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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

セルフサービス型IT

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すでに多くの方が読まれている、2月19日発行(すでに売られてますね)の野村総研の城田真琴氏が著した「クラウドの衝撃」を一気に読みました。鳥瞰的で網羅性がすばらしくバランス良く書かれていると思いました。

その中で考えさせられるところはいくつかありましたが、やはり一番最後の第7章の、「クラウド・コンピューティング時代へ向けて超えるべきキャズム」ですね。章の最後には、「セルフサービス型ITの活用が鍵」と題して、以下のような観点を述べています。

- ユーザー企業は今までのベンダー提案を待つ受身ではクラウドの恩恵であるスケーラビィリティーと柔軟性、そして低料金といった恩恵にあずかれない。
- なぜならクラウドはセルフサービス型ITであり提供企業が積極的営業をかけるとは考えづらい。
- この変化に気付いたユーザー企業がクラウド時代に躍進する企業となるだろう。

もちろん企業むけである分野に特化したクラウドであれば、そのクラウド提供企業ないしはパートナーが今までのようにユーザー企業に直接売り込むところもあるでしょう。Salesforceなどはその分野かもしれません。ただ、より汎用的なITで規模の経済をどんどん追求するグーグルやアマゾン、またこれらのクラウドを組み合わせて使っていくところなどは、中小のコンサルやSIベンダーの力を借りるかもしれませんが、ユーザー側の積極的な主体性が重要になってくるのかも、と思えます。

ニコラス・G・カーの「クラウド化する世界」では、電気というユーティリティーが19世紀後半にどのように広かったかを丁寧に解説しています。その中で電化が工場の大規模化を推進できるといち早く感知した企業が、工場の大規模化、そして合併を推進して生産力を一気にあげて急成長したと解説しています。

この2つを重ね合わせると、セルフサービス型ITを積極的に取り込み、既存ITの効率を一気に高め、そこで浮いた原資から今までなかなか手が回らなかった、企業の差別化要因となる新しいコア業務へのクラウド以外でのIT化を大胆に推進する企業が、クラウド時代に躍進する企業となる。なんていうストーリーがありえるかなと想像してみました。

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