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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

The Imperial Cruiseを読んで

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クリント・イーストウッド監督の映画、「父親たちの星条旗」の原作として知られる、「硫黄島の星条旗」を書いたジェームス・ブラッドリー。友人の強い勧めに従い、彼の最新作 "The Imperial Cruise: A Secret History of Empire and War"を読み終えた。

1905年。Secretary of Warという職務についていた後のアメリカ大統領、ウィリアム・タフツ(William Taft)が、当時のアメリカ大統領、セオドア・ルーズベルトの使節として、約三ヶ月のアジア視察旅行にでかける。フィリピン、日本、香港、中国と巡る航海の間に、日本とアメリカの間でどのような密約が交わされたか、それが後の世界にどのような影響を及ぼしたか、が本書の主題だ。

著者のお父さんが、硫黄島にあの星条旗を立てた米軍兵の一人だったということで、なぜあの第二次世界大戦が起こったのかという疑問は、彼にとって単なる歴史的疑問以上の意味があるようだ。彼のスタンスについては、賛否両極端なのが、Amazon.comの書評でも窺える。

当時の英米では白人至上主義が当然だった。世界の国々は、植民地を持つかあるいは植民地になるかのどちらかだった。明治維新直後の日本政府に、そのどちらにもならないという選択肢は果たしてあったのだろうか、というのが、私の大きな疑問。この本は、ルーズベルトが、日本がアジアに植民地を求めるような動きに出るのを大きく後押しした、という内容になっている。

最近、安保条約改定時の核持込みに関する「密約」について、外務省が調査報告書を提出したりして話題になっているようだが、当時の状況で他にどんな選択肢があったのだろうか?

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