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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

女性の戦力化と育児のバランス

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女性を長期的な戦力に、大手企業で制度整備」という記事を見かけた。「女性の労働参加を米国並みに促せば労働力人口を400万人増やせる計算。」ということだが、その実現方法については、日本は米国ではなくヨーロッパを見習っているらしい。

先日弊社を訪問していたMr.Angeliciによれば、イタリアでは、産前1ヶ月、産後4ヶ月、合計5ヶ月間の出産休暇については、給与は100%支給されるとのこと。その後3ヶ月は70%支給、その後出産1年後までは無給となるが、出産前の職場への復帰は保証されるとのこと。イタリアでも日本と同じく出生率の低下が問題になり、その結果現在のような制度になったという。もちろん、給与の保証は国税がまかなう仕組み。休暇に長短はあるが、基本的に出産休暇中の給与と職場復帰を保証するというのは、他のヨーロッパの国々でも同じ。日本もそれにならっているようだ。

米国ではこのような政府の関与および高税率を嫌う。いわゆる母性保護より、徹底した男女の雇用機会均等化を追求する。たとえば、履歴書には年齢や性別の記載がない。もちろん写真を貼る欄は存在しない。面接時に妊娠していても、企業がその事実で採用・不採用の決定を左右することは許されない。また、出産は、単に疾病休暇の一種と位置づけられ、一時金の支払いなどもない。一方、夫婦による育児の分担も徹底している。保育所に子供を迎えに行くので、何があってもオフィスを5時に出る男性社員が、同僚より不利な扱いをうけることはない。

私は、結婚しても子供をつくらないという選択をし、大学卒業後ずっと働いている。出産、育児によって私の自由を縛られたくないという、極めて自分勝手な理由からだが、現在の制度が、米国だろうとヨーロッパや日本だろうと、まだ理想というのには程遠いと判断したこともその理由のひとつだ。

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