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ETロボコン参戦記 ~ 2年目のジンクス or リベンジ ~ (2/4)

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【ETロボコン参戦記 ~2年目のジンクス or リベンジ~ その2】 ~2006年度参戦記~

(2006年度の参戦記については、富士通ラーニングメディアのHPに掲載されていたものですが、HPリニューアルとともに破棄されたためこちらに再掲します。)

●「実装ごくろうさまでした」を発奮材料に!!
<昨年のモデルに関するコメント。ただ一言。。。>  今年は、2回目の参戦であったため、大会当日に向けてマシンのセットアップ環境から、モデル作成や実装戦略など非常に効率良く取り組むことができました。
 モデリングに関しては、初戦では非常に苦い思い出がありました。昨年、出場チームのモデルに対し、さまざまな審査員コメントが発表されていましたが、私たちのチームのコメントはただ一言、「C言語での実装ごくろうさまでした」という情けないコメントでした。
 そこで、今年は昨年の悔しさ(というより恥ずかしさ)を二度と味わないと心に誓って取り組みました。まず、
①クラス図をレイヤ分割すること
②UMLだけでなく、できるだけ図解することでわかりやすいドキュメントを作成すること
③モデルから実装へマッピングすること
の3点に力を入れました。
 特に、③については、どうしても実装から設計図へリバースしてしまいがちですが、今年はモデルに基づいて実装することを徹底できたことに満足しています。
 モデル部門入賞はできませんでしたが、最終審査まで残ることができたことができ、良かったと思っています。

<今年の大会に参加したLEGO Mindstorms>  実装に関しては、まず初戦時の問題点を洗い出し、最低限組み込みたいベースとなる機能を決定しました。
 2チーム出場可能であったため、そのベースとなる機能にプラスアルファの機能として、一つは高速走行、もう一つは難所走行の特徴を持たせることにし、それぞれの機能に磨きを掛けていきました。しかし、開発の取り組みとしては、業務との関係上なかなか時間が取れず、スケジュールに基づいた綺麗な取り組みではありませんでした。大会直前に(徹夜などをして・・・。)追い込みを掛ける状況になってしまいました。そのため、スケジュールに基づいた理想の開発とは言えません。
 よって、今後もコンセプトをしっかり立て、目標に向けた開発を行うことはもちろんのこと、理想の開発に近づけるようにスケジュールに基づいた開発手法にも工夫を凝らしていきたいものです。

●メンバーの意識を統一する基本コンセプト。
<今年の私たちの基本コンセプト>  では、私たちの設計に関する基本コンセプトを紹介しましょう。
 昨年は、ただ単に実装言語でチームをわけ、それぞれ設計を行いましたが、せっかく同じ部門から2チーム出場しているので、お互い協力し合って、よりよいモデルがつくれないかと考え、まずは「最低限何が必要か?」ということを命題に、私たちが目指すLEGOマシンの定義をしっかりと行うことから始めました。
 コース上には、点線やZクランクといった難所が設けられ、これらを如何に走破するかがポイントになってきます。しかし、いくら難所をクリアできたとしても、そこまでたどり着かなければ何の意味もありません。
 そこで、私たちは最低限システムが必要とする機能をコア機能と位置づけ、両チーム共同で開発し、その上で各チームの特色を出していこうという方針を固めました。
 私たちが定義したコア機能とは、以下のとおりです。

●コア機能

 Level - Ⅰ:基本走行

 環境が整った状態で、黒線に沿って走行する。

 Level - Ⅱ:最低限の信頼性

 イレギュラーな状態が発生しないよう予防し、万が一の場合は安全な走行を行い、完走できるようにする。下記の項目を実装するものとする。

a.コースアウトしてもコースに復帰する。

b.転倒しない。(スピード制御等)

c.前輪のハンドルを切りすぎない。

d.環境の変化に強い。(コースの誤認識抑止)

e.燃料(電池)の状態に影響しない。

 コア機能を実現できれば、安定してコース上を走行することができますので、あとは2チームの特色を如何に出していくか???
 22時を超えた白熱の議論の末、KnowledgeWingチームは貪欲に限界まで高速を突き詰める「高速走行」タイプ、アクティブウィングチームはコース上の難所を確実にクリアする「難所走行」タイプを基本コンセプトとして取り組んで行くことに決定しました。

●拡張機能

<KnowledgeWingチーム>

 Level - Ⅲ:高速走行

 コア機能をベースに、極限まで高速走行を可能とすることをミッションとする。

 以下の課題を克服することを命題とする。

・無駄な前輪の振りを減らす

<ActiveWingチーム>

 Level - Ⅲ:難所走行

 コア機能をベースに、コース上に設けられた難所をクリアすることをミッションとする。

 以下の難所を克服することを命題とする。

・点線ショートカット

・Zクランク

・ゴール後停止

 この基本コンセプトが、後々の結果に大きな影響をもたらす要因となることを、このとき誰もが想像していなかったのでした。

●コース紹介

 競技用のコースは、右図のようにインコースとアウトコースの2つのレーンが用意され、それぞれ1回ずつ走行を実施します。最終コーナーからゴールゲートまでの間は、上り4%、下り2%の勾配の坂道が用意されている。

 またコースには、「難所」と呼ばれるチャレンジングコースが設けられている。アウトコースには、間隔が30mmの「点線ショートカット」が設けられ、点線になっていることで、通常の黒と白だけでラインを判別して走行方向を取り決めることができなくなっている。

 一方インコースには、今年新たに追加された「Zクランク」が設けられている。非常に鋭角の曲がり角を如何にコースを見失わないで曲がりきるかがポイントです。

「出展:ETロボコン実行委員会」

<2006年の大会コース>

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