4月の早いうちに新人に経験させておきたいこと
4月というのは、新しい人や物事が何かを始めるだけでなく、その前に何かが終わったりしている月でもあります。
前年度で卒業される人もいますし、なくなってしまう商品やサービス、そしてすっかり変わってしまう組織、いろんなものが終わり・・・そしてそれらを前向きにふまえ、新しい年度(まあ弊社の場合は1月スタートの会社ですけど)初めの4月を迎えているわけです。
レベルにもよりますが、いわゆる船出のシーズン、新しい面子をいくらか迎え入れ、気分一新、良いスタートダッシュをかまさなければ!
新しい面子には新入社員も異動組もいますが、これらを「新人」と定義し、以降、「早いうちに新人に経験させておきたいこと」について考察します。
1. 禁則をしっかり理解させる
新しい物事を始めるときにはルールの類はいろんな意味でゆるい状態です。それでもやってはいけないこと、いわゆる禁則がいろいろあるはずです。これらをまずしっかり教える必要があります。やるべきことを教えるのは当然です。ですが、レールから外れたときに自分自ら「やっちまった!やらかしちゃったヨ」と気づけるようにしておきましょう。これは経験的に早期の「親離れ=自立」をさせるために重要です。
2. インテリジェントな仕事の前に「超」ルーティン仕事をたっぷりやらせる
次に、やるべきことをいろいろ教えていきますが、私の主義として、最初は・・・それはもう、たっぷりと、「超」ルーティン仕事をじゃんじゃんやらせるようにしています。
プライドやら自信のある人ほど、早くインテリジェントな仕事をやりたいと思っているでしょうけど、それをいい意味で我慢させる必要があります。ルーティンは決して下等な仕事ではありません。企業・組織運営に必要不可欠な、とってもとっても大事な仕事です。インテリジェント・ワークとは、世間に差別的・排他的勝利を確定させる圧倒的有利なルーティンを産み出すために「考え抜く」仕事のことです。ルーティンを軽視したり、ましてや企業・組織に不可欠な基本的ルーティンが自らこなせないなんて新人じゃなくて社会人としてそもそも失格です。
3. 何か1つしっかりとした自信を持たせる
ルーティンの繰り返しの中からも自分なりの工夫や発見があって、経験談ではありますが前向きにやっていると意外に楽しいものだったりします。経験的にはむしろインテリジェント・ワークの方が「生みの苦しみ」じゃないですが結構つらいと思いますけどね(笑)。まあキャリア・パスを考えればずっとルーティンというわけにもいかないので、いずれはインテリジェント・ワーク主体になっていかねばなりませんが・・・
いずれにしても、その瞬間において、当人達に何かある仕事領域において自信をつけさせる必要があります。以前何かのエントリで書きましたが、私が新人だった頃、タイプの圧倒的速さ(その1:新卒社員編)といつでも営業機会を探しにいけるクライアントネットワーク(その2:転職当初編)だけが自分の拠り所でした。それらは中長期的にはまったくキラーコンテンツでなく(爆)むしろ超短期的な差別化スキルでしかなかったけど・・・不安にまみれる新人の自分を明らかに支えてくれました。
なんでもいいんです。素直に大きく褒めてあげられる当人の長所を見つけ、育てて自信をつけさせることは大事ですね。
4. 「同期の親友」を作らせておく
仕事能力の有無とかじゃなく、競争意識とかでもなく、単純に新人にとって、いろんな寂しさと戦うために、これは極めて重要なことです。放っておいてももちろん大体は確立していきますが、目標全員に良い親友を誕生させようと思えば、これは周囲・上層から働きかけてこれを作らせるサポートが不可欠です。
親友がいない人はかなりの高確率でそこから早々に去っていきます。あるいは低パフォーマンスの代表格みたいな悪い存在になってしまいます。だからサポートするのです。
この親友関係は、いろんな局面で多面的にチーム・パフォーマンスを維持・向上させてくれます。この点については、私は確信をもって、重要なマネジメントアクションアイテムだと思ってます。
5. 仕事以外の世界において楽しみを持たせる
刹那的に聞こえるかもしれませんが、新人にとって新しい仕事自体は興味深いでしょうから、それなりにモチベーションは普通あるはずです。もしこの時点でなかったら、この人は不良品ですね。人材は全員パーフェクトに使えるわけではありません。残念ながら不良品は存在します。不良品に重要な仕事をさせてもしょうがありません。そんな「不良品」人材はいったん無視して、前向きな人にいっぱい仕事をさせましょう。「自分は主役なんだ!」と思いこませるので。実はそういう状況はいくらか時間が経つと不公平感に転ずるリスクがあります。なのでその前に仕事以外の趣味等、個人に楽しみを存在させましょう。それを誕生させること自体は必ずしも直接支援できないことも多いですが、とにかくそれを確認することは大事ですね。そうしておくと、当人は必ず自立して自分を適宜ガス抜きしていけるようになります。マネジメントプロセスの効率化の観点からもこれは重要です。経験談ではありますが、私が「転職新人」の頃は或る趣味が本当に私の心を支えてくれました。
この他にもあるとは思いますが、とにかく「新人」というのはその新しい組織にとって、帰属する企業にとって、とても重要な戦力であることは疑いなく、ただ「新人」という時点ではいろいろわからないこと、知らないこと、時として誤ったことをする可能性があるということ、考慮点が多いので、いかに効率的に彼ら彼女らを育成して戦力化するか、非常に大事なことなんです。
4月にのみ新人が存在するわけでもありませんが、新入社員の存在が多いことからも4月の過ごし方において、このような新人の活用法、育成術は極めて大事なことと思います。何かのご参考になれば幸いです。