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On Vox: FTTH会議:VerizonのCTO、リチャード・リンチ語録

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先週、ヒューストンでFTTH会議が開催されました。なかなか面白い話が多かったです。

なかでも、Verizon Comuncaitons(VZC)社のRichard Lynch氏(EVP、Chief Technology Office、写真)が基調講演は面白かったです。彼の興味深い発言を列記します。


* 昔、電力業界が生まれたとき、電気は巨大なイノベーションであるとともに、大きなリスクでもあった。FTTHを始めたとき、投資家やメディアは大きなリスクをVZCは選択したと批判した。しかし、5年たった今、誰も私たちの選択を間違っていたとは言わない。

* 今やFiOSはVZCに取って成長の原動力である。/FiOSプロジェクトへの着手は、MySpace(2003年頃登場)やYouTube(2005年頃登場)よりも早かった。

* 今後のブロードバンドを考えるとDSLでは間に合わない。光ファイバーは将来大きな成長が見込めるインフラだ。

* FiOSの敷設は計画通り。今後の課題は僻地・過疎地整備となってゆくだろう。

* 現在、新規加入者は急増している。4年でCATV業界で6位の地位に来た。

* 過去四年の教訓

①Change:
CATV業界に競争を持ち込み、古い体質を変えた。

②Technology:
新技術は時として混乱を招く。しかし、顧客の満足こそ重要であり、そこに注力してゆけば打開できる。

③Operation:
フランチャイズ問題や技術者のトレーニングなどFTTH事業は多くの課題があった。この大きな変化を乗り越えることは大変な苦労がともなう。

④Monumental change:
伝統的なCATVとの決別を実現した。それはIPベースの放送時代だ。現在、MUD(集合住宅・商業ビルなど)という大きな課題にぶつかっている。MUDはひとつひとつが違う問題で、個別に対応する必要があり大変だ。

⑤Fiber:
光ファイバーはユーザーから求められている。FTTHのビジョンは大衆に受け入れられた。

* 今後もVZCは先進的なサービス開発を進めるので、ベンダーの協力は不可欠だ。

◇◇◇

こうして取材メモを見直すと、日本の光IP放送は米国のIPTVトリプルプレーに比べると付加価値が少ないこと、地上波放送との差別化ができていないことを実感しますね。VerizonFiOS TVがウィジェットやSNS導入などに積極的な姿勢をまねしたいものです。つまり、ビジネスモデルの革新性が見えない点で問題ですね。


小池 良次(www.ryojikoike.com)

Originally posted on ryojikoike.vox.com

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