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企業で IoT プロジェクトを発足・推進する際の留意点

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去る2016年11月7日、HCL社が主催する CTO Straight Talk 2016 のパネルディスカッションにパネリストのひとりとして登壇させていただく機会があった。

パネルディスカッションという断片的な発言機会のみの場であったこともあり、正確にお伝えできた自信がないので、ここであらためてお話ししたかったこと、伝えたかったことを書いておこうと思う。

  1. IoT の話をする際には、どこを指して IoT と呼んでいるのかを明確にすべきである。 最近は、IoT を広義に捉え、ビッグデータ、データアナリティクス、人工知能、そして IoT ディバイスやWebアプリケーション、広くは社会へのフィードバックまでをも含めた CPS (Cyber Physical System) 全体を IoT と呼ぶことが少なくない。 僕は、それを「広義のIoT」と呼んでいる。

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  2. IoT は利活用領域によって、大きくは 「守りのIoT」 と 「攻めのIoT」 の2つに分類できる。 「守りのIoT」は生産性向上、合理化、効率化、コスト削減などを目的としたもの。「攻めのIoT」は IoT によって新規サービスなど顧客にとっての付加価値を提供するもので、それによって新しい利益を生み出すものである。

  3. 「守りのIoT」 は従来の取り組みの延長線上であり、「持続的イノベーション」を目指す。一方で 「攻めのIoT」 は全く新しいものを生み出す 「破壊的イノベーション」 を志向している。

  4. したがい、「守りのIoT」 と 「攻めのIoT」 では、プロジェクトの性格が全く異なり、アプローチも異なる。 「守りのIoT」 は、「1を10に、10を100にする」 アプローチであり、「攻めのIoT」 は 「ゼロからイチを生み出す」 アプローチが必要である。

  5. 「守りのIoT」 のプロジェクトは、現場と従来の情報システム部門の混成チームによって推進が可能であろう。 一方、「攻めのIoT」は、破壊的イノベーションを生み出さなくてはならず、イノベーターたる資質が必要である。 内部にそのような人材がいなければ外部に求めるのが賢明であろう。 特に IoT を支える技術を保有しているであろう IT部門のメンバーをイノベーターに短期間で育成することは簡単ではないと思われる故。

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