ひさびさの書き込みかと思えば、またまた宣伝です(なので「ですます」調でいきます)。
先ごろ、私が編集長を務める@IT/Windows Server Insiderのサブ・コーナーとして、IT Pro Powerを立ち上げました。コーナー説明ページではだいぶかっこつけて説明しているのですが、簡単にいえば、Windowsシステムの運用管理を担当されているIT Proの皆さんに対し、特に人間系方面のコンテンツをまとめて提供しようという場所です。
IT Proの悩みや苦しみの本当の原因は、技術というよりは、理屈では計れない組織や人間間関係などといった人間系にあるのではないか、という仮説がこのコーナーの出発点にあります。
具体的には、インタビューや座談会などを積極的に展開して、技術や理屈だけでない、人間系を加味した情報システム管理のツボみたいなものが伝えられるとよいと思っています。が、いかんせん、従来型の文字ベース・コンテンツでは、人間系の微妙なニュアンスは伝わらないのではないか、と考えました。
そこでこのコーナーでは、新しい2つの試みを実施しています。
1つは、以前にこのブログでもご紹介したマンガです。以前は広告だったのですが、今度は「アドミンくん」という4コマまんがを企画してみました。まったくタッチは違いますが、作画担当は広告と同じ正木茶丸先生です。すでに第4話まで公開されていますので、ご存じない方はぜひご覧ください。近い将来、マンガの構成案を公募しようと思っています。その節はご協力お願いします。
そしてもう1つは、Podcastによる音声コンテンツです。こちらは「IT Pro Power/5minutes」というタイトルで、毎回5分程度の音声コンテンツを公開していきます。第1回目のコンテンツとして、マイクロソフト吉川顕太郎さんのインタビューを公開しました。ぜひお試しください。
初回なので、私も緊張しまくってます。耳の肥えたみなさんには、お聞き苦しい点が多々あろうかと思います。が、そこはひとつ、これからの改善にご期待いただくとしてお許しください。
何しろ音声編集というのは初めてで、いろいろと苦労しました。でも思ったよりは簡単でした。
今後も制作裏話などをこちらで公開していこうと思います。
Web出版を手がけ始めた6年前、「打倒 紙出版」を標榜して息巻いていた。
あれから6年、Web出版はマスメディアの一角を占めるに至った。その一方で、雑誌や書籍の販売低迷が深刻化している。
Web出版の成功をここで鼓舞しようというのではない。数年Web出版と付き合った結果として、改めて書籍の価値を見直すに至ったという話である。
狭く解像度の低いディスプレイでの表示を余儀なくされるWebでは、長文を読むのは辛い。このためどうしても、1つの記事は短くコンパクトにまとめる方向になる。
また特に商用メディアでは、記事評価の指標が短期的なページビューやユニーク・ユーザーに傾倒しがちであり、いわゆる「おいしいとこ取り」のテーマに偏りがちだ。つまり長い目で見て価値のある情報であっても、短期的に人気が得られないテーマは構造的に扱いにくいという事情がある。
たとえ「おいしいとこ取り」であっても、Web出版物は蓄積していくので、ある程度時間がたつとそれなりのカバレッジに見えるかもしれないが、本質的には断片の寄せ集めであって、本当の意味でシームレスな連続性はない。記事が企画された時期が違えば、企画主旨も違うし、筆者も編集者も違うとなれば、記事の方向性はまちまちにならざるをえないからだ。
これに対し書籍は、同時期に、特定のテーマに対して、一握りの編集者や筆者らによって企画が検討され、目次が決定される。閉じた空間で1つのテーマが追求されるわけだから、必然的に一連の情報は連続的で、ダブリやモレも生まれにくい。
これらの違いをイメージにすると、次のようになるだろう。

Web型情報と書籍型情報
ある程度の知識や経験がある熟練者なら、断片的な情報のギャップをこれまでに獲得した知識で埋めたり、経験からどこで何を調べればギャップを埋められるか見当がついたりするので、それほど問題はないかもしれない。問題は、そうした過去の後ろ盾のない未経験者や初心者である。
手軽なインターネットの情報にまず頼るのはよい。けれどもその結果、知りたいことがすっきりと分からなかったり、体系的な理解ができていないと感じたら、自分の期待に応える書籍がないかどうか、ぜひとも探し求めてみていただきたい。
