品質と納期
数々プロジェクトをご支援してきましたが、最近、「どちらも守りたい」という相談が多くなり、半分困惑しています。
最初にキックオフしたときには品質も納期も予定通りに達成するものとして、マスタースケジュールやタスク定義等のプロジェクト計画書を策定します。
ですが、プロジェクトの進行に伴い、予想通りにプロジェクトが進捗しなくなったとき、品質と納期について、結局どこまでキャッチアップするのか、決める必要が出てきます。
プロジェクトマネジメントの基本は、よく「品質」「コスト」「納期」といいますね。
少し前までは、
不肖は「品質&納期」vs「コスト」みたいな天秤で考えるよう、アドバイスしてきました。
コスト増を受け入れてでも品質や納期の達成を守ろう、あるいはコストが膨らまないように品質や納期の変更(まあ基本的には下方修正になりますが)を妥結しよう、という考え方でした。
これが最近、「品質」「コスト」「納期」をいきなり3次元で協議する例が多くなりまして。
大抵は最初のアドバイスとして、コストの交渉は「品質」と「納期」が妥結してからの話だから、まず「品質」vs「納期」をどうするか考えましょう、と助言させていただきます。
「品質」を予定通り達成するには「納期」が守れないから「延期の交渉をしたい」、
あるいは、
「納期」は厳守したいので、「品質は多少妥協してもかまわない」、
という交渉支援の依頼が最近増えています。
ただ、見積の妥当性について第3者評価を求められたときにも同様の経験をしたことがありますが、
品質目標や納期の「修正」をする際の「根拠」について、第3者である不肖弊社のような人間・組織が評価を行うことは可能ですが、それを公的文書として纏めたところで、「第3者がいくら妥当性を評価しても当事者自身がその妥当性を証明できていないだから話にならない」と、当事者のどちらか一方に言われてしまった時点で、交渉支援は不可能になってしまいます(経験談です)。
基本的に私の考えは、
品質はベンダーと顧客の双方から目標(基準)と達成に向けた取り組み方(レビュー方針等)について案を持ち寄り、議論のうえで合意形成していただく。
従って、目標修正に関しては、修正をお願いした側あるいは修正の必要性を指摘された側が先に修正案を作った上で協議していただきたいと思います。
納期の変更についても、変更をお願いした側あるいは変更の必要性を指摘された側が変更案を作った上で協議していただきたいと思います。
ただし、納期については当初案策定において顧客側の要望として「納期指定」が行われることが多数ですので、どちらが言い出すにしても顧客側の「納期修正案に対する検査・評価」という行為は不可欠かとは思います。
釈迦に説法と言われるかも知れませんが、一度「ボタンを掛け違えてしまった」ら、品質と納期の両方を(少なくとも当初通りのコストで)リプランして達成するということは「基本的に不可能」です。
「お互い一生懸命ゴール目指して頑張っていらっしゃる」ことは、支援申し上げる立場の不肖弊社としても十分にご理解いたしますが、感情論へ発展する前に、この大原則、今一度よくお知り置きいただいてなんとか無事「決着」していただきたいなあ、と最近感じることが多くなってまいりました・・・