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「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み

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10月創刊の角川SSC新書の中で、「「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み」を読みました。

「金融を一言で表現すると、「リスクをコントロールすること」であると思う。」(171ページ)
ポートフォリオを組んで分散投資を行うことによってリスクを低減しているのは、ベンチャー投資に関しても同じ理屈です。そういう意味で、水モノとされるコンテンツをファンドで支えるというのは、極めて理に適った話だと思います。

映画の収益は、「劇場公開から獲得される収益が約30~35%程度、ビデオ、DVDから獲得される収益が最も大きく約半分、残りが、テレビ局への放映権販売や」「インターネット配信事業から獲得される収益」(42ページ)
大雑把にいって、二次利用(DVD販売、ネット配信)が進んだことで、収益力は3倍になり、その分制作費増大の余地が広がったと言えるでしょう。

「「騙そう」としている海外映画ファンドにはいくつかの共通点がある。一つ目の特徴はファンド期間が異様に長いこと、二つ目は期待収益率が極端に高いこと。そして三つ目は「リボルビング(再投資)型」になっていることが圧倒的に多いという点だ」(132ページ)
L&G事件が典型ですが、期間限定なしで高い利回りを謳えるのは、ネズミ講に過ぎません。再投資の裏側は、自転車操業ということですから、3つのチェックポイントは、簡にして要を得ているということになります。

「20世紀を支えた「モノづくり」が製造業だとすれば、文化産業(エンターテイメント・ビジネス)は21世紀の日本を支える「モノづくり」である。」(165ページ)
エンターテインメントと金融が融合することで、水モノから産業への発展が可能になるのだと思います。

「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み(岩崎明彦著、角川SSC新書)

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