ネット社会での選択の自由
湘南乃風のムコ多糖症に対する取り組みは、TVなどでも取り上げられ、関心が高まっています。NPO法人のサイトでの呼びかけや舛添大臣効果で、短期間での新薬承認に至ったのは、とても喜ばしいことだと思います。
その影響でしょうか、NBonlineの今年3月の記事(世界の良薬、日本に届かず)がアクセス上位になっています(過去記事が上位に来るのは、異例のことです)。そこに書かれている、「日本企業を含め世界の製薬業界では、新薬の治験がやりやすくて審査も速い欧米でまず承認を受けて発売し、その実績を基に日本での製品承認・発売に踏み切るという行動パターンが定着しています。こうした状況を変えない限り、ドラッグラグを解消することはできません。」という部分は、気になりました。
いわゆる健常者の発想で、副作用の大きい変な薬物が承認されては困ります。アメリカ牛肉の輸入規制や中国産の食品に対する警戒感に関しても合理的な理由があり、広い意味での国防という観点から、厳しい規制をかけることは重要だと思います。 しかし、他国で承認されている薬品を利用したい人がいるのに、その選択の自由を奪えるかどうかは、生命とも関わることなので、より微妙な判断です。
他方、WebやITのサービスは、規制のかけようもなく、日本に進出してきます。検索、アマゾン、オークション、iTunes、すべてそうです。仮に規制(日本法人の設立不可とか)が可能だとしても、海外にあるサーバで日本語サービスを提供されれば、ユーザはサービス利用が可能です。
結局、政府の規制は供給者側にのみ可能であり、利用者の選択の自由には立ち入れないということだと思います。インターネットの普及によって、利用者側へのパワーシフトが起こっているなか、政府の役割は何なのかについて、きちんとした議論が行われるべきだと思います。個人的には、グローバリゼーションが不可避ななか、政府の規制は最小化を目指すべきだと思います。恐らく、クリエーターやアーティスト育成のために必要な著作権の保護などネット社会での新しい問題への対処が、今後の政府の役割のような気がします。