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のまネコ問題、ちょっとフォロー

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話のタネくらいのつもりで書いたのまネコ問題ですが、想定外の反響でちょっとびっくりしています。ちょっと刺激的に書きすぎたかなーとも思いますが、自分の書いたことには責任持ちまっせー。ただ、あらぬ誤解が生じるとまずいので、何点かフォローしておきます。

1.弁理士

私は弁護士ではなくて弁理士です(自営のITコンサルタントやりつつ、弁理士もやってると言った方が正しいかな)。弁理士とは、大きく言うと、特許・商標・意匠等の出願代理等の業務を行う人です。著作権の契約関係の仕事なんかもできることになってます。弁護士が法律一般の専門家であるのに対して、弁理士は知的財産権の専門家です。

ゆえに、前のエントリーに書いた「不買運動は消費者の権利」というのはあくまでも(知財を勉強した)ひとりのオッサンとしての意見なので、これをもって「弁理士のお墨付きをもらった」と言われるとちょっと困ってしまいます。

2.「AVEXの対応は~まずい」について

前のエントリーに書いた「著作権をビジネスの種にしている企業としては明らかにまずい」という表現ですが、ニュアンスとしては「AVEX、けしからん」というよりも、「AVEX、イメージ戦略下手すぎ」ということです。2ちゃんから生まれたキャラクターであることを最初から明確化(いわゆる、リスペクトですよ)して、グッズ売り上げの一部をサーバ代に寄付でもしておけば、めちゃくちゃイメージあがったと思います。

今の彼らのやり方の損と得を考えると、明らかに損の方が大きい気がします。なぜ、タカラが「ギコ猫」の商標登録を思いとどまったかを考えるべきだと思います。

3.ブログへのコメントについて

質問には可能な限り答えるようにしてますが、時間の制約もあり、すべてに回答というわけにいかない点をご了承ください。また、客観的事実を聞く質問(例:「商標権と著作権はどう違うの?」)はよいのですが、私のポジションを聞く質問(例:「AVEXがまとめサイトに圧力かけてるようですが、どう思いますか?」)にはちょっと回答しにくいですね。まあ、もし回答したとしても弁理士としての意見ではなく(そもそも、この例の質問は弁理士の業務範囲外)ひとりのオッサンの意見と見てください。

4.コモンズとかコピーレフト

コミュニティの共有知財を現在の法律でどう扱うべきかはかなり難しい問題ですね。ちょっとほとぼりが冷めて、かつ、ある程度理論武装できた段階で、また書いてみようと思います。しかし、今回の件ってネット系の論客の人であんまり論じてる人いないような気がしますが、どうなんでしょうか?

Comment(27)

コメント

mitz_777

たしかにAVEXの対応次第ではそのようになった、いい方向に向かった可能性は高いですよね。
ある種もったいないですねぇ :-

AVEXのイメージダウンは間違いないでしょうね。しかし、メディア企業は結構この手のパクリをやっているのではないでしょうか。外国の作品から一部拝借など珍しくもないと私個人は思っています。今まではバレなかっただけです。だから感覚が麻痺している。
ネットの発達で世界中の情報が広く知られるようになったので、従来通用していた「だれも気がつかないだろう」という思想が通用しなくなっただけでしょう。
2ちゃんねる流の対応としては、彼らが行なった程度のことは彼らの作品に対しても許されると主張、実行していくのがよいのでは。そうすれば自分達の行為の愚かさに少しは気づくと思います。

ダンケ

「著作権等管理事業法」に関する質問です。
avex社公式発表
ttp://ecweb1.avexnet.or.jp/sa4web/050908noma.htm
にて「「のまネコ」の著作権を管理する有限会社ゼン」とありますが、
リンク先のゼン社サイト上には「使用料規程の公示」が無いため
「著作権管理事業者法違反の疑い」があると思います。
また、文化庁の「著作権等管理事業者検索」にて「有限会社ゼン」を検索しましたが、
登録はありませんでした。
これらの件、違法性はありますでしょうか?

