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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

そもそもマルチテナントって

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前回、マルチテナントのレベルについて取り上げました。そもそもマルチテナントは、大雑把には複数のユーザー企業に対して、同じサーバーやデータベースを共有しつつ、かつその企業ユーザー間をきっちり分離する仕組みと言えると思います。何か新しい技術のように思えますが、考えてみれば古くから似たようなものはあるなと、ふと気付きました。

60年代から70年代に、タイム・シェアリング・システム(TSS)と称して、大型計算機やUNIXマシンを、リモート端末から1つのOS上で、たくさんのユーザーが時間分割で使っていたのを思い出します。TSSサービスとして使用料をとってサービスをする会社もあったようです。さまざまな企業や組織に同じマシンを同時に使わせるのですから、マルチテナントらしきものだったのですね。

もともとトランザクション・モニターといったミドルウェアは1つのOSの上でユーザーを分離したり、グループとして扱ったする機能があるものが多いようです。マルチテナントをつくるための基礎的機能は昔からあったと言えるかもしれません。

その後、クライアント・サーバーの波は、1アプリケーションで1システム、かつユーザーに専有の考え方を生み出して、ASPなども企業むけサービスはユーザー企業ごとに専有に近い形をとった流れがあると思います。

前回も触れましたが、Google、Amazonといったクラウドは個人ユーザーという特性からすべて共有というアイデアしかありえず、同じアプリケーションをユーザー間で共有するマルチテナント的になっています。さらに広くはインターネット・バンキングなどのコンシューマー向けWebは当然マルチテナント的な訳です。そういう意味では、マルチテナントはコンシューマーむけシステム造り、といえなくもありません。

マルチテナントの仕組みとして、コンシューマーむけでは必要なく、企業むけのSaaSで必要になってくるのは、同じ企業のユーザー間でデータなどを共有できる仕組みでしょうか。かつ企業が違えばセキュリティーは厳しく確保されなければいけない。このあたりが過去のマルチテナントらしきものとは違う点と言えるでしょう。

SaaSのサービスで、マルチテナントにすることで圧倒的に資源や運用のコストは抑えられると容易に想像できます。海外系のSaaSのSalesforce、NetSuiteはマルチテナントの採用をアピールしていて、これにより粗利率が圧倒的に高いという分析もあります。一方で、国内のSaaSではマルチテナントを謳っているものがあまり見当たらないようです。実態はよくわからないものの、日本のSaaSのコスト競争力という点で気になるところです。

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