自力で見つけることが難しければ、経験豊富な先輩に聞いてみよう。きっと先輩が世話になった良書を教えてくれるに違いない。幸い、進歩の激しいIT分野においても、基礎固めに役立つ良書は、数年前の古いものでも十分役に立つことが多い。
Webが期待に応えてくれなかったときは、迷わずWebを捨て、本を読もう。
米Microsoftが、先に開催されたPDC 2005(Microsoft Professional Developers Conference 2005)のブレークアウト・セッション(209セッション)を、ビデオとプレゼン資料で見ることができるSession Onlineの公開を開始した。PowerPointの資料だけだと、デモ内容が見えないので不便だが、こちらはビデオもセットになっており、デモ内容もしっかり見ることができる。いやぁ便利な時代になったもんです。
誰でも無料で視聴が可能。オンラインでストリーミング再生も可能だし、必要なら、PowerPointのプレゼン資料やビデオ、サンプルソースコード、VisualStudio用ソリューション・データなどをダウンロードしてオフラインで再生することもできる(ただし、ファイルサイズは1セッションあたり150Mbytesほど)。
当然ながらすべて英語だが、プレゼンとデモを見ているだけでも、Microsoftがこれから何をしようとしているかが分かる。
6カ月という期間限定の公開サービスのようなので、忘れないうちにチェックされたし!
PDC05 Session Online
http://microsoft.sitestream.com/PDC05/
実を言うと、9月13日からロスで開催されたPDC 2005に参加した。このPDC 2005については、すでに各方面のブロガーの方々が詳細なレポートをしており、すっかり出遅れてしまったのだが、PDC 2005のエキスを約3分弱で見ることができるビデオを見つけたので報告しておこう。
まずはWindows Vista。見所は次のとおり。
- タスクバー・ボタンにマウスを置くと、ミニチュアのウィンドウがポップアップ表示される。再生中のビデオは、ミニチュア内部でも再生される。
- Alt+Tabによるウィンドウの切り替えで、ウィンドウのミニチュアから選択できる(現在はアイコン一覧のみ表示)。再生中のビデオは、このミニチュアの内部でも再生される。
- Windows+Spaceキーを押すと、ウィンドウ一覧を3D表示して、次々と切り替えられる(え、分からない? まあビデオを見てください)。
おそらく、雑誌やWeb記事などでは画面キャプチャが紹介されているはずだ。ビデオはこちらから。
PDC 2005 Bill GatesゼネラルセッションのWindows Vistaのデモ部分
Windows Vistaをひと言でいえば、これまでGDI上にあったグラフィックス・サブシステムを、Direct 3D上に載せ替えたもの、だそうだ。すべてのウィンドウはテクスチャになるそうである。デモを見れば、これは納得できる。
次はOffice 12。見所は次のとおり。
- メニューでフォントを選択している最中、後ろ側の文書のフォントがリアルタイムに変化する。
- Office 12の新しいメニュー・システム。
ビデオはこちら。
PDC 2005 Bill GatesゼネラルセッションのOffice 12のデモ部分
Vistaにせよ、Office 12にせよ、グラフィカルでダイナミックだ。文字メディアで表現するのはますますつらいものになっていくと感じる。これもメディア・ミックスへの一歩ということかもしれない。
円周角は中心角の1/2である。
誰もが知っている円周角の定理だ。なかには頭の中でたちまち証明できる数学的センスの優れた人もいるのだろうが、私はといえば、うーん、えーと、ここに補助線を引くとこうなって…、ああなるほど! といった具合に、納得がいくまでかなり時間がかってしまう。
定理のよいところは、一度証明されてしまえば、次からは、いちいち「うーん」とうならなくても、先人の知恵をステップにして上に登れることだ。証明のこと考えずに、「円周角は中心角の1/2」ということを覚えておき、それを使えばよい。
