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佐川急便のe-コレクト特許

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既報のお話しですが、佐川急便とJCBが共同出願し、今年の4月に特許登録されたe-コレクトの特許公報が特許電子図書館(IPDL)に上がってました。ここにもコピーしておきます(注: 特許公報は原則著作権フリー)。

ビジネスモデル特許と言われていますが、実際にはビジネスモデルを実現するための情報システムの特許です(日本ではビジネスモデル(ビジネスのやり方)そのものでは特許を取れません。とは言え、そのビジネスモデルを実現する場合にそのシステム以外の実現方法がないのであれば、結果的にビジネスモデルを保護しているのと同じようなものですが。)

公報の文章は慣れてないと大変読みにくいですが、この特許に関して言うと、書いてあることはシステムの概要設計のようなものです。文章表現上のテクニックは必要ですが、システムの概要設計ができていれば、それを特許出願の明細書にするのはそんなに難しくはありません。もちろん、新規性と進歩性の条件は満足している必要はありますが。

日本ではビジネスモデル特許系の進歩性の判断はかなり厳しくなっており、その分野の情報システムとビジネスモデルの両方に成立している人でも容易に思い付かないようなアイデアでないと駄目とされています。逆に言うと、「e-コレクトよりすごいアイデアを思い付いた」と思われる場合には特許出願してみる価値はあるかもしれません。

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