クラウドベンダーの税金
クラウドを提供するベンダーが海外の場合は、税金はどこに納めるのか、などと素朴な疑問をもっていました。この疑問にヒントをくれるニュースが先月、流れていました。米Amazonが、国税庁から日本のアマゾンの倉庫経由の日本の販売ビジネスに関して、約140億円の追徴課税の指摘をうけて、二国間協議を申請しているというものです。
米国などの海外の企業が日本でのビジネスで売り上げを上げた場合の課税は、基本その二国間の租税条約に基づくそうです。要は二重課税を防ぐために、どちらで課税するかという条件を決めている訳です。
どの国との条約も基本は似たり寄ったりのようで、基本的な考え方は、海外の企業が日本に恒久的施設をもてば日本で課税されるというものです。この恒久的施設というのは、支店や工場がそれにあたり、倉庫は日米租税条約では含まないという解釈らしく、このあたりが今回の争点のようです。
今回はAmazonの本とかの物がからんで倉庫がどうのこうの、という話のようですが、クラウドのようにサービスの場合はどうなるかなと思いました。クラウドですと極端には、データセンターは全て海外、契約はWebをとおして、お金の支払いはクレジットカードとなりえますよね。そうなるとどんなに国内でクラウドを使ってクラウドの上のビジネスを盛り上げても、その元のクラウドに係わる税金は日本には入らないということが起こりえます。
もっとも、日本にいっさい支店を持たないようなクラウドベンダーを、日本の企業が信用してどんどん使っていくか、というような疑問もわいてきます。とはいえグローバル化の中で、日本でビジネスをしている企業も、コールセンターを海外に持ったりと、最後は日本のビジネスのためには、最低限、日本に何を持つ必要があるかという議論かもしれません。それが恒久的施設にあたるかあたらないか。それで税金って決まってくるのですね。
インターネットでのビジネスという、国を簡単に超えたりまたがったりするものと、国ごとの税金。そもそもこのあたりがこれらのややこしさの根源と思えます。インターネットのビジネスが盛り上って10年。まだまだこういう問題はすっきりした回答がないのだなと思わせるAmazonのニュースでした。