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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

クラウドが企業に広がるための要素

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ここ一週間や一ヶ月でも、ものすごい勢いでクラウドの記事やらイベントが増えていますね。このテーマで書き始めたのを後悔させるくらい・・・ こういうときこそ冷静に考えていきたいです。

クラウドが騒がれるほど、特に企業では爆発的には増えていない現状を考える上で、考える要素を整理したいと思いました。クラウドに限らず普通の新しいサービスや製品が企業ユーザーに大きく広がるための要素です。こんな感じでしょうか。

- クラウドのニーズ
- サービスとしての成熟度
- 業界におけるエコシステム(連携する企業群)
- サービスの信頼度

ここ数年、大学に講義に行く機会が多いのですが、企業ではないにしろ大学生に電子メールは何を使っていますかという質問を必ずして手をあげさせています。以前はパラパラとしか手があがらなかったGoogleのGmailですが、今年はそれぞれの大学で50%を超えるくらいで手があがりました。去年やおととしはここまで上がりませんでした。あきらかにSaaSであるGmailが受け入れられている様子が見られます。

上の4つの項目を考えてみましょう。電子メールのサービスを使うニーズはきちんとしたIT部門をもたない大学生には十分あるわけです。サービスとしても私も使っていますが、Outlookとかにはかなわないものの十分成熟したメールと言えるでしょう。大学生はメールとディレクトリーなど何かを連携させたりするニーズはないですから、そういったベンダーの手伝いは要らなくエコシステムなしでいけます。そして信頼度も、企業むけGmailは数時間使えずUSで大騒ぎになっていましたが、無料版でもほんのたまに使えない、または遅いときはありますが、普通の人には十分安定していると言えるでしょう。

一方のGmailの企業採用ですが、なかなか爆発的にとはいかない様子です。Gmailの企業利用でおもしろい記事がありました。90年代にもWebメールを採用する企業がありましたから、そのニーズとサービスの成熟度は、Gmailでも企業利用でいけると思っています。上の記事でも「技術的には十分」とうコメントがあります。一方で、「重要な情報が他社にあるのは不安」とか、「サービスを中止されたらどうなるか不安」といった、漠然とはしていますがリスクというか信頼度の不十分さがうかがえます。企業ディレクトリーや他のシステムとの連携のためのAPIは用意されていますが、それを実現してくれるパートナーが、「SIサービスが登場」ということですから、エコシステムはこれからのようです。

とかくクラウドは使える、使えないといろんな議論が起こっていますが、ユーザーごとの上の4つの観点での整理をするのはどうでしょう。他の要素があればぜひコメントください。

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