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営業は売るな!知識力が最強の武器になる理由とAIを活用した実践的強化法【後編】

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前編では、これからの営業に求められる本質は「知識力」であるとお話ししました。知識力とは、語彙力・読解力・質問力を駆使して、顧客自身もまだ見えていない「あるべき姿」への物語を共に紡ぎ出す能力です。

しかし、こう感じた方も多いのではないでしょうか。

「知識力を磨け、未来を語れと言われても、学ぶ時間が足りない」

そこで強力な武器となるのが、生成AIです。後編では、知識力を飛躍的に高め、それを提案書やプレゼンテーションへと昇華させるための具体的なAI活用法をご紹介します。

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1. AIを「効率化の道具」で終わらせない

多くの営業現場では、AIを「メール作成」や「議事録」の効率化にしか使っていません。もったいない話です。

AIが真価を発揮するのは、前編で述べた知識力、すなわち語彙力・読解力・質問力を増幅させる使い方をしたときです。ここからは、その具体策を3つご紹介します。

具体策A:AIで「読解力」と「質問力」の予行演習をする

商談前に、お客様の業界動向や中期経営計画を読み込むのは基本です。そこからさらに一歩進めましょう。AIにその企業の「仮想CEO」や「仮想担当者」になりきってもらい、壁打ちを行うのです。

プロンプト例 「あなたは〇〇業界の大手企業、△△社のDX担当役員です。現在の業界課題を踏まえ、私の提案に対して懸念点や、厳しい質問を投げかけてください」

これにより、お客様が抱えているであろう潜在的な悩み(読解力の補強)や、刺さる質問の切り口(質問力の強化)を、事前にシミュレーションできます。

具体策B:AIを「語彙力」の拡張装置にする

お客様に「あるべき姿」を語るとき、ありきたりな言葉では響きません。自分の考えをAIに投げかけ、より洗練された表現や、別の視点からの言い回しを引き出しましょう。

プロンプト例 「この提案のメリットを『コスト削減』という言葉を使わずに、経営者がワクワクするような『未来の成長』という文脈で3パターン言い換えてください」

自分の中にはなかった語彙や表現の引き出しを、瞬時に増やすことができます。

具体策C:エンジニアとの「共創」を円滑にする翻訳機として使う

エンジニアの稼働を圧迫する「無駄な同行」を減らすためにも、営業の知識力は必須です。難解な技術用語をAIに噛み砕かせ、経営層にも伝わる言葉に変換しておくことで、営業段階で捌ける範囲が格段に広がります。

プロンプト例 「エンジニアが説明するこの技術的な仕様(〇〇)について、専門知識のない経営者が理解できるように、ビジネス上のメリット(売上向上やリスク回避など)に焦点を当てて、比喩を使った分かりやすい説明文を作成してください」

2. 知識を「形」にする──提案・プレゼンにおけるAI活用

知識力を高めるだけがAIの役割ではありません。集めた情報や整理された思考を、お客様の心を動かす提案書やプレゼンテーションという「形」に昇華させるプロセスでも、AIは強力なパートナーになります。次の5つのステップで活用します。

ステップ①:散らばったメモから「論理構成(骨子)」を作る

ヒアリングした内容や自分のアイデアのメモを、そのままAIに投げ込んでみてください。

プロンプト例 「これらの情報を整理して、お客様の経営課題から解決策に至る、説得力のあるプレゼンテーションの骨子(アウトライン)を作成してください」

AIは情報の断片をつなぎ合わせ、論理的なストーリーラインを構築してくれます。

ステップ②:「あるべき姿」への物語(ナラティブ)を描く

箇条書きのメリットだけでは、人は動きません。「現状の課題(Before)」から「解決後の未来(After)」へと至る、感情に訴えるストーリーが必要です。

プロンプト例 「この解決策がもたらす未来を、聞き手がワクワクするような物語調の文章で表現してください」

こう頼めば、あなたの提案書に「魂」を吹き込むことができます。

ステップ③:スライド構成と「見せ方」を具体化する

論理構成ができたら、それを具体的なスライド資料に落とし込みます。

プロンプト例 「この骨子を基に、10枚のスライド構成案を作成してください。各スライドの『タイトル』『キーメッセージ』『入れるべき図解やグラフのイメージ』を表形式で提案してください」

