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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

効率的に愛されたいなんて、誰も望んでいない。

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最近、社会起業に関する本を読んでいる中で、いい本に出会いました。
カルチャー・クリエイティブ(辻信一著、ソトコト新書)

本当の豊かさとは、信頼する心です。本当の豊かさとは、人々がつくり出すコミュニティ、そして友だちです。また、それはきれいな水であり、美しい、花咲く森であり、流れゆく川です。つまり、自然--それこそが本当の豊かさなのです。(12ページ)
お金と幸せを結びつけてしまうと、豊かさの源である自然を破壊したり、家族を失ったりします。資本主義の限界を意識していないと、お金の奴隷になってしまいます。
本当の世界的な視野というのは、そういう徹底的にローカルな思考や行動の先に開けてくるんじゃないか。(29ページ)
地域で考え行動することがグローバルな視野を提供してくれると思います。自分の身近なことで、分かりやすいことから始めることが重要だと思います。
自然って面倒くさいし、泥がついたり、虫に刺されたり。でもそれから自由になろうとすればするほど、逆にどんどん不自由になる。追われるようになる。(57ページ)
人間の勝手な利便性を自然に押しつけると、結局は不自由な思いをすることになります。基本は、共生の思想をどこまで徹底できるかにかかっていると思います。
自然の中でその恵みを受けて暮らそうとすればするほど、人とのつながりは大事になる。孤立さえしていなければ、シンプルライフは可能なんです。変に自立を目指そうとすれば、逆にモノに依存せざるを得なくなる。(63ページ)
シンプルライフというのは、孤高のイメージがありますが、依存し合う関係性が重要なことになります。モノを持たない分、人とのつながりで支えられるということになると思います。
エゴから始まるエコがとても大事だと思う。(中略)ぼくたちが有機食品を選ぶのはそれが、「正しい」からというより、それがおいしくて、身体にもいいからでしょう。(152ページ)
一人一人の楽しいとか美味しいを大事にすることが、エコにつながることだと思います。
文化というものが本質的にスローなのは、それが「共に生きること」を永遠のテーマにしているからだと思うんです。しかし現代文明はますます加速して、そこでは変化とか機動性のみが強調されるから、共に生きることがますます非効率に見え、面倒だと感じられるようになってきている。しかし、そもそもぼくたちは、効率的に生きたいのかって、自問してみればいい。効率的に人を愛するということなんて、はたしてできるだろうか。誰だって効率的に人に愛されたいなんて思わないはずなんです。(170ページ)
効率性だけを求めているビジネスマインドにいい刺激をもらった感じです。会社の中の人間関係でも取り入れたい考え方ですね。

まだまだ紹介したい部分は多いのですが、普段とは違う視点を得るのは、いい一冊でした。

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カルチャー・クリエイティブ(辻信一著、ソトコト新書)

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