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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

新しい編集力

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コンテンツの鍵となる編集力に関して、明解に語っているコラムです。
「ノーブランドのメディア」はブランド品に勝てる?

これから、出版社などのメディア企業が抱える頭痛の種は、今後競合する相手が自分たちと似たような企業ではなく、1人か、もしくは数人くらいまでによってローコストで運営されるメディアとなります。
マスだけを対象としていた旧来のメディア企業は、固定費の高い体質になっています。立派な事務所や高い報酬は、ハンディキャップにしかなりません。伝達にかかるコストが無料に近いネットの世界では、ヒト・モノ・カネなどのリソースの潤沢さは差別化の武器にはなりません。
ウェブの地平に表出すれば、もはやそれはメディアであり、そのメディアには個人だろうが法人だろうが、出版社だろうが八百屋さんだろうが、区別する意味がなくります。換金化手段も、多種多様になるでしょう。
例えば、雑誌や書籍であれば、書店の店頭スペースが有限であることやトーハンなどの取次に扱ってもらうには出版社コードが必要であることなど、八百屋さんが情報を伝達するのは大変でした。認知を広めるためにメディア広告という手段が使われていました。
これまでは、「出版社、ないしはその他メディア関連企業に入社した」がメディアにおける特権的な身分を保証したかもしれませんが、凡庸な企画しか出せず、文芸といえば村上春樹くらいしか読まず、他言語に通じているわけでもなく、プロデュース能力やマーケティング能力に長けているわけでもない「凡人」サラリーマンのつくるメディアよりも、業態こそ違え、社会経験豊富な専門家の送りだすメディアのほうが魅力的な時代です。
読者を引きつけるコンテンツは人間が生み出すものなので、出版社や報道機関が独占していた特権的地位だけに依存する人は情報発信を担うことができません。
今後は、これらをスクリーニングすることが、人力、つまり編者の力となるかもしれません。しかし、それをスクリーニングするべきメタな視座というものを担保するのは、悲しいかなブランド力や、既存出版社なりのステータスとなりますが、ここもオールドメディア企業が惰眠を貪っている今こそノーブランドでも頭角を現せるチャンスといえましょう。
やや難解な表現ですが、スクリーニングという新しい編集のあり方を追求することが新しいメディアビジネスを生んでいくことでしょう。時間のない読者は個別の編集力を評価する訳ではないので、結局はブランドの影響力は無視できませんが、旧メディア企業がスクリーニングに着目していない間に、新興勢力がブランドを築いていくチャンスが溢れているのが現状だと言えるでしょう。
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