SI業界からコンサルティングファームに転職を考えている方々へ
先日弊社採用セミナーについて広告的投稿をさせていただきましたが、そろそろ話すネタも考えなきゃいけなくて、ふと自分のキャリアについてふりかえってみました。
・・・まあ、自分のことですからプライバシーもある程度までオープンに(そしてある程度は周囲の関係者のことがありますのでデフォルメもして)紹介しながら、表題のテーマについて簡単ではありますが語ってみたいと思います。
90年、理工学部出身なのに会計士になりたくて会計事務所に入所。
同年、会計監査法人とコンサルティング部門がビジネスユニットとして分離する(入社前にもちろん知ってはいましたが、やっぱりショック・・・)、コンサルティング部門へ所属となる。
とはいえ、最初の任務は会計システムのプログラマ。
最初のプロジェクトの最初の仕事は、SI実行計画書のコピー取り(涙)。5cmバインダをA3とA4の混ざり具合に注意しながら30部作成・・・一晩かかり終わったのが夜中の3時。なんか虚しいというか悔しいなあと思って余計に1部作って自宅に持って帰りました(当時のプロジェクト関係者の皆様方、無断でこんなことしてごめんなさい。。。)。
眠いけど読んでみました。
ありゃ、難しい!
企画書、計画書なるものを初めてみました。それもお金もらって作った成果物を。
なるほどー、そのうち出世していくとこんなもの作れなきゃいけないんだ。
そう思って、翌日からのプログラミング作業に、黙って打ち込むことに決めました。
ところで、設計は超アバウト!
・・・大学時代に今でいう分散データベースのレプリケーション機能を開発する研究をしていたので、プログラム自体は得意でしたが、なんせ会計知識がさっぱりないので、設計の誤りにまったく気づけず、間違った仕様もどんどん「正しく」作り上げていくので、あっという間に動かないアプリケーションが出来上がりました(泣)。
そのうちジョブマネジャーが状況をみかねて仕様を全部レビューし、設計書一式を全部修正してくれました(深謝)。で、プログラム修正の日々。
しばらくして、当時TOEIC430点の私に4週間NY出張の指示が。
えーっ!そんな・・・
英語・・・何も話せない、何も聞きとれない、何も伝えられない、つらーい日々が続きました。当時流行の「ボトルマン」に3回も襲われ、死に掛けました(っていうか、これは英語力じゃなくて私が方向音痴で地理勘がないだけのような気が今はします・・・)
腹をくくって、全ての会話はソースコード上で(C言語)、必ず紙に言葉を書いて、ユーザさんとやりとりすることにしてもらいました。担当領域は勘定科目の相対が正しくできればなんとかなる範囲だったので、勘定科目コードの組み合わせが正しいかどうかと、レポート項目の書式が正しいかどうかの確認が主体だったので、こんなコミュニケーションスタイルでなんとか乗り切ることが出来、無事帰国を果たしました。
帰国したら、また仕様がいくらか変わっていて、しばらくして、追加機能の設計に挑戦させてもらえることになりました。でも初めてでなかなかうまい具合に進捗しません。プログラム書けるから設計書が書けるかっていうとそんなもんじゃないですね・・・
合計2年くらいやってたんですがそのうちプロジェクト予算が枯渇し、プロジェクト自体が途中でクローズすることになり、開発し保守してきたシステムを切りのいい時点で仕様凍結し、お客様に全て運用を引き継いで、私は別のプロジェクトへ売られていき、そして転々と1つ1つプロジェクトを渡り歩き・・・
気がついたら設計も担当し、プログラマの技術指導もし、ユーザさんと要件定義を一緒にやったり。移行もやり、基盤設計・実装もやり、稼動後の保守もやり、一通りのSIライフサイクルを体験しながら、SIの難しさを上流につなげるべく、戦略企画的仕事へ転身しました。
基本的にまったく異なるスキルを求められていた気がします。
まずは絵心。