SNSのmixi内部でも、対処の遅れが不信感を煽っているとか、最初は謝ればいいと思っていたが、avexの対応を見て独占使用の撤回を求めるとか態度を硬化させつつある書き込みが見られます。
avexも、対応が遅れれば遅れるだけ自社の首を絞めていくことに気がつけばいいのですが・・・。

livinginabox

> 想定外の反響
:-O
デリケートな問題に“知財のプロ”が火をつけてしまった、というところでしょうか :-)

栗原 潔

>>ダンケさん
「著作権等管理事業者」とは、不特定から金をとって著作権管理を行う団体(典型例がJASRAC)のことなので、今回の件とは関係ないと思いますです。

livinginabox

「パブリックドメイン」「コピーレフト」が両立するのか、という問題はさておき、「2ちゃんの敵」とは穏やかな表現じゃないですね。そのうち週刊誌の見出しを飾る?
まあ、キャラクタでコピーレフトが成立するなら、派生物もコピーレフトであるべきなんでしょうが、難しいのでしょうね。

栗原 潔

まあ、2ちゃんも敵多そうですからねー :-)
ただ、今回の構造はエイベvs2ちゃんというよりは、エイベvsネットコミュニティという気がします。
あと、著作権侵害は原則親告罪なので、著作権者が判明しているのだったら、その人の協力がないとちょっと厳しそうですね。

じゅる

弁理士さんとかと接することはほぼない生活の中で
こういうお話聞けるのは面白いです。
これからもちょくちょく寄らせて頂きます(*゚∀゚)ノ

今回の件には、以前に発生したいくつかの”作り手殺し法案”に共通するものを
僅かではありますが感じました
こういった、法的なお仕事をなさってる方のコメントがあったのは珍しい事ですので、
後ほどトラックバックさせていただきます

自分自身は、趣味でネット作家(まがい)をやっています
色々な場所を回りながら感じた事は、自分のBlog上
(http://blogs.yahoo.co.jp/dawrjp/11346407.html)
でも述べていますが
今回の事がまかり通ってしまった場合に
同様の事が今後起こりうるのではないか?という事です

今回の事件はじわじわと、そしてより大きな問題に発展していっている様に思えます
願わくば、より多くの”作り手”が
そして、ネット上で自らの”創作物”を発表する者がこの裏に流れる
新たな脅威の真実に気がつくことを願って……


単なるトラックバック報告でありながらの駄文、長文、失礼致しました

無名人

AVEXも失敗したとは思っているでしょうが、特に対応もせずに放置プレイでしょう。
所詮、ネットの力なんて自分たちが思うほど無いものです。
東芝のクレーマー事件然り、価格コム事件然り、一時はネットでどんなに叩かれても、今となっては古き良き思い出です^^;
今回の事件だって、AVEXは反省なんか多分していないと思いますよ。まぁ、内心では、ちょっと露骨だったかな、とは思っているでしょうが。

栗原 潔

>>無名人さん
東芝事件はクレーマーの人自体がちょとアレでしたし、kakaku.comは対応に問題あったとは言え、問題自体は解決してます。
今回の件はそう簡単ではないと思います。2ちゃんのいわゆる厨房が祭りしてるというレベルではないと思います(そもそも2ちゃん内で「祭り」という言葉を使ってる人がほとんどいないことからも、事の重大さがわかります)。放置プレイはまずいのでは?
今、AVEXが相談すべきは弁護士ではなく、広報コンサルタントだと思います。

栗原 潔

>>Protect MONAさん
すみません、リンク先の内容がちょっと微妙だったので、私の判断でコメントとトラックバックを削除させていただきました。

livinginabox

> 東芝事件はクレーマーの人自体がちょとアレ
意外ですね。私もユーザー応対をしていたことがあるのでコメントしますが、当初掲載されていた東芝側のWebサイト上のコメントを見た限り、時間軸をごまかそうとしている意図が見え隠れしていて(というか、私には“みえみえ”に見えたんですが)、実際に「対応のまずさ」があったのだと思いましたね。600万のジャムとは別次元。:-p
しかし、このように感じられるという人がいるということは東芝の“対策”は成功だったということでしょうかね。
のまネコは、作者が「いい」と言っているのだから、対策といっても難しい気がしますね。どうなんでしょう。

栗原 潔

ものすごく昔の話を蒸し返してる気がしますが:-)、東芝が悪くなかったとは言いませんが、クレーマー側もちょっと普通じゃなかったですよね(確か、ビデオデッキを社長の自宅に送りつけたりしたんですよね)。

2ちゃんねるもAVEXもどちらもモナーに関しては原作者の権利は持っていなくて、それでもAVEXは改変物を「オリジナル」として主張する法的根拠を持っているのだとしたら、2ちゃんねるにも同じことが可能なのではないでしょうか?


