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IT業界のコメントマニアが始めるブログ。いつまで続くのか?

先日は、春アニメの放送予定表をアップロードしましたが、冬アニメについてもほぼ一通り終了しました。まだ最終回を残しているものもあるのですが、そこで、2001年冬アニメの個人的な評価をまとめてみたいと思います。なお、あくまで私的な評価であって、それこそ“好き嫌い”というレベルも含みます。また、抑え気味にするよう配慮しましたが、ややネタバレしているところもあります。今季放送されているものであれば、2クール以上で途中の作品も含まれます。当然、見ていない作品は選考の対象外です。あらかじめご了承ください。

■作品賞「あの夏で待ってる

今季もっともお気に入りのアニメです。音楽や演出もよいのですが、なによりも青春アニメのお手本のようなストーリーが素晴らしい。wikipedia に書かれている企画経緯では「スタンダードな王道的ラブコメ」を目指したそうですが、王道を感じさせながらも、意外性のある展開で最後まで楽しめました。終盤は“やり過ぎ”を感じる面もありましたが、9・10話は何度見たことか。冷静に見れば、やや強引な設定や脚本家(黒田洋介氏)の過去作品「おねがい☆ティーチャー」との関連性が強すぎる面もあるのですが、登場人物たちの気持ちが丁寧に描かれています。また、本作品には悪役がいないのですが、登場人物の“ずるさ”を描写する場面でも切なさが潜んでいるといった感じで、とにかく幸せな気分に浸れる作品でした。

■主演女性キャラ賞「見崎鳴(Another)」

今どきのアニメには、たいてい“魅力的な女性キャラ”が存在するので大変迷うところです。見崎鳴は、“ミステリー”というより“ホラー”と呼びたくなるアニメ作品「Another」の主人公で、作品の良さにマッチした雰囲気が素晴らしいです(ただ、終盤では思いっきり突っ込みたくなる状況はあるのですが)。この点では「未来日記」の我妻由乃のパワフルさも捨てがたく、作品としては「未来日記」の方が好きなのですが、2クール続いたまま、まだ終わっていないということもあり、見崎鳴を選びました。

■主演男性キャラ賞「タダクニ(男子高校生の日常)」

女性キャラに比べて今一つだったかな、と思うのが男性キャラです。「あの夏で待ってる」の霧島海人はインパクトが弱く、「未来日記」の天野雪輝も(今のところ)ヘタレ、「Another」の榊原恒一は振り回されているだけですし、「偽物語」の阿良々木暦に至っては(妹を相手に)無法者と化してしまいました。タダクニは「男子高校生の日常」の主役(のひとり)ですが、「ゆるゆり」の赤座あかりよろしく影の薄い存在と位置づけられているようです。このような判断で選ばれることが、きっとふさわしいでしょう。

■助演女性キャラ賞「谷川柑菜(あの夏で待ってる)」

正直なところ助演扱いしてよいのか迷いますが、“あの夏の青”として絶大な人気を誇っていたように思います。貴月イチカ(主人公)が地球に来なければ霧島海人と幸せを満喫できていたかもしれないのに、すっかり噛ませ犬としての役回りを演じさせられてしまった不遇のキャラです。ちなみに、同じ「あの夏で待ってる」の超人、山乃檸檬(旧称=森野苺……に違いない)もよいのですが、そうすると「未来日記」でストーリーの要所に絡んでいたかっこいいテロリストキャラの雨流みねね(未来日記)も捨てがたいところです。でも、きっと、みんな“青”が好きですよね。

■助演男性キャラ賞「石垣哲朗(あの夏で待ってる)」

同じアニメから選んでばかりですみません。「シンフォギア」で人間離れした身体能力を持ち“お前が戦えばいいじゃん”と思わざるを得ない風鳴弦十郎もいいキャラですし、「ちはやふる」で全然振り向いてもらえない真島太一も不遇キャラとして魅力的ではあるのですが、色々な板挟みの中で自分の立ち位置をわきまえつつも、どんどん話を動かしていく哲郎を選びました。

