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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

若者たち、海外に雄飛せよ その4 英語を話すために

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若者たち、海外に雄飛せよ その4 英語を話すために


 英語は絶対に必要。どこの国で何語を学びたい場合でも、英語が必要と考えておいたほうがよい。

 英語が苦手だから海外に行けない、行かないという人は多い。これは何としても克服しなければならない。日本では、入試の英語、つまり読み書きは、ばっちりできるのに、話せない人が極端に多いと言われる。
 日本の英語教育と受験のシステムの歪みの証拠だ。場数を踏むだけでも、英語は話ができる人が大半だ。

 私が中東に駐在していた時に、機械のプラントの受注を受けて、お客と技術の打ち合わせをすることになり、日本からエンジニアが到着した。打ち合わせは数百件の項目があり、すべて英語で作成されていて、項目を一つ一つ確認していく。
 到着したときに、そのエンジニアは、「樋口さん、私、英語をまったく話せないので、打ち合わせの時には、ずっと私の横にいて、通訳してください」と非常にビビりながら頼んできた。
「はい、分かりました」
と言いながら、打ち合わせに入った。数百項目の一つ一つをお客の担当者と確認をしていく時、彼は
「今、彼(お客の担当者)は、何て言ったのですか」といちいち、尋ねてくる。説明すると、
「はい、そうです。了解と言ってください」と分かっていたという顔をしながら言うから、
「了解くらい、自分で言ってください」と言ったら、
「OK,OK」と相手に指をOKにして言っている。
「樋口さん、お客にこう言ってください」と、技術用語を英語で指示してくる。
 私は数時間のちに、「ちょっとトイレに行ってきます」とその場を外れて、半時間ほど、他の仕事を済ませて戻ったら、案の定そのエンジニアは、汗だくで、懸命になってお客と打ち合わせをやっていた。
 たった30分で、答えの多くは、エンジニアは、自分で、「イエス」「バット...」と、ジェスチャーを込めて話し始めた。それから後はどんどん私は手を抜いた。それでも、そのエンジニアがヒアリングで誤解して重大なミスをしてはいけないので、私は横に座っていたが、二日目には、大半、エンジニアが聞いて、エンジニアが答える形になり、(あっ、誤解しているかな)と私が思ったものは、私がエンジニアに再確認していた。三日目には、私のすることは本当に軽くなった。
「いや、今回、生まれて初めて英語で、自分で交渉ができました。良かったです」
「いや、立派に話しておられましたよ」と言うと、すごくうれしそうだった。
 その後も、半年ほどして、再び注文を受けて、そのエンジニアが打ち合わせに来た時、もうまったく別人のようだった。
 私は横に座っていたが、することがまったくないほどだった。することがないと、眠くなる。私は途中から思い切って、「後で迎えにきますから、帰って良いですか」と言うと、一瞬の曇った顔をしたが、「はい、大丈夫です」と言い切った。彼は相手の言ったことで、聞こえなかった、聞き取れなかった、分からなかったことは、筆談したという。
 その打ち合わせが終わって、迎えに行った時、彼は自信に満ちあふれていた。
 更に半年後、3度目の中東への来訪の時、そのエンジニアは「打ち合わせは、私独りで結構です。樋口さんは、お忙しいでしょうから」と自信に満ちあふれて言い切った。彼はその会社の技術部門きっての英語での技術交渉者になっていた。その後、そのエンジニアは、世界中を走り回り始めた。

 とにかく、英語は実戦から入ればよいが、その実戦の場が周りに見あたらないことが問題だろう。
 海外に留学するためには、英語を使う勉強を計画の1頁に書くべきだ。国内の語学学校も良いが、だらだらと学ぶより、一気に英語の缶詰に入ることも可能だ。
カナダやオーストラリア、アメリカでの語学学校に入る手もある。最近では、フィリピンのマニラでの英語の会話学校が、非常に安く済むことで評判だ。1週間ほどで、10数万円で、食事・宿泊込みで、ネイティブに近いフィリピン人の英語を話す先生と1日8時間を過ごすことになる。こんなに安くできるのも、円高のおかげだ。韓国のウォン安でも、韓国人はフィリピンで英語を学ぼうとしている。韓国人の学生に大人気だという。とにかく大半の日本人の若手は英語は読めて、ある程度書けるから、後は話せれば基本ができる。
 思い切って、1週間や2週間ほどの語学留学をすることから始めるのも、立派な渡航計画だ。
「親と円高はいつかは...」今の日本の貿易バランスでは、今の円高は絶対に続かない。今が最高の、いや最後のチャンスかも。

ポイント

①学生であれ、卒業していて就職できていない人であれ、まずは計画と資金作り

②短期の語学学校留学で、その国を知ることもできる

③英語はとにかく使うこと、とくにヒアリングが大切だ

④英語の立ち上げに半年をかけて、自信をつけよう


 

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