ゼロから構成を考える時間を短縮し、説得力のある資料の土台を短時間で手に入れることができます。いまでは、この構成案からスライドそのものを生成することも可能です。

ステップ④:相手に響く「説明の切り口」と「比喩」を見つける

資料ができても、それをどう語るか(デリバリー)が重要です。相手の属性に合わせて、AIに説明のアイデアを出してもらいましょう。

プロンプト例 「この提案内容を、ITに詳しくない経営者に直感的に伝えるための比喩表現を3つ考えてください」 「慎重派のCFOに安心感を与えるための説明ロジックとトークスクリプトを書いてください」

このとき大切なのは、伝える相手についての情報を可能な限り調べ、それをAIに教えることです。略歴、いまの立場、趣味や興味、社内での評判。それらを与えれば、AIは相手の立場(ペルソナ)に憑依し、最も刺さる言葉や説明の切り口を授けてくれます。

ステップ⑤:想定される「反論」への準備をする

提案書が完成したら、最後にもう一度AIの出番です。

プロンプト例 「あなたが決裁者なら、この提案書のどこに突っ込みますか? 辛口で3つ指摘してください」

この壁打ちによって、提案書の論理的な穴を事前に塞ぎ、万全の状態でプレゼンテーションに臨むことができます。

3. 最後に魂を込めるのは、あなた自身

ここまでAIの活用法を語ってきましたが、忘れてはならないことがあります。AIが出した答えを、鵜呑みにしてはいけないということです。

AIのアウトプットを十分に理解したうえで、目の前にいる生身のお客様の姿を、ありありと思い浮かべてください。

何を伝えることが、この人の幸せになるのか。どう伝えれば、心に届くのか。それを徹底して想像すること。そして、AIが作った言葉を、責任と自信を持って語れる「自分の言葉」になるまで、考え抜いて書き換えること。

そこまでやって初めて、AIはあなたの最強の武器になります。

4. プライドを持って「教師」となれ

製品情報の案内や契約処理などの事務作業、単純な質疑応答は、いずれAIが代替します。しかし、お客様の未来をデザインし、熱量を持って語り合い、正解のない問いに答えを出すことは、人間にしかできません。

AIという最新の道具を使いこなしながら、泥臭く知識を貪る。

「お客様の成功のためなら、どんな知識でも貪欲に吸収してやる」というプライドを持つ。

そうして磨き上げた知識力で、お客様の良き教師、良き医師となってください。そうすれば、売り込む必要などなくなります。案件は向こうからやってきて、数字は結果として、必ずついてくるはずです。

『AI実践ドリル30日チャレンジ 仕事にすぐ効くAI活用』(日経BP)を紹介する連載が、日経クロステック(xTECH)に掲載されました

第1回 ビジネスパーソンが生成AIの有償版を使うべきである理由
第2回 「事業変革推進室長」として生成AIで新規事業を企画する
第3回 AIの「魔法」をメール作成と悩みの「壁打ち」で体感
第4回 新規事業の「3段階の自立シナリオ」をAIで描く
第5回 AIにいきなり「斬新なアイデア」を求めるのは避けよ

本書は、これまでのAI本とは毛色が異なり、新規事業開発やマーケティングの実践ノウハウを、AIを使いながら体験的に学べる「ドリル」です。AIの使い方を解説するのではなく、実際のビジネスの現場でどう使いこなし、新しい価値を生み出せばいいのかを、手を動かしながら身につけていただけます。

「AIをどう使うか」に留まっている限り、AIの真価は引き出せません。「AIでどう変わるか」、すなわちAIを前提として、仕事のやり方をどう変えればいいのか。それをお伝えしたくて書いた本です。まだの方は、ぜひご一読ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

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