■非人間キャラ賞「ムルムル(未来日記)」

ヒト(子供)の姿をしているという意味では、“非人間キャラ”にはふさわしくないかもしれませんが、尻尾があり“人”ではないようなので選んでみました。ムルムルは、「未来日記」のオマケとして用意された場面(パートC)の主役だったのですが、終盤では重要な役割を演じています。「ペルソナ4」の“クマ”も愛されキャラではあるのですが、後半の姿と声のアンマッチングな面があり(狙っているのでしょうが)、私にはイマイチでした。「あの夏で待ってる」の“りのん”もよいキャラでした。

■女性声優賞「村田知沙(我妻由乃、未来日記)」

「未来日記」の主役、我妻由乃は、かわいい性格から恐ろしい内面までを持ち、物語の中心的な役割を演じているのですが、ピッタリです。wikipedia を見ると出演作品はまだ少ないようで、主役級は今回が初めてのようですが、今後の活動も期待できそうです。「未来日記」は実写版ドラマも予定されていて、剛力彩芽さんという方が演じられるそうですが、こちらもどうなるのか興味深いところではあります。「ちはやふる」の綾瀬千早を演じた瀬戸麻沙美さんも、新人の方のようで迷うところでした。「キルミーベイベー」でソーニャを担当した田村睦心さんと、折部やすなを担当した赤崎千夏さんもよかったです。「キルミーベイベー」は素材は面白いと思うのですが、(おそらく意図的に)テンポよく進められていないのが気になりました。

■男性声優賞「石田彰(秋瀬或、未来日記)」

「エヴァンゲリオン」の“渚カヲル”を思い出してしまうのですが^_^;、wikipedia によれば石田彰さんは“途中から登場するキーパーソン”を演じることが多いそうです。本作品でも表向きはクールだけど信念のあるキャラが、巧みに表現されていたと思います。声優に詳しいわけではないのですが、どなたも素晴らしいですね。(アニメ映画でタレントが声優やるのは何というか……)

■美術賞「偽物語

「偽物語」は、大変面白かった「化物語」の続編でもあり、冬アニメの中でもっとも期待していたアニメでした。おそらく原作がそうなのでしょうが、「偽物語」は会話劇が多かったり、エロいシーンが多用されていた割に本筋があっさりしていた印象があります。しかし、売れる数が見込めているせいもあるのでしょうが、映像には膨大な手間が投じられているようで、怪異という非現実を扱うストーリーをこれでもかというくらい盛り上げるものとなっています。

■音楽賞「あの夏で待ってる

誤解を恐れずに言えば、「あの夏で待ってる」はリアリティを追求した作品ではありません。もちろん、宇宙人という設定はさておき、主人公たちが8mmフィルムを使う量は高校生のお小遣いで済むとは思えないほどですし、現代の話なのに誰も携帯を持っていません。登場人物の多くはストーカー探偵業なのかと思うくらい都合のいいタイミングと場所に出現します。ともすると、そうしたリアリティに欠けた設定は物語に感情移入する妨げになることもあるのですが、そうならなかったのは脚本が素晴らしいだけではなく登場人物の心情や場面を音楽がうまく盛り上げているためでしょう。

■主題歌賞「ビードロ模様あの夏で待ってる、エンディング曲)」

「あの夏で待ってる」はオープニング曲もよいのですが、このエンディング曲は、まさに世間で言うところの“神曲”だと思います。物語の最後が次回に期待を持たせるものだったこともあり、とてもいい締めくくりとなっていました。歌っているのは“やなぎなぎ”さんで、これがメジャーソロデビュー曲だそうですが、「化物語」のエンディングでもボーカルとして参加されています。良い曲にめぐりあわれていますね。

■歌唱賞「風鳴翼(水樹奈々、戦姫絶唱シンフォギア)」

本作品は、初期には大きな期待感があったのですが、突拍子もないスケールに展開したり、“歌って戦う”という設定により“突然歌いだすミュージカル”と同じような違和感を持ったり、ときどき作画がいまひとつだったりするので、感情移入するのが難しかったというのが正直なところです。でも、(今さら言うことでもないですが)水樹奈々さんは凄いですね。

