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On Vox: Facebookの新広告システムと上場のプレッシャー

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 今日、テレビを見ていたら、オーバーストック(Overstock.com、大手電子小売り)社のCEOがフェースブック(Facebook)のトラブルについてコメント(弁明の口調だったが)していた。

フェースブックのトラブルとは...

米国で急成長のSNSフェースブックは、ビーコンという広告システムを最近導入した。これは、メンバーがどんな買い物をしたか、知人や友人に紹介するシステム。オーバーストックやファンダンゴ(Fandango.com、映画館チケット販売)がビーコンの利用を始めたが、メンバーはプライバシーの公表ということで、不満が爆発した。フェースブックのCEO Mark Zukerberg氏はブログで謝罪し、ビーコン機能の停止が選択できるようにするなどの改善を約束している。しかし、ビーコン完全撤廃は今のところ行わないようだ。不評に驚いた広告主(オーバーストックなど)はビーコンの利用を取りやめている。

 

このニュースの面白さは、SNSのプロである同社が基本的なミスを犯した点。SNSのよさは、ユーザが登録情報をどこまで公開するか(家族・親族→知人・友人→一般人)を制御できる点。つまり、ネット上で情報伝搬を制御できるからこそ、SNSが喜ばれる。

ビーコンは、自分の購入履歴をシステムが自動的に、他者に知らせる点で「ユーザーによる情報制御」の原則を守っていない。フェースブックがこんなミスをするのか?と意外だ。

もうひとつは、それほど新広告システムの確立はフェースブックにとって重圧になっているということだろう。同社は来年、株式上場を狙っている。新規上場を成功させるためには、なんとしても広告ビジネスを軌道に乗せ、売り上げを急拡大しなければならない。大きなプレッシャーが経営者にかかっている。だからこそ、こんなミスを犯したのだろう。

 

小池良次(www.ryojikoike.com)

 

 

Originally posted on ryojikoike.vox.com

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