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機会あって、昨今のソフトウェア開発事情について勉強した。ソフト開発の領域は、先人の経験と知恵がさまざまな分野とレベルでフレームワークとして定理化されており、それをステップに前進を続けていると改めて実感した。
20年ほど前、化学出身で、入社1年そこそこのひよっこでしかない私を上司は呼び出し、Cコンパイラのメンテナンス担当者に任命した。UNIXベースのオフコンだった。そのシステム上で動くほとんどのソフトウェアをコンパイルする要の言語処理系である。コンパイラ理論に触れたのはそのときが初めてだった。エイホとウルマンの『コンパイラ』を読んで、コンパイラ理論の完成度の高さに感嘆を覚えた。今でも、コンパイラ理論は最も完成されたソフトウェア領域の1つであろうと思う。
それから20年。ソフト開発の領域では、オブジェクト指向プログラミング、OOA(Object Oriented Analysys)、DOA(Data Oriented Approach)といった構造化設計手法、RUP(Rational Unified Process)やアジャイルなどの開発プロセス、UMLなどの上流モデリング、デザイン・パターンなどなど、大規模化、複雑化するソフト開発を抽象化、カプセル化し、ソフト開発の生産性を向上するためのベスト・プラクティスが着々と体系化、フレームワーク化されつつある。先の円周角の定理と同じく、完成されたプラクティスは、ソフト開発の創造性をより高いレベルで発揮するための土台として機能している。
一方の情報システム管理者(ITプロ)の領域はどうだろうか。果たしてこの領域でも、ベストプラクティスは体系化されているだろうか? 残念ながら答えはノーである。
システム管理を支援してくれるツールはたくさんあるし、以前に比べれば情報も多い。しかし何というか、それらはあまりに断片的で、前出のソフト開発領域のレベルと比較すると、とてもプラクティスの体系化とは呼べない気がする。多くのシステム管理者は、怠慢や不勉強の結果ではなく、必然として、モグラ叩きに毎日神経をすり減らし、とても大きな潜在リスクを抱えながら、それが現実のものとならないことを運まかせにしているように見える。
いうまでもなく、ソフト開発とシステムの運用管理は、情報システムのライフサイクルとして陸続きになっている。ソフト開発がどれだけ進歩しても、それを運用する技術が未熟では、結局のところエンドユーザーはその利益に浴せないか、利益に見合わないリスクを背負い込むことになる。
混沌とした情報システム管理が体系化、フレームワーク化されることは、ITが進歩するために越えなければならない次の大きなハードルの1つだろうと思う。
(舩津氏の「もう、有償メディアは要りませんか?」を読んで、考えたことをまとめます)
私が一部のフォーラムの運営を担当している@ITがそうであるように、無償メディアの多くは広告収入で成立している。この場合、お金を払うのは広告主だけで、読者はお金を一銭も払わない。つまりメディアから見た顧客は広告主であって、読者は顧客ではない。従って無償メディアは広告主のほうだけを見て記事を作っている。舩津氏の主張はこういうことだと思う。
確かに一理ある。しかし実際に無償メディアを運営する立場からすると、事情はもう少し複雑だ。私の考えを簡単にお伝えしよう。
例えば次の図は、広告主(右)が金にモノを言わせ、メディアをいいように利用して嘘八百の提灯記事を書かせ、読者にろくでもない商品を売りつけているという図式だ。メディアはメシのタネを広告主に依存しているから文句を言えない。読者はメディアにだまされて、不覚にも広告主の商品を買ってしまう。

広告主がメディアを利用して読者をだます
読者、広告主ともにメディア・リテラシーが低いときには、残念ながらこういう図式がまかり通る。実際、10年ほど前、月刊雑誌で製品比較記事を掲載したとき、記事で指摘した製品の欠点について、某アジア・メーカーから「高いお金を払って広告出してるんだから、いいことだけ書け!」とクレームを受けたことがある。もちろん国産製品についても欠点は欠点として書いてきたが、そういうクレームは受けたことがなかった。この差は、メディア・リテラシーの違いだろうと考える。
ある程度メディア・リテラシーの高い社会やマーケットでは、広告主も読者も、メディアの向こう側がどうなっているか、ある程度透けて見えている。

メディア・リテラシーが高いと、読者、広告主ともに、メディアの向こう側が透けて見える