■脚本賞「バクマン。2

漫画の世界を漫画で描いた作品「バクマン。」の第二期です。実は、一期は見ていません。もちろん、フィクションですが、リアリティが追及されているように思います。その上でフィクションとしての思わぬ展開もあり、毎回楽しんでみていました。おそらく、一期を見ていればもっと楽しめたのでしょうが、二期だけでも大変面白い話でした。ストーリーとしては「ちはやふる」も良作で迷いましたが、こちらを選びました。

■続編賞「偽物語

「偽物語」「アマガミSS+plus」「アクエリオンEVOL」「灼眼のシャナⅢ」「ラストエグザイル-銀翼のファム-」のうち、前作品を視聴したのは「化物語」と「アマガミSS」くらいです。その意味で選択肢はあまりなかったのですが、前作品の設定を活かした新たなストーリー、そして作品の質という意味ではダントツと言ってよいでしょう。最後に「次回に続く」と出ていたのが気になるところですが、BD/DVD の発売予定を見ても「化物語」のようなネットで続きが配信されるということはなさそうです。映画「傷物語」か「物語」シリーズのさらなるアニメ化が(当然)計画されているということでしょうね。

■提供画面賞「男子高校生の日常

秋アニメの「僕は友達が少ない」は、提供を紹介する際に実写のコマ撮りという趣向を凝らしたものだったのですが、冬アニメ(で視聴したアニメ)では、そこまでのものはありませんでした。「男子高校生の日常」の提供画面は、左右に制作側からの“メッセージ”が表示されていました。本来、スポンサーを知らせるための画面ですから、あまり目立ってはいけないのかもしれませんが、この表示ばかり読んでました^_^;

輪廻のラグランジェ 応援バナー■オープニング賞「輪廻のラグランジェ

中島愛さんが歌う「TRY UNITE!」もよいのですが、映像的な演出が好きでした。楽曲の雰囲気という点では、「偽物語」第8話、第10話で“月火ちゃん”が歌う「白金ディスコ」もよいです。「偽物語」は回によってオープニング曲が変わったり、あるいは使われなかったりと手間がかかっているのですが、ここでは1クールを通じて使われていた「輪廻のラグランジェ」を選びました。

■エンディング賞「あの夏で待ってる

前述のとおり楽曲「ビードロ模様」もよいのですが、エンディングも登場人物たちを線画で表現するというシンプルなものでありながら、引き込まれる映像でした。たんに「なつまち」が好き過ぎるだけかもしれません^_^; シンプルなエンディングという意味では「ちはやふる」のエンディングも楽曲とともに好きでした。

■アイキャッチ賞「ペルソナ4

アイキャッチとは、中盤のコマーシャル前後に映る短い映像のことです。私は遊んだことがないのですが、「ペルソナ4」のアイキャッチは、ゲームゆずりのものだそうです。

■エンドカード賞「偽物語

「モーレツ宇宙海賊」の佐藤竜雄監督の直筆メッセージもよいと思ったのですが、ここは順当に選びました。「偽物語」のエンドカード一覧は、こちらで見られます→ http://www.nisemonogatari-anime.com/special/ まあ、ちょっとエロいですね:-)

■ベストシーン賞「あの夏で待ってる

ここは思いっきり【ネタバレ】です。9話で貴月イチカを待ち伏せた谷川柑菜がイチカに叫ぶ場面が大好きです。「好きだって言えばいい。何で言わないの。好きな人と結ばれるんだよ。素敵なことじゃない。あたしがどんなに望んでも手に入らないものがすぐそこにあるのに、こじつけばっかで、逃げてばっかで、海人君が今何をしてるかも知らないくせに!」(谷川柑菜のセリフ)

■総評

2012年春アニメExcelシート(関東ローカル版)」にも書いたのですが、私が深夜アニメを見るようになったのはごく最近のことです。これだけ数があると好みが分かれるだろうと思うものもそれなりにありますが、ほとんどの作品がストーリー的にも映像的にも作りこまれていると感じます。そうした深夜アニメのほとんどが、制作費をビデオソフトとしての売上に頼っているそうで、その点では私はあまり協力しているわけではないのですが、今後も良い作品が出てくることに期待します。

