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自治体向けソリューション市場、2025年度には1兆円弱の市場に ~自治体DXやデジタル田園都市国家構想への注目度が高まる

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矢野経済研究所は2023年2月6日、国内の自治体向けソリューション市場を調査し、市場概況や将来展望、サービス提供事業者の動向などを公表しました。

2021年度の自治体向けソリューション市場は事業者売上高ベースで7,256億3,000万円、前年度比7.2%増になったと推計しています。

同年度は新型コロナウイルスに関連して、特に自治体向けのBPOサービス(ワクチン接種券印刷・発送、コロナ相談窓口、ワクチン予約コールセンター、接種後のデータ入力等のバックヤード業務代行など)が大きく拡大したほか、コロナ対応に関するシステムの構築・導入も増え、市場を押し上げる要因となった。コロナ禍による需要増は2020年度から始まっているが、2021年度は特需となったとしています。

また、基幹系(住民情報系)システムの標準化は自治体向けソリューション市場にとって大きなイベントだが、2022年8月に政府が標準仕様書を公開し、ITベンダーが標準仕様準拠システムの開発に着手している段階にあり、2023年1月時点ではまだ市場規模に対する影響はないとしています。

自治体DXやデジタル田園都市国家構想への注目度は高まっています。

政府はシステムコストの削減などを目的として、全自治体の基幹系システムを2025年度末までに標準化仕様に準拠したシステムに統一し、デジタル庁が調達するガバメントクラウドで運用するという方針を決定しています。そのため、自治体向けソリューション市場では、2026年度以降の成長領域を開拓する動きが進んでいることを挙げています。

デジタル技術を活用して地域課題の解決や魅力向上を図る、広義での自治体DXは主要なターゲット領域となっています。特に、岸田政権の重点政策であるデジタル田園都市国家構想への注目度が高まっています。

行政手続きのオンライン化などが加速しているほか、デジタル田園都市国家構想は従来からのスマートシティの取り組みとも重複しており、ヘルスケアや、モビリティ、観光、金融など幅広い領域でデジタル化が推進され、2023年度にはいっそうの活性化が見込まれるとしています。

2022年度にはコロナ禍に関連する需要は大幅に減少し、コロナ禍前の水準に近づく見込みで、この影響を受け、2022年度の自治体向けソリューション市場は、前年度比3.5%減の7,002億5,000万円になると予測しています。

2023年度以降、基幹系システム標準化とガバメントクラウドへの移行は大きく市場に影響し、2025年度までは自治体向けソリューション市場を押し上げる要因となるとしています。2025年度にはピークを迎え、9,934億円と1兆円近くに達すると予測しています。

その後、標準化・移行が終了する2026年度には、ITベンダーの基幹系システムやクラウド事業売上の減少などにより、市場が縮小すると予測しています。2026年度の自治体向けソリューション市場はいったん大きく減少し、前年度比34.3%減の6,531億円になると予測しており、自治体向けソリューション市場は大きな転換点を迎える可能性を挙げています。

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出典:矢野経済研究所 自治体向けソリューション市場規模推移・予測 2023.2

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