ソーシャルクラウドとは何か

経済産業省は2012年9月28日、「平成２３年度次世代高信頼・省エネ型ＩＴ基盤技術開発事業報告書」を公表しました。

中でも興味深いのは、「ソーシャルクラウド基盤技術に関する調査研究」です。

ソーシャルクラウドとは、医療、農業、行政、交通などの社会情報システムのクラウド基盤を指しており、政府の新たな情報通信技術戦略におけるオープンガバメントの確立やクラウドコンピューティングの競争力確保、そして東日本大震災において明らかになったICTの課題など政府の方針を踏まえての位置づけとなっています。

ソーシャルクラウドには、ベースとなるのがスマートシティで、平常時と災害発生時のユースケースにおいて整理されています。「ソーシャルクラウド」の実現に向け、社会基盤を支えるという目的から信頼性、安全性、高速性に優れた広域分散型のフレームワークとし、オープンソース化の推進を示しています。また、複数のクラウド基盤を論理的に統合し、災害時発生時には優先的にリソースを割り当てるといったようい、リソースプールの共通化に向けた標準化の必要性も指摘されています。

ソーシャルクラウドを実現するために、最優先で取り組むべき技術課題として、インタークラウド（複数クラウド間連携・統合）」「CEP（複合イベント）処理機能」「データストア機能」「クラウド基盤」「BCP（事業継続計画）機構」を挙げています。

インタークラウド
複数のクラウドを跨って、アプリケーション、ストリームデータ、データストアを論理的に統合して簡単に利用できるようにする機構

※本機構の範囲
・複数のクラウドを仮想的に統合するオーケストレーション
・複数のクラウド上に仮想的に作られたソーシャルクラウドの共通リソースを制御するソーシャルクラウドマネージャ/ディレクター
・ソーシャルデータやアプリケーションを管理するソーシャルクラウドブローカー

CEP（Complex Event Processing, 複合イベント処理)処理機能）
データセンタやホストが地理的に広域に分散している環境において、複数のCEP エンジンを効率的に運用するために必要となる、複数CEP エンジン運用環境機構

※本機構の範囲
・CEPエンジンの配置を最適に制御するエンジン配置制御機能
・CEPエンジンで動作する監視クエリを最適に配置し制御するクエリ配置制御機能
・広域に分散して動作しているCEPエンジン・監視クエリを管理する広域分散マネージャー

データストア（分散マルチメディアDB基盤等）
複数のクラウドシステムが異なるベンダーや管理者によって管理されている中で、それぞれが管理するソーシャルデータを統合して見せる統合データストア管理機構

※本機構の範囲
・複数のクラウドに格納されているデータを突き合わせて解析処理を行うデータのアドホック突合せ技術
・複数のクラウドシステムにおいて、同一のストレージを用いているとは限らないケースに対応する異機種間レプリケーション技術
・複数のクラウドシステムやデータセンターをまたがるクエリ最適化技術
・大量のストリームデータを確実に格納するデータストア

クラウド基盤
特定用途および環境の制約を受けない、独立に進化している各種ソフトウェア・コンポーネントを有機的に接続/制御する垂直統合技術

さらに、ソーシャルクラウドの実現に向けたアクションとしては、「新たな情報通信技術戦略の補完」「ソーシャルクラウド領域の拡大予測に基づくアクション」「開発基盤のオープンソース化」「OSS 推進団体との連携」などが必要

本調査資料では。先進技術動向、標準化動向、技術課題などを調査し、これらの技術開発を進めるべきと提言しています。

※ソーシャルクラウドに関する関連記事、資料

ソーシャルクラウド基盤技術に関する調査研究（三菱総合研）
ソーシャルクラウドへの取り組み(2012.3.13 富士通 グリッド協議会）
ソーシャルクラウド領域検討部会（日本OSS推進フォーラム）

オープンクラウド入門 CloudStack、OpenStack、OpenFlow、激化するクラウドの覇権争い (Next Publishing(Cloudシリーズ))

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担当キュレーター「わんとぴ」
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