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ソフトウェア製品開発現場の視点

電力不足に対応するための「夏時間」採用は難しい

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東京電力が供給できる電力が足りないことで、計画停電が実施されています。電力が足りないならば、できるだけ自然のエネルギーを利用した方が良いということで、欧米諸国が実施している「夏時間」(アメリカでは Dayiight Saving Time) を実施したらどうかという意見が出ています。ちなみにアメリカのほとんどの週では、すでに3月の初めから「夏時間」になっています。

日本の西のほうに住んでいた人が東京に来ると、朝、明るくなるのが早く、夕方すぐに暗くなることに驚きます。もっと早く起きて活動を始めれば、夕方暗くなる時間を遅くできるのです。オフィスでの計画停電が夕方に行われると最悪です。午後4時頃ならまだ外の明かりがあるので、ミーティングをしたり資料を読んだりすることはできるのですが、その後だんだん暗くなって、仕事どころではなくなります。もし、1時間早く活動を開始すれば、明るい時間をもっと多く使うことができます。

日本でも、過去に夏時間が実施されたことがあります。終戦後、アメリカ軍が駐留していた時期に数年間行われたようですが、それ以来実施されていません。夏時間の概念自体は単純であり、欧米諸国で実施されている訳なので、きちんと調査さえ行えば、実施しても良いように思いますが、ことは簡単ではありません。

最大の問題はコンピュータです。最新のオペレーティングシステムは、夏時間に対応しているので、アプリケーションはオペレーティングシステムの機能を正しく使っていれば、(アプリケーションの特性で、少し変更が必要だとしても)大きな問題はありません。しかし、この「オペレーティングシステムの機能を正しく使っていれば」という条件を満足しないケースがかなり多いのではないかと危惧しています。ソフトウェアを海外で販売すると、夏時間の問題は必ず出てくるので、当然対応しているはずです。しかし、日本で作られているソフトウェアの輸出比率は非常に低いという現状から、国内だけで販売されている物が多く、国内で売っている限り夏時間を考慮しなくても、プログラムは問題なく動作します。特注で作られたソフトウェアはさらに危険で、要件に「夏時間対応」とでも書かれていない限り、対応するようには作られません。このような状態で、夏時間の採用などが決まってしまうと、ソフトウェア業界は、2000年問題の再来のような状態になることが容易に想像できます。

夏時間問題によって、2000年問題の時と同様に雇用が送出されて、経済に良い影響を与えるのであれば、それも良いことかもしれません。

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