■オマケ

「あるカップルの日常」(PDF、3.4MB)より抜粋
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mohno

著作権を許諾権ではなく報酬請求権化すればもっと活用される、と言われることがあります。しかし、実際にはほとんどの著作権ビジネスが著作権を報酬請求権化することで成り立っています。書籍の著者は出版社と出版契約を結ぶことで、書籍の販売に応じた印税を受け取ります。一冊ごとに販売の許諾を受けるということはありません。より大規模に報酬請求権化しているのが日本音楽著作権協会、JASRAC です。日本の商用楽曲のほとんどについて、著作権を報酬請求権化しています(著作隣接権にあたる原盤権は JASRAC の管理下にありません)。

報酬請求権化することで、著作権者は著作権の勝手に許諾できなくなります。たとえば、報酬請求権化せずに自分で書籍化すれば嫌いな人に売らないということもできます。あるいは、誰でも自由に自作の楽曲を利用してもらうために JASRAC に委託しないということもできます。

■「盆回り」

かつて、「8時だョ!全員集合」という番組があり、コントが終わって舞台を撤収するときにかかる「盆回り」という曲があります(作曲者のたかしまあきひこ氏の Web サイトで提供されているサンプル MIDI ファイル)。たかしま氏は、かつて次のように書かれていました

<CDにならない理由>

2)CDにするということは、公開になるというとです、
  出たとたんに、いろんなバラエティで使うでしょうね、
  ドリフで生まれた音楽だから、他では使ってほしくないですよね。
  すごい、かっこいい劇伴が、他の番組で使われているのを
  聞いたことありませんか?

日本では商用楽曲の包括契約があるので、商用 CD として販売することは、そのまま他のテレビ番組で利用されることになります。作曲者として番組に思い入れがあるので、そのようには利用されたくないということでしょう。もっとも、上記の記載は当時のもので、現在ではCDとして販売されており、JASRAC にも登録されています。実際に、ドリフとは関係ないテレビ番組で使われているのも聞いたことがあります。

wikipedia によれば、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンも、行き過ぎた商業化を避けるためにディズニーへの利用を許諾していないとあります。そうでなくてもコンテンツの世界観を重視するということは、ごく一般的にあります。そうした作者の思い入れを無視してでも、許諾権をすべて報酬請求権化すべきでしょうか。むしろ、(報酬請求権化されているためではありませんが)なんでもかんでもパチンコになってしまう日本のコンテンツは許諾条件が寛容な方でしょう。

■コンテンツの制作と流通

著作権を報酬請求権化するのは、平たく言えばその方が儲かるからです。出版契約を結んだり、レコード会社を通じて JASRAC に信託したりすれば、“誰それに売らない”とか“演奏させない”ということが言えなくなる代わりに対価が受け取れるようになります。本来、「報酬請求権化を進めよう」ということは、「著作権者に儲かる(魅力的な)仕組みを提示しよう」ということと等価なはずです。

以前、Spotify について取り上げましたが、1曲ストリーミングするたびに0.4セントを支払うことができれば(かつ、ある程度のボリュームが見込めるのであれば)、その仕組みに乗ってくるレコード会社はあるのではないでしょうか。なくなってしまいましたが、かつての napster Japan に参加していたレコード会社くらいは参加してくれそうに思います。

このエントリでは、Spotify から(売り上げの少ないであろう)インディーズレーベルが離脱しているという件にも触れましたが、“総額”が少なければ魅力がないと感じられてもしかたがありません。ときどき「売り上げの何割が支払われる(あるいはマージンとして取られる)」ということが話題になります。たとえば、「iTunes Store が3割程度のマージンしか取らずクリエイターに7割が支払われるのは、出版社が著者に払う1割程度の印税に比べて随分高い」というような件です。そもそも iTunes Store は流通であって、出版社と比較すべきものでもないのですが、クリエイターにとってより重要なのは“比率”ではありません。たとえ9割を支払ってくれたとしても、売上が1万円しかなければ9千円の収入にしかなりません。報酬請求権化するなら、「売上に対して高い割合で報酬が得られること」よりも「まとまった額の報酬が得られること」の方がより重要なことです。

