著作権の保護期間延長について
あえて言うまでもないですが、著作権という権利には一定の保護期間があります。日本の場合ですと著作者の死後50年間(法人著作物の場合は公表の時から50年、映画の場合は公表の時から70年)です(他にもいろいろと例外規定がありますが、あまりに細かいので省略)。保護期間が過ぎると原則的にその著作物は著作権フリー、いわゆるパブリック・ドメインの状態になって誰でも自由に使えるようになります。
このように一定の保護期間を定めるというやり方も、何回か書いている「保護と利用のバランス」のひとつです。永遠に著作権を認めたのでは利用を阻害してしまうので期間を区切ったということです。特許法等も同じ考え方です(特許権の保護期間は原則出願日から20年)で、問題はこの50年という期間がバランス点として妥当なのかということです。
アメリカでは、1998年に著作権の保護期間が50年から70年に延長されました(ミッキーマウスに関する権利の喪失を恐れたディズニー社の圧力働きかけによるところが大きかったということで「ミッキー・マウス保護法」とも言われているのはご存じの方も多いでしょう)。
で、今、日本に対しても、著作権の保護期間を延長して70年間にせよとの外圧働きかけがされています。個人的には、50年でも長いのではと思います。世の中のスピードが速くなっており、コンテンツのライフサイクルも短くなってますので、50年というとほぼ永遠のような期間ではないでしょうか?当然ながら、ローレンス・レッシグ教授なども反対しています(参照記事)。ただ世界の趨勢的には著作権を延長する(少なくとも短縮はしない)方向性にあるのは確かなようです。保護と利用のバランスが保護側に向かっている例です。
ところで、ちょっと前のことになりますが、今年の4月にオノ・ヨーコとプレスリーの娘(リサ・マリー)が、日本における著作権の保護期間の延長を求める手紙を小泉首相に渡したというお話しがありました。保護期間延長の正当性を世の中にアピールするための人選としては違和感があると思ったのは私だけではないでしょう(参照ブログ)。