読者は、広告主が支払う広告料で無償メディアが成り立っており、広告主が金にモノを言わせて、自分に有利な記事をメディアに書かせる圧力を容易に加えやすいことを知っている。一方の広告主は、読者はバカではなく、また自分が無償メディアに対して保持している影響力が、読者に見透かされていることを知っている。一方的な押しつけや誇大広告は、長い目で見れば広告主のためにならないし、そのことを広告主は知っているというわけだ。
さてここで考えてみよう。広告主は、メディアの影響力をお金で買って、自社製品の広告を打つ。基本的な目的は売上と利益の増大である。それでは、このとき広告主が買うメディアの影響力の源泉はどこにあるか。それはメディアが読者から提供される信頼や関心、記事を読むために使ってくれる時間だろうと思う。無償メディアは、読者にコンテンツを提供する代わりに、読者の貴重な信頼と時間を獲得する。両者にお金のやりとりはないが、価値の交換はある。お金を介在させることなく、価値を交換できてしまうのは、アトム(形あるもの)に頼ることなく価値を流通できるというインターネットのマジックだ。読者から得られる信頼や時間が大きいほど、メディアの影響力は大きい。影響力が大きければ、より高い値段でそれを広告主に売ることができる。読者の信頼を得なければ、広告主から多くのお金を引き出すことはできない。
このようにメディア・リテラシーが一定レベルを越えた環境では、読者にとって本当に価値のある無料コンテンツを提供しながら、ビジネスとしてメディアを成立できる可能性があるのではなかろうか。弱点はいろいろあれど、いっそうのメディア・リテラシーの成熟によって、何とか成立できると私は考えている。
もちろん、有償メディアが不要だといっているわけではない。実際、年々販売部数が低迷し、良質な書籍がますます作りにくくなっている昨今には危惧を感じている。これについてはまた別の機会にお話したい。
(続きのエントリが遅れました、申し訳ありません)
低コストでコンテンツを提供できるブログには、従来のマスメディアでは構造的に応えられなかった読者のニーズに応じられる歓迎すべき資質がある、と前回のエントリで述べた。反対に今回は、ブログのような低コスト制作可能メディアの負の側面について考えてみよう。
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月刊雑誌の編集長時代のお話。
紙媒体における読者ハガキは、直接読者の声を聞ける貴重なチャネルだ。差し出す方としては、編集部に大量に届くであろう読者ハガキなどにいちいち目を通してはいないだろうと思いがちだが、毎日のハガキをチェックするのは編集長の日課である。周りの編集長も同様だったから、私だけの趣味ではないだろう。
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今回はちょっと宣伝。
編集歴15年にして、今回初めてマンガ制作に挑戦した。

優れた情報でシステムを守れ!
―― あなたのシステムは狙われている ――
http://www.hotfix.jp/advert/manga.html
作ったのは、弊社が販売するWindowsセキュリティ情報サービス「HotFix Report」のWeb向け販促広告である。ちょっとしたつてがあり、「どんなタッチも描けます」とのことだったので、興味もあってお願いしてみた。ストーリーはあまりに安直なれど、我ながら初めてにしては、できばえは上々だと思っている(ぜひ上記リンクからご一読を)。
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前回ともちょっと関係があるお話。
今から13年前の1992年、月刊雑誌のヒラ編集者時代だったときのこと。私は幸運にも、DEC VAXのOS、VMSの開発者で、後にMicrosoft社に移籍して、Windows NTの開発を手がけたデビット・カトラー(David N. Cutler)氏にインタビューする機会を得た。Windows OSの父といってよい存在の、伝説のアーキテクト&プログラマだ(古い雑誌をお持ちの方は、月刊スーパーアスキー 1992年10月号を参照)。
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