のLotusphereでは、EricssonとNECが新たに名乗りを上げました。

コンシューマー向けのインターネット企業がさまざまなインスタントメッセージングサービスやIP電話サービスを無償で提供していますが、セキュリティやコンプライアンスの観点からも、また、統一されたユーザー体験の観点からも、Sametimeの右に出るものはありません。ターゲットも違えば、ビジネスモデルも違うのです。何よりもフォーチュン50のうち29社、トップ15の銀行のうち12行が採用していることが、それらを雄弁に語っています。

コミュニティー機能も追加

次の10年に向けた拡張も着々と進められています。

今年上半期に出荷が計画されているSametime Advancedは、新たにコミュニティー機能を盛り込み、コラボレーションの在り方を再び大きく拡張しています。これまでのSametimeが、知っている人同士のコラボレーションを支援するのに留まっていたのに対して、Advancedでは、専門知識を持つコミュニティーや専門家を探し出し、すぐに連絡を取ることができるようになります。

また、今年下半期に登場するSametime Unified Telephonyは、電話によるコミュニケーションをすべてSametimeから管理できるようにしてくれます。席に居るときはPCで着信し、外出すれば携帯電話で着信する、といった具合です。いわゆる「フォローミー」の機能をSametimeでマネージできるわけです。カレンダーでミーティングが設定されていれば、ボイスメールに切り替えることもできます。これらの設定は、条件とデバイスのルールを定義することで簡単に行えます。

かつては、Notes/Dominoの補完、として買収された技術から生まれたSametimeですが、新たなカテゴリーを切り開き始めています。

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前回のエントリーで展望した子年のITトレンドのうちのひとつ、「M&Aのさらなる加速」が、年明けわずか2週間で現実となりました。

米国時間の1月16日に伝えられたOracleによる大型買収です。巧みな買収戦略で成長を遂げてきたBEA Systemsですが、ミドルウェア市場の成熟が進む中、Oracleの傘下に入ることを決めました。OracleがBEAの株式を1株19.375ドルの現金で買い取る形で行われ、買収総額は約85億ドルに達します。「17ドル以上はビタ一文払わない」と凄んでいたOracleですが、BEAが主張する21ドルに歩み寄った格好です。

昨年秋のSAPによるBusiness Objectsの買収(48億ユーロ、約8000億円)やIBMによるCognosの買収(約50億ドル)がまだ記憶に新しいのですが、今回の合意は、業界再編を象徴する大型買収と言っていいでしょう。1月21日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」でも取り上げてみました。

巧みな買収戦略でブルーオーシャンを航海したBEA

BEAが産声を上げたのは1995年。ミドルウェアの会社を立ち上げるべく、NovellからOLTPモニタのTuxedoを買収したのが始まりでした。当時、Sun Microsystemsで働いていたアルフレッド・チュアングCEOも共同創設者として参画しました。ちなみにBEAの「A」は、彼のファーストネーム、アルフレッドの頭文字です。

3年後の1998年にはWebLogicの買収によってアプリケーションサーバ分野に大きく舵を切り、見事にJ2EEサーバのパイオニアとして成功を収めました。買収によって礎をつくり、そしてまた買収によって獲得した人材や資産をうまく次の事業の柱としてきたチュアング氏の経営手腕を高く評価する声をしばしば聞きます。

2005年の半ば、IBMやOracleの追い上げが厳しくなり、オープンソース陣営に対する評価も高まってくると、「SOA」(サービス指向アーキテクチャー)のためのソフトウェア基盤である「AquaLogichttp://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0506/13/news078.html」を発表しました。当初は、基盤と呼ぶには欠けているピースが多過ぎましたが、すぐにポータルソフトウェアのリーディングベンダーであるPlumtree Softwareを買収、そして2006年に入るとBPMベンダーとして知られるFuegoを買収し、空白だった領域を積極的に埋めていきました。

アプリケーションソフトウェアを再利用可能な部品(サービス)に変え、それらを組み合わせてシステムを構築する手法であるSOAとBPMは、極めて高い親和性があります。SOAでは、業務に合わせて再利用可能な粒度で部品化します。これはアプリケーションの部品化であると同時に、仕事のやり方の部品化でもあり、BEAがSOA基盤ソフトウェアにBPM製品を加えたのは、理にかなっていたのです。

最近では、Web2.0技術も取り入れ、ユーザーがダイナミックにアプリケーションをマッシュアップできる仕組みも提供しようとしていました。

企業を成長させるには、既存のビジネスを改善したり、その延長線上で新商品を開発する方法もあれば、M&Aという方法もあります。BEAは巧みな買収戦略によってエッジが利いた技術や製品を獲得して自社の既存技術と組み合わせ、他社に先駆けて「ブルーオーシャン」と呼ばれる未開拓のビジネス領域に取り組んだベンダーと言えます。

