優秀なテストエンジニアの特徴を調べた研究
論文のタイトルはCharacteristics of High Performing Testers - A Case Studyです。ここ(出版社のサイト)から原文を読めます。
Iivonen, J., Mäntylä, M., & Itkonen, J. (2010, September). Characteristics of high performing testers: a case study. In ESEM (Vol. 10, pp. 1-9).
目的
ソフトウェア企業において、優秀なテストエンジニアがどのような特性(知識、スキル、思考プロセス、モチベーション、個人特性など)を備えているのかを明らかにすることが目的です。マネージャーやテストエンジニアが重要視する貢献(質の高いバグレポートなど)も含めて調べています。
調査の対象
調査対象は設立10年以上で財務的にも安定した成長を達成している中規模ソフトウェア企業3社です。3社に勤めていて、稼働中のソフトウェアで不具合を検出・報告するすべての従業員をテストエンジニアとしています。1社は専任のテストチームに所属するエンジニア、専任のテストチームが存在しない2社では、カスタマーコンサルタントや開発者、サポート担当者です。
データ収集と分析
各社のバグトラッキングシステムの初期分析を行い、バグ検出数が多いテストエンジニアを選びました。選んだテストエンジニア3名と開発マネージャ1名(各社4名、計12名)に対してインタビューを実施しています。
バグ報告ガイドラインや組織図の分析、継続的な対話によりデータを裏付けられるようにし、体系的に分析しました。
調査結果
分析の結果、優秀なテストエンジニアの特性は大別して、経験とスキル、リフレクション(内省力)、モチベーション、個人的特性となりました。以下、順番に説明します。
経験とスキル
従来のテストケース設計技法やテスト計画スキル以上に、ソフトウェアが対象とする業務プロセスや利用状況の理解(ドメイン知識)、および製品の仕様・構造の把握が重要とされました。仕様書などのドキュメントが不十分な現場において、ドメイン知識はテストの期待結果として不可欠となります。
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専門的技術とテスト自動化
性能テストや分散システムのテストなどの専門技術に加え、テスト自動化の設計・実装スキルが高く評価されました。同じ手動テストを繰り返さないという姿勢も特徴として見られました。 -
コミュニケーション能力
製品への適切な批判や意見表明、および明確で再現性の高い優れたバグレポートの作成が不可欠とされています。
リフレクション(内省力)
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全体像を常に把握
システム全体の構造やユーザーの目的を見失わずに把握する能力です。これにより、限られた時間の中で最も重要な部分にテストの焦点を当てることが可能になります。 -
本番環境における影響理解
発見したバグが本番環境で及ぼす影響を予測・評価する能力であり、バグの優先順位付けやテスト工数の最適化につながります。
モチベーション
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テストへの肯定的な姿勢
バグを見つけることが好きという考えやテストの重要性に対する強い認識を持っています。 -
ユーザー視点からの責任感
ユーザーデモやトレーニングを担当するなどユーザーとの接点を持つテストエンジニアは、本番での障害によるユーザー損失や自らの失敗に対する恐れ・責任感が強力なテストの動機となっていました。
個人的特性
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徹底性と細部へのこだわり
優秀なテストエンジニアの個人特性として、徹底していること、細心さ、忍耐力・持続性、正確さが共通して挙げられました。 -
批判的思考と自律性
批判的な思考力や自律性、想像力・創造性も重要な資質として評価されています。
ユーザー視点、細部へのこだわりといった点が挙げられていました。他のテストエンジニアのテストを見ることで、これが具体的にどのようなものか新たな視点を得ることもできそうです。
この論文の研究とは異なりますが、私たちの研究の一環として、イベント参加者全員で同じテストベースでテストをして、著名テストエンジニア(miwaさん、リナさん、Sammyさん)のテスト方針を聞くイベントを2026年11月11日19時~計画しています。申込みは下のリンクからできます。イベントの参加のためには、テストに加えて心理学タスクやアンケートを実施いただく必要があります。テスト対象は欧州のコンサルタントが作成した工具のオンラインショッピングサイトです。