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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

呟きによるマスコラボレーションの可能性

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Twitterにはじまり、企業むけにはYammer、Chatterと、クラウドベースのマイクロブログというか呟き系のツールが広がりつつあります。これらクラウドのツールがもたらす可能性の一つに、たくさんの人が参加するネット会議があるのでは、という予感を実はもっています。ネット会議より、より創造的に、より多数の人の参加という形で、マスコラボレーションの可能性が広がる、とでもいいましょうか。

もちろん今までもネット会議はありました。それでできたこともたくさんあったと思います。ただネット会議は、よく知った同士では相互に意見がかわされ、それなりに民主的に意見をまとめていくことはできたかと思いますが、互いに知らない相手をたくさん含むような場合は、やはり意見の強い、意見がはっきりしている強い参加者にひっぱられていったのではとも思います。ある意味、たくさんのリードオンリーの参加者の意見は、なかなか反映されにくかったでしょう。

その点で、意見をまとめるでもなく、ちょっとコメントする、短く発言する、というマイクロブログの発言に敷居が低い特性は有利と言えるでしょう。実際に比較的発言が苦手の日本人でもTwitterの発言は一人当たりアメリカ人の2倍というアクティブな様子は、静かな会議をにぎやかなものにするかもしれません。SNSがうまく機能しなかった、という企業内ソーシャルにもちょっと光がみえるように思えます。

もちろん敷居の低さだけでは、ネット会議は成立しません。より敷居が低く、発言が多様であると、これはもうファシリテーター泣かせの会議になるでしょう。今までの日本人の会議は対面でやってもなかなか意見がでず、正式な会議では、外部のコンサルタントを雇って事前に個別ヒアリングで集めた意見をまとめてもらいそれを確認していくのが会議などというのもよく見られました。

一方、Twitter関連では、Togetterという日本発のTwitterの意見をまとめるためのサービスが人気を呼んでいます。これは一連のTwitterの呟きをスレッドとして編集してまとめるツールです。いままで断片でしかなかった参加者の発言を他の人の意見と関連づける。これはプロのファシリテーターでしたら、発言者の意見をできるだけ分類し、整理していくのと似ています。Togetterはさらにその整理を編集する人が、あるスレッド、文脈の中で位置づけて可視化する点が、普通の分類と整理と違うところでしょう。私の発言もTogetterされると、編集者の視点が入ってきて、興味ぶかく見ています。

敷居の低い発言環境、そこに文脈を与えて編集やまとめを補助するツール、これだけでも今までの会議に少なかった、たくさんの多様な意見を取り込んで整理することが可能になるのではと思っています。もちろんその後には、通常の会議でやるようなきっちりとしたアイデアや課題の分類と整理、さらに何が本質的かという議論、それらのコンセンサス作り、さらにそれに対する施策の策定というところは残っています。

そういった部分にもWeb2.0の流れで盛んになってきた、投票などの仕組みは使っていけるでしょう。あと課題の整理をしていく過程を、ブログやマインドマップなどの道具をベースにして、より透明性と参加者の共有と理解を促進するのに使えると思います。このあたりは、今のところ、そういった道具をうまくつなげて、流れでみせて参加者の理解をすすめる、コンセンサスを作っていくようなやり方ができる開発環境と、それらの特性をよく理解しているファシリテーターが必要になってくるかもしれません。

日本では新しいアイデアをボトムアップでいろいろ出しあう場づくりが昔から製造業を中心にあるように思えます。ホンダのワイガヤは有名なところです。一種のブレインストーミングのやり方だと思いますが、それをたくさんの参加者を募ってできるツールとしてTwitterを代表とするマイクロブログは有力な出発点でしょう。そしてそこから文脈をまとめる、分類と整理をしてみせる、投票してみて重要度を探る、一連の過程を分析と整理して参加者のコンセンサスにつなげる、といった一連のツールを整備し、それを使いこなせるファシリテーターを養成することで、マスでのコラボレーションの体系として成熟していくように思えてきました。

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