しかし、ミドルウェア市場の成熟と業界再編という大きな潮流の前に、ついに他社に統合されるという道を選択したわけです。こうした流れは、さらに加速するとみられます。

ちょうど今、わたしは「IBM Lotusphrer 2008」の取材のため、フロリダ州オーランドに来ています。Oracle、Microsoftとミドルウェアの領域で三つ巴の戦いを繰り広げているIBMも、WebSphereファミリーと、DB2をはじめとするデータマネジメント製品群の統合強化に動く可能性があります。

IBMがSMB向けサーバソフトウェア企業を買収

また、Notes/Dominoを擁する同社のLotus部門が先週末、カナダのNet Integration Technologiesを買収したことを明らかにしています。IT管理者がいない小規模事業者向けに、管理の容易な電子メールやファイル管理、オフィススイートなどを提供する非公開企業です。IBMはNet Integration Technologiesの技術や製品をベースとし、先ずは小規模事業者をターゲットとしてSaaS市場への参入を図るとみられています。

こちらは、企業向けに「Google Apps Premier Edition」を売り込むインターネット検索の巨人、Googleへの対抗策を打ち出した格好です。

今さらわたしが指摘するまでもありませんが、M&Aは企業が成長するための重要な手段です。一連の買収合意によって、それを改めて認識させられます。

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わたしも年男となる2008年「子年」最初のエントリーです。遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

新しい年を迎えるにあたり、好例ですが、1月7日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」では、@ITの新野さんにも加わってもらい、2008年に企業の情報システム部門が注目すべきトレンドを展望し、幾つか紹介してみました。

「グリーンITの取り組みが米国で本格化し、日本企業の情報システム部門においても優先課題となる」

栗原さんのエントリー「2008年の抱負など」にもありましたが、わたしも「グリーンIT」が優先課題になると思います。データ量の爆発的増加に端的に表れているように、ITの適用範囲が急速に広がっています。しかし、このご時世ですので発電所を増やすわけにもいかないでしょう。消費電力を抑えつつ、旺盛なコンピューティング需要にこたえることがIT業界や企業の情報システム部門の課題となるはずです。

「柔軟性や使用効率改善のため、x86サーバを含む、すべてのカテゴリーのサーバで仮想化技術の導入が進む」

幾何級数的に向上するCPUのパワーを余すところなく活用する技術として、x86サーバにおいても「仮想化」が注目されています。また、サーバを物理的にいちから構築する必要がないため、急な需要に対しても迅速に仮想サーバを用意できるという恩恵もあり、同技術の広範な導入が進むとみられています。

「SOAによるシステム構築のアプローチが、システム間の連携・統合から、部品の組み合わせによるアプリケーション構築へと広がりを見せる」

これまでの国内の事例を見ると、大半は既存システムの統合基盤を構築するものでした。しかし、欧米の先進企業を追い掛けるように、企業内で標準化したサービス部品を呼び出し、組み合わせていくことでアプリケーションをつくる、「コンポジットアプリケーション」が主流となっていくでしょう。

「コンシューマーの世界で台頭するWeb2.0テクノロジーが企業の情報システムにも大きな変革をもたらし始める」

WikiやSNSのようなソーシャルソフトウェアが、より円滑なコラボレーションを実現するために企業に導入されるのはもちろんですし、SOAのアプローチによって用意された情報やサービスをエンドユーザーが状況に応じて「マッシュアップ」して使う「シチュエーショナル・アプリケーション」も着目され始めます。

「ITベンダーのM&Aはさらに活発化し、業界再編はますます加速する」

2007年は、ビジネスインテリジェンスやシステム管理製品の専業ベンダーが大手の傘下に入り、再編されました。2008年は、資金力の豊富な、Googleなどが思いもよらぬ買収によって、企業向けのSaaS事業を強化しないとも限りません。情報システム部門としては、できるだけ標準的な技術を採用し、製品開発の突然の中止にも対処したり、新たなSaaSの潮流も活用できるよう備えておくべきでしょう。

ただ、新野さんも指摘していましたが、標準技術が確立され、SOAアプローチによるシステム構築が浸透してくると、ITベンダーが買収によって製品を統合し、連携を保証してくれる必要性も徐々に薄れてきます。「買収しない戦略」も十分に取り得るわけです。

はてさて、幾つの予想が的中してくれるでしょうか? みなさんも、コメントを寄せてみてください。

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ITmediaでは、日本の企業経営を担うエグゼクティブを対象にしたSNSコミュニティー、「ITmeidaエグゼクティブ」をこの春から運営しています。12月中旬には、「情報管理」と「ビジネスプロセス管理」という、いま企業の情報システム部門が直面する2つの大きな課題をテーマに掲げ、ラウンドテーブルを開催しました。12月24日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」では、この話題を取り上げてみました。

