オルタナティブ・ブログ > 読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~ >

商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

こんな時には泣いたら強い

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飛行機搭乗珍体験
こんな時には泣いたら強い


長男が、1歳の頃、私たち家族は欧州を旅行した。

いくつかの国を回って、最後にロンドンからパリまでの短いフライトの後、パリからアフリカに帰国する予定だった。

ロンドンからパリまでは、シャトルサービスをやっていた。空港で先着順で満員になれば飛び立つという方法だ。
予約をしなくて、並んでいればいつかは乗れるという方式だが、待ってる人の数が半端ではなかった。無茶苦茶混んでいた。どんどん時間が経っていく。

私たち家族の場合は、パリに到着後、その日の夕方の予定が決まっていたので遅れることに多少心配になってきた。
「これはやばい」

 何便か待っていたが、まだ乗れない。

 航空会社の係官が、
「一人だけエコノミーの席があります。皆さんの中で、お二人の方々、1名ファーストクラスに切り替えることができるなら、1名エコノミーでお乗せすることができます」
「はい」と真っ先に手を挙げた。「ファーストクラス切りかえOKです」
「はい、そこの二人、あれ、赤ちゃんは」
「家内がファーストクラスに切り替えます。ベイビーは私の膝の上にのせます」
「じゃ、けっこうです。ここに2枚搭乗券があります。どうぞ」と切符と交換した。

「急ぎ乗ってください」

 ヨメサンは、
「いいわね。私ファーストクラスだから」とランラランと言いながら先に乗って行った。

私は小さな息子を抱いてエコノミーの最前列の通路側に座った。直ちにドアが閉められ、飛行機がタラップを離れ、滑走路に向かいだした。

確かにエコノミーの席は超満員だった。ずっと前のカーテンの開いたままになっている先に、ファーストクラスのヨメサンの丸いでかい頭が見えた。その隣は誰も座っていない席の様に見えた。

シャトルで旅行する人たちは、エコノミーの席を好むのだろう。そのときに、私は思いついた。
膝の上に抱いている長男の体を、私のシートベルトでいっしょに固定していたが、その緩みを締めるベルトの端を、ギユーと締めてみた。

たちまち長男はお腹を急に絞められたもので、「わ一」と泣き出した。

私の前に座っていた足の美しいスチュワーデスが、長男の泣き出したことに驚いた時、私はパチンとシートベルトの留具を外したら、予定通り長男は、私の膝から降りるやいなや、
「ママ一」と走ってファーストクラスのママのところに逃げていった。これでおしまい。私も自由になり、長男もファーストクラスで食事をして、最後まで堂々と乗ることができた。

教訓 コマッタ時は、知恵だ。知恵で逃げ切ることだ。



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