オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

企業向け研修サービス市場、高まる教育投資意欲でプラス成長継続へ

»

矢野経済研究所は2023年10月27日、「企業向け研修サービス市場に関する調査」を公表しました。

市場や参入企業の動向のほか、コロナ禍による影響やサービス需要の変化などを踏まえた将来展望などをまとめています。

企業向け研修サービス市場のサマリは以下のとおりです。

==
2022年度の企業向け研修サービス市場は前年度比3.1%増の5,370億円、2023年度は同2.4%増の5,500億円を予測

人的資本情報開示義務化を背景とした教育投資意欲の高まりが加速する中でプラス成長継続
==

スクリーンショット 2023-11-05 19.18.53.png

出典:矢野経済研究所 企業向け研修サービス市場に関する調査 2023.10

市場概

2022年度の企業向け研修サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.1%増の5,370億円と集計しています。

2021年度のプラス成長に引き続き、オンライン研修が対面型の集合研修の代替策として功を奏すとともに、研修サービスを導入したことがなかった中堅・中小企業等の潜在需要を引き出したことでコロナ禍前の市場規模(2019年度:5,270億円)を上回る結果となっています。

また、コロナ禍で中止や延期などマイナス影響を受けていた対面型の集合研修は、2022年4月実施の新入社員研修のタイミングで需要を取り戻し、市場拡大をけん引しています。

研修形態については、行動制限の撤廃とともにオンライン研修から対面型の集合研修へ戻す動きはあるものの、オンライン・対面のハイブリッドで展開するのが主流となっています。

本市場で主力となっているクラスルーム形式の研修ビジネスの需要は拡大基調に転じており、新人研修と同様に、若手・中堅社員や次世代リーダー層、中間管理職、経営幹部候補者を対象とした階層別研修も概ね好調に推移しているといいます。

2022年度(2023年3月期)決算より開示が義務化された人的資本経営に対応した人材育成機運の高まりが企業の教育投資需要を刺激しており、加えて採用や定着(リテンション)支援の観点からも研修サービスの需要が高まっています。

注目トピック

2023年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う様々な制限が緩和・撤廃される方向にありました。

コロナ禍により減っていた研修の実施機会は、揺り戻しが進む対面型研修と新規需要開拓が進むオンライン研修のハイブリッド展開によりさらに拡大し、プラス成長を継続していけると見ている研修事業者は多いとしています。

​また、企業の採用・教育・人材育成への投資意欲は高まる方向にあり、この傾向は2022年度(2023年3月期)決算から始まった人的資本情報の開示義務化とともに加速しています。

こういった状況の中で、人的資本経営を考慮し社会に与える企業の存在意義や価値を軸にした経営に取り組む企業が増えているといいます。

将来展望

2023年度の企業向け研修サービス市場は、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが緩和されたことで、回復基調にある対面型の集合研修の需要の取り込みが本格化しています。

コロナ禍に対応したオンライン研修等のサービスが新たな需要を取り込みながら引き続き拡大を見込める状況にあることから前年度比2.4%増の5,500億円に拡大すると予測しています。

Comment(0)