パワポとかでかっこいい絵がかけないと話になりません。
自分オリジナルでいくら頑張ってもゴミ扱いされるだけなので、他人のうまい絵を探し回ってコピーさせてもらい、それを流用して使いに使い回し、なんとかゴミと呼ばれないレベルには到達できました。
それからプレゼン。
提案型スピーチなんてしたことないし、レポーティングもこなれてないから、役員会で話すときなんてカッチカチ。もうボロボロでした。
こればっかりは世の中の本を買い漁り、読みながら明日のプレゼンのスピーチスクリプトをびっしり作文し、棒読みと言われてもいい、内容はちゃんとしたメッセージをとにかくきちんと全部しゃべりきることにまず専念しよう、と決めました。
慣れてくると、びっしり作文することでかえって本番でちょっと方向がぶれただけで必要以上にパニックになることがわかり、簡単にキーワードリストや時間配分とか、あとはそのシーンでやっておきたいボディアクションとか、その程度だけ纏めて本番に臨むようにしました。
最後に聞き取り力。
正確に聞き取れないと、正しい理解もアウトプットの方向性も、全部ぶれるリスクが増す。
ディスカッションであれば、常に直球を打ち返すかのごとく真っ向勝負ばかりでは能もありませんで、打ち返したりかわしたり、或いは焦点を逸らしたり、・・・いろいろテクニックが必要です。
でも、そもそもその前に、聞き取り力が、一方的なプレゼンであれ討議であれ単なる報告であれ、とても重要なんだと気づいたように感じています。
部下もだんだん増えてきました。
有効そうなノウハウは日々全部教えてあげて、「要らないと思ったら使う必要はないんだけど、先人の経験=知恵と思って一応は全部いったん吸収して、そして咀嚼し、その上で自分の意志で取捨選択を決めるんだよ」を口癖にして、そのうち部下も次第に巣立っていきました。
企業戦略を、ITを用いて具体的なケースに落としこむとき、このようなSIの実体験があることは、私は結構重宝しています。
企画段階、初期の計画段階で、それがSI的に成功しそうか失敗しそうか、またどんなところで苦労しそうか或いは何が原因で成功しそうにないのか、等がある程度スピーディに思い浮かべられるので、実現不可能(或いは極めて困難)な計画策定を防ぐことができそうな気がしているからです。
思えば最初のコピー取りなんかも、時間的に追い詰められた環境下で事務的な作業をいかに効率的にこなすかの役には充分たっている気がします。
「後日の参考にならないような無駄な経験は基本的にはない」んじゃないかと思うのです。
「個人のオリジナリティなんか追及せずに他者のアセットを積極的に活用する」
「OAスキルはここぞというときに必ず問われるので、少しでも技術力を磨き続けること」
これは今でもモットーにしています。
私はこんな経歴がビジネスキャリアのスタートなので、自分の稚拙なオリジナルセンスなんて信用せずに、先人の経験・知恵をまずは最重要視し、それを真似て改良・工夫していくことから始めたいと考えています。プライドが邪魔することが全くないわけでもないですが、効率と目的達成を考えたときに、「他人のものをまるで自分のものかのように使いこなせる」ことは、とても重要だと思うからです。
最近はプロジェクトマネジメントというテーマで仕事をする機会が多くなりました。
それも、自分で立ち上げるというよりは他人が立ち上げたプロジェクトの火消しが多い。
でも、
プロジェクト=企業とみなせば企業経営再建と一緒じゃないかと割り切り、楽しいとまでは思えませんが(残念ながら)一応の充実感や達成感を日々味わいながら、仕事に励んでいます。
・・・とまあ、こんな私ですが、一応は外資系コンサルティングファームでなんとかグループ長を務めるところまでは生き延びてこれました。
あれ?表題からそれてしまったかも・・・(汗)
とにかく、少しでも参考になれば本当に幸いです。
ご興味のある方、是非弊社に限らず、各ファームの門を叩いてみてください!