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11月1月に,iPhoneアプリに関する印象的な調査記事があったので紹介したい。

Flurry Smartphone Industry Pulse, October 2009 (FLURRY, 2009/11/1)

ゲームに続き,iPhoneは電子書籍に本腰を入れ始めたというニュースだ。

iPhoneでは,FacebookやMyspaceなどのソーシャルアプリ・プラットフォームと同じくゲーム・デベロッパーが大量に参入している。そのためApp Storeでは長い間ゲームが最大のカテゴリーだった。

Appstore_numberappspercategory_ju_2

例えば2009年7月のデータでは,19%がゲーム・カテゴリーのアプリであることがわかる。この急成長を受けて任天堂がゲーム専門機としての機能に磨きをかけた新製品の年内投入を発表するなど,ニンテンドーDSやソニーPSPの販売計画に影響を与え始めている。

iPhoneが目指しているのはデジタルメディアのモバイル・プラットフォームであり,世界中の手のひらにあらゆるデジタルコンテンツを届けることだろう。実際に,音楽コンテンツに続きゲームコンテンツがそうなりつつある。

そして次にジョブスが目をつけたのは紙媒体の減衰であえいでいる出版業界がもつコンテンツだ。これはもちろんAmazonのKindleなど電子ブックリーダーの活発な動きを睨んだ戦略といえる。

2009年6月に行なわれた開発者向けイベントでは,App Storeで多くのベストセラーを持つ米ScrollMotion社が「50のメジャー雑誌,170の新聞,そして100万冊の本をiPhoneで読める形にして販売する」と発表された。

そしてその勢いが現実のものとなってきたようだ。

Flurry_pulse_october2009_iphonerele

このチャートは2009年7月から10月にかけて新しくリリースされたゲームと電子書籍のアプリ数の推移だ。
減少傾向にあるゲームを尻目に電子書籍が急増し,アプリの新リリース数で9月についにゲームを逆転したのだ。

ここで参考まで,アプリのカテゴリごとの特性を見ておこう。

Loyalty_by_appcategory_updated

これはやはりFLURRY記事から引用したもので,横軸にリテンション(維持・保持),縦軸にフリクエンシー(頻度)としてアプリ・カテゴリーを4分類したものだ。

エリアⅠは高頻度でしかも継続するニュース系アプリ,エリアⅡは高頻度だが一定期間で使用が終わるワンタイム・アプリ,エリアⅣは頻度は低いが継続性が高い医療やツールなどのアプリ,エリアⅢは一回使うだけといったもので質の低いエンタメ系だ。ここでリテンションの低いⅡやⅢはワンタイムチャージ,継続性の高いⅠやⅣは広告や継続的な購読料チャージが向いている。

電子書籍はエリアⅡの典型的なアプリで,このチャートでは一回読み終わるとほとんどアクセスされないタイプとして分類されている。

しかし,OSアップデートによって6月にアプリ課金が解禁されたため,電子書籍においても一冊一冊の売切りではなく継続購読サービスができるようになった。そのためエリアⅡからⅠにシフトしはじめ,広告や継続購読料というビジネスモデルが可能となってきたのだ。この流れを受けて電通がヤッパと組んで電子雑誌有料配信サービス「MAGASTORE」を発表するなど,書籍・雑誌・新聞・マンガ関連の事業者が広告業界を巻きこんで続々参入しはじめている。

プラットフォームとしてAodroidの動きも活発化し,iPhoneの進化スピードもさらに加速するだろう。無料が当たり前のインターネット文化によって苦境に陥っていた出版・新聞業界が,新たな手のひらメディアで復活する可能性が出てきたことは注目すべき流れといえるだろう。

なお,蛇足だが,Amazonは今年3月に「Kindle for iPhone」を提供開始,ハードウェアの上位に位置するミドルウェアとしてのプラットフォーム戦略を明確にしている。任天堂やソニーも今後オープン戦略をとるのか,それともハードウェアにこだわりクローズ戦略を貫くのか,今後の日本製造業のあり方を示唆する構図として筆者は注目している。

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