オルタナティブ・ブロガーとして活躍しているテックバイザージェイピーの栗原潔さんは、情報の管理や活用ということでは第1人者のひとりでもあります。得意分野ということで、ラウンドテーブルで講演をお願いしました。

栗原さんの講演は、「情報活用」という幅広いテーマでしたが、要約すると、「データは、それ単体ではなく、背景情報(コンテキスト)と組み合わせて評価すべきであり、ビジネスプロセスの引き金としてアクションにつなげることで、さらにその価値が高まる」とメッセージにまとめられそうでした。そして、かつては独立した領域と考えられていた定型データの分析(ビジネスインテリジェンス)、背景情報になり得る非定型コンテントの管理、そしてビジネスプロセスをPlan、Do、Check、Act(PDCA)のサイクルで改善していくビジネスプロセス管理、つまり「BPM」が、しだいに融合しつつあり、ハイブリッド化が進行しているということにも気づかせてくれました。

実はこのラウンドテーブル、保険金不払い問題で揺れる保険業界のエグゼクティブを対象に企画し、三井住友海上火災保険のIT推進部で損害サービスと海外システムを担当する玉田孝一郎部長にも同社の業務改革の取り組みについてお話をいただきました。

2005年以降、保険会社の保険金不払い問題が相次ぎました。損害保険大手の三井住友海上火災も例外ではありません。2006年7月には金融庁から行政処分を受けています。

この行政処分を境に同社は、抜本的な経営管理態勢の改善に乗り出しました。今年3月には、他社に先駆けて不払いの調査結果を発表し、再発防止策も取りまとめています。

玉田氏は、「顧客基点の品質向上を基本戦略とし、信頼を勝ち取り、それによって成長するという変革にグループを挙げて取り組んでいる」と話します。折しもこの三連休から、保険商品の銀行窓販も全面解禁されました。

品質向上に向けた業務改革には、情報システム部門も重要な役割を担っています。今年2月に設置された損害サービスイノベーションプロジェクトチームには情報システム部門の参画が求められ、ビジネスとITが一体となって顧客基点の業務プロセス改革に取り組んでいるそうです。

「顧客不在の事務処理があったり、顧客の問い合わせにも十分応えられず、それが顧客の不満や不安につながっていた」と玉田氏は話します。

2005年、従来型の開発手法に行き詰まりを感じていた玉田氏は、ビジネスプロセスモデリングやBPMに注目し、技術や製品に関する調査研究に着手しました。仕事のやり方を見える化するビジネスプロセスモデリングによって、顧客の不満や不安を生むプロセスを改め、あるべき姿を策定、一部の損害サービスセンターにおけるパイロット検証を経て、来年10月から新たなビジネスプロセスを全国に展開していく計画といいます。

こうした業務改革の取り組みを一過性のものとして終わらせないためには、ビジネスプロセスをPDCAのサイクルで改善していくBPMが優れているのは確かです。ITの支援によって継続性が実現できるからです。業務の変化に対応したり、統制を効かせることもできます。しかし、すべてのビジネスプロセスをBPMに実装するのはナンセンスだし、どの業務をどの粒度で実装すべきか、など課題はたくさんあります。調査研究活動の結果、「最終的にはBPMを導入しないという判断もあり得る」と玉田氏は指摘します。

栗原さんは、最強のビジネスプロセスエンジンは、人の頭だと話します。ITはあくまでツールに過ぎないのです。

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浅井 英二

浅井 英二

ITmediaエンタープライズ編集長。Windows 3.0が米国で発表された1990年、PCWEEKの創刊に参画、以来IT業界の成長とともにある。

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news094.gif 富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
富士通の社長、会長を務めた山本卓眞氏が亡くなった。哀悼の意を込めて、日本のIT産業界の大御所が残した次代へのメッセージを紹介しておきたい。(2/6)

news094.gif Facebook就活はもう古い?
約260人のブロガーが、ITにまつわる時事情報などを日々発信しているビジネス・ブログメディア「ITmedia オルタナティブ・ブログ」。その中から今回は「就活」「都心の雪」「ソーシャルメディア」などを紹介しよう。(2/4)

news094.gif 東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
塩害に強い綿の生産で東北に新たな産業を作りたい。オーガニックコットンの採用など、環境負荷を下げるジーンズ生産に取り組んできたリー・ジャパンの新たなチャレンジとは──。(1/30)

news094.gif 東北から始まるイノベーション
企業のICTを活用と若手IT技術者による東北発のイノベーションが、中長期的な震災復興の鍵となる。(1/27)

news094.gif 貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦
全国から約2万7000件の名刺制作を受注をする札幌の小さな印刷会社の成功の秘密は、地道な社会貢献にあった。(1/16)

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