先日、仕事でお世話になっている方から、陶器を頂きました。作者の方も著名な方らしく、とても趣きのある皿でした。しかし、陶器以上に有難かったのは、添えられていたお手紙での心配りでした。季節の挨拶、今の仕事、感謝の気持ちが綴られてあり、最後に「お願い」の一文が添えられていました。

なお、お届けに際しては十分に気をつけているのですが、なにぶん壊れやすい焼き物ですので、例年何個か破損が出てしまいます。万が一、お手元に届きましたお品が破損しておりましたら、まずは失礼の段深くお詫び申し上げますとともに、以下お願いです。破損の際は、必ずこちらまでご連絡くださいませ。運送会社さまとのご相談で、お取替え用の品が準備されておりますので、早速お届けさせていただきます。厄介なお願い大変恐縮です。ご連絡先/090-XXXX-XXXX(係り:XXX)
届け物の破損に関して、最近の考えとは、だいぶ趣きが異なると思います。最近の考えの特徴は、

1.破損するといけない(クレームが来る)ので、破損しない物を贈る。
一見、思いやりがありそうですが、運送中の破損までは責任が負えないという贈る側のロジックが優先しており、本来の贈りたい物という考えが薄められていると思います。あくまでも贈りたい物を贈り、贈りやすい物から選ぶ、ということに陥らないようにしたいと思います。破損しやすい物だからこそ、贈り物の有難さを感じる気がします。

2.破損は、運送会社の責任。
大切なのは、誰の責任かということではなく、(破損した物を)受け取った方の気持ちに対する心配りだと思います。私に届いたものは、丁寧に包装されていて、めったに破損はしそうになかったのですが、「例年何個か破損が出てしまいます」と書いてあると、それを伝える方も気が楽になります。しかも「お取替え用の品が準備されております」というのは、さらに敷居を下げる心配りだと思いました。

3.連絡のお願いはせず、連絡先も運送会社になっている。
面倒に巻き込まれたくない気持ちからか、クレームの連絡をお願いすることはめったにありません。せいぜい、運送会社等の問合せ先が書いてある程度です。お客さまが離れていくときは、黙っていなくなります。わざわざクレームを残して去っていくお客さまは、親切な方だと思います。

ことごと左様に、好意として贈り物をする際にも、心配りを加えていくことで、頂くほうの有難みは大きくなると思いますが、最近の傾向はそういう心とは反対方向に向かっているような気がします。効率ということを追求すると、思いやりの心は無くなっていくのかも知れません。日本人がもともと持っていた、おもてなしの心は大切にしていきたいと思います。

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辻 俊彦

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ベンチャーキャピタリスト。専門分野は、メディア系、ITサービス系。

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