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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

インドで国民ID制度を推進する人物

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NY Timesの記事で、インドが本格的に国民ID制度の導入を進めていることを初めて知った。

アメリカでは、Social Security Number が納税や年金支給だけでなく、クレジットカード発行など様々な場面でID番号として使われている。なので、日本で国民背番号制の是非が議論されて、プライバシーが侵害されるとかの反対意見があることを新聞記事で読んだりしても、「本当かな?あると便利なのに」くらいは思っていた。

他方インドでは、便利さに加え、貧富の差をなくすための一大有効手段として、国民ID制度に大きな期待が寄せられているらしい。

特に地方の村などでは、煩雑なお役所の証明書確認作業の効率が悪く、出生証明や免許証の発行もかなり日数がかかるだけでなく、そのプロセスで贈収賄の起こる余地が多々ある。国民一人一人の氏名、生年月日、性別、指紋や目の虹彩のデータベースを構築して国内どこででも本人確認ができれば、たとえ田舎から都市へ出て行っても、すばやく銀行口座や携帯電話の開設が可能になる。カーストとか出身地に縛られることもなくなる。

自分の職を投げ打ってまで、この国民ID制度確立のために尽力している人のことも、この記事で初めて知った。Infosysの創立者の一人で、2002年から2007年までCEOを務めた、Nandan Nilekani氏だ。

まだまだ規制の多かった1981年にインドでInfosysを立ち上げたNilekani氏は、アメリカンならぬインディアンドリームをまさに体現した人。国民ID制度に対する期待も、人一倍大きいのだろう。その熱意に脱帽、です。

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