もとのモナーに「インスパイヤ」されたちょっとだけ違うモナーを作って商標登録してみたり。あるいはコミュニティそのものが法的な垣根で守られているような仕組みを考え出す必要があるのではないか、と考えました。

juiku

例えば、NPO法人AA促進の会を立ち上げて、
その構成員になるには、
AAを利用してインターネットに掲示して
一般大衆の目に触れうる状態にした時等の
非常に入会の垣根を低い会規を作り、
商標法第7条に規定される団体商標として「モナー」等
で出願した場合、どのようなことが問題になりますか?

livinginabox

クレーマーもしていたことがあるのでコメントしますが(←ボカッ)、ユーザー側がサイトで問題がこじれた経緯を時間軸で示していたのに対し、東芝側のサイトでは前後関係をうやむやにして「きつい文句を言ってくるクレーマー」という印象を与えたがっているようにみえました。火に油を注ぐ対応で、私がユーザーだったら(かつ若ければ)同じように怒っていたでしょう。
東芝をフォローしておくと、こういうのは担当者(担当部署長)個人が“しくじった”だけで企業体質といわれるものではないでしょう。というか、「俺に代われ」と思ったくらい:-p
モナーの件に戻ると、作者がいいといっているし、avex 側もアスキーアートを制限しないといっているのだから、「法的な根拠のない騒ぎ」なんですよね。コミュニティ側の心情はともかく。だから「弁護士より広報コンサルタント」なんだと思いますが。

栗原 潔

個人の感覚ですが、モナーが勝手に使われたということで、怒ってる人は少ないと思うんですよ。勝手に名前を変えられて出自が消された点に怒ってるんだと思います。
たとえて言えば、電車男でTV局や映画会社が儲けるのはOKだと。ただし、脚本家が列車野郎とか勝手に名前を付けて、これはネット掲示板にインスパイヤされたけど自分のオリジナルだと主張したら大反対運動が起きるでしょう。そういうことだと思うんですよ。

にぼし

>avex 側もアスキーアートを制限しないといっているのだから

avex側(ZEN含む)のサイト上でのコメントや、問い合わせ電話への返答として
「今後新しく作られるものに関しては、どう対応するかまだわからない」「AA以外(イラスト化・グッズ化)に関してはわからない」といったニュアンスの言葉が見受けられます。
この点がモナーファンの不安を煽っています。
これまでもAAキャラのイラストやFLASHやグッズは盛んに作られてきましたが、それらをのまネコグッズの類似品として規制されないとも限らない状況です。
AAをイラスト化すると、どうやったって「のまネコ」的になってしまいます。逆に言えば、のまネコは従来の「2chAAキャラのイラスト化・グッズ化」の姿に酷似しているということです。(元々(初公開時)が「2chAAキャラのFLASH」として作られたものなので当然ですが)

livinginabox

> ただし、グッズなどはavexに一つ一つ、聞きにきて欲しい。
(http://blog.livedoor.jp/nomatako/archives/50026259.html より)
一度、体育館の裏に呼ぶ必要がありそうですね:-p(意味不明)
ほんとうに誰も彼もが“逐一、聞いてみる”というやり方もあるかと思いますが。:-)

AAが文化として社会的に認知されていけばいいのかも知れませんね。僕はそれは音楽の譜面のようなものに思えるので、怒りを感じてしまいます。


「フォークロア」という言葉を知りました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/05090801/003.htm
この議論が進んでいけば、よく似た仕組みがネット上のコミュニティにも適用されていくのではないか、と思います。

pop

>モナーの作者はいますさん他
そのサイトの人は作者だと主張されているようですが、あまり取り合われていません。ググッて見て下さい。
もちろん彼でなくても2chを嫌いな人かもしれませんが>作者

個人的に、auのPENCKダイヤルフォントはパクリ疑惑の件を思い出します。
 ネット上の作品やキャラクターが大企業によって、自らが作った物として売ると言う著作権問題が今後も再発しないようにならないものか。

栗原 潔

あーありましたね。
しかし、ネットコミュニティの力によって、こういう事件があっても、すぐ見つかってしまい、証拠も集められてしまうということで、企業側としてもうかつなことはできない状況にはなりつつあるとは思います。

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