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ソフトウェア製品開発現場の視点

人間が感じる時間の長さは、新しい情報の量に比例する

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興味のあることに没頭しているときに、時間があっという間に過ぎ去ってしまうということは、多くの人が体験していると思う。人間の感覚はけっこういい加減なので、同じ時間が条件によって2倍に感じたり半分に感じたりする。かなり前に、「人間が受け取る情報量が増えるほど、時間の経過を長く感じる」という説を聞いた。それから、この説を思い出すことも多いが、あたっていることが結構多い。

たとえば、車を運転して、これまでに行ったことのない目的地に行くようなときには、往路の時間のほうが復路の時間よりも長く感じる。往路は、今走っている道が正しいかどうかの確信もなく、目に入ってくるものすべてが新しい状態で、目的地にたどり着くまでに大量の新しい情報の処理が行われている。これに対して、復路は、走っている方向は逆になるものの、回りに見えるものや距離感など、既知の情報を処理しているだけとなる。この結果、新しい情報の処理量が多い往路のほうが、処理量が少ない復路よりも、時間を長く感じるのだと説明できる。

別の例として、新しい土地に引っ越したときには、いつも時間感覚のずれを感じる。引っ越して1年目は、それ以降の年に比べて圧倒的に長い時間に感じるのである。これは、「新しい土地では、入ってくる情報すべてが新鮮なので、情報処理量が増えて時間の経過を長く感じる」ということになるような気がする。

こうして考えていくと、子供のころの1年は長かったけれども、今は1年があっという間だということにも説明がつく。子供は大人よりも、圧倒的に大量の、自分にとって新しい情報を受け取っているので、1年が大人よりも長く感じるのである。

さらに進めると、「常に環境が変わる中で、新しいものを追い続けている人は、毎日同じことを繰り返している人よりも(体感的に)長い人生を送ることができる。」ということにもつながる。変化に対しての拒否反応があるときには、この理論を思い出すと、重要な一歩が踏み出せるかもしれない。

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