■権利の集約

出版社に著作隣接権(版面権)を付与するかどうかという問題で、出版社の力が強くなりすぎるという懸念を示される方がいます。私は版面権がなくても、出版社から条件の厳しい出版契約が提示されれば(著者が受け入れざるを得ない状況であれば)、出版社の力は十分強くなるだろうと思っているのですが、日本で既存の書籍の電子化が進まなかったのは、まさに出版社に権利が集約されていなかったことが原因ではないでしょうか。

もともと、日本の電子書籍市場はケータイ向けには大きな市場がありますが、パソコンなど他の市場は小さなものにすぎません。過去作品を電子書籍化したところで、その手間に見合う収益が得られるかどうか分からない上に、出版契約に電子化の項目がなければ、新たに許諾の取り直しということになります。アメリカでは、著者の権利はほぼ出版社に委ねられ、ほとんど著者には許諾権が残されないそうです(その代り報酬請求権を得る)。日本でも「あらゆる利用について出版社に任せる」という条件であれば、許諾を取り直す手間が省けたはずです。実際、そのような全面的な条件を追加しようとしている出版社もあるようですが、今度はそれが批判されているのを見かけることがあります。欧米のレコード会社は、レコードの売上以外も全面的に対象となる360契約が当たり前になっているとも聞きます。レコード会社は、レコードの売上だけに依存しない活動ができます。

そうした中、日本で電子書籍が進まないことを批判しつつ、出版社やレコード会社に権利が集約することに懸念を示すという人は何をどうしたいと思っているのでしょうか。

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※このコマの続きはこちら→「いいじゃねぇか、減るもんじゃねぇんだし

mohno

さまざまな理由をつけて日本では新たなビジネスを立ち上げる障害があると文句を言う人は多いのですが、その割に実際に存在するサービスに目を向けられていないと感じることも少なくありません。いくつか例を挙げてみます。

Comics49_loGyaO

2005年からある無料の動画配信サイトです(有料版は ShowTime というブランドで提供されていた)。現在では Yahoo! のサービスのひとつとなっていますが、GyaO は元々 USEN が始めた独自ブランドです。当時は ADSL ベースのブロードバンド環境が急速に普及していたこともあり、それを活用して無料で動画配信されるということで注目を集めていました。もちろん、認知が広まったのはテレビコマーシャルなど大々的に宣伝されていたこともあるでしょうが、急速に会員数を伸ばしていたのは事実です。当時は既存のコンテンツを調達するだけでなく、独自コンテンツの制作も手掛けていました。

この GyaO と前後してアメリカで登場したのが YouTube です。YouTube はユーザーが動画を投稿するため、コンテンツを調達する費用がかかりません。実際、不正なコンテンツの蔓延が大きな問題になっていました。そして、翌年には日本でもニコニコ動画が登場します。ニコニコ動画は YouTube と並ぶ“挑戦者”だと言ってよいと思いますが、同じく不正なコンテンツが大量に投稿されていました。調達費をかけずにコンテンツが揃っていく“投稿サイト”に比べれば、GyaO が不利な状況に追い込まれていったのは当然のことだと言えます。GyaO の独自コンテンツすら投稿サイトにコピーされていたくらいです。

アメリカでは、2007年に Hulu という動画配信サービスがはじまりました。日本版は基本的に有料サービスですが、アメリカでは広告ベースの無料配信もあります。それは、まさに GyaO が先駆けて実現してきたことです。GyaO を見捨てながら Hulu を羨ましがってもしかたがありません。

現在の日本では(有料動画配信はともかく)GyaO やニコニコ動画が Hulu の代わりになっていると言ってよいでしょう。大人向けアニメのような“セル”を目的とした映像コンテンツでは、初回と最新の回を無料で配信するといったことが頻繁に行われています(ドラマのようにセルではなくスポンサー料が収益の中心になるものは権利処理が面倒なのだと思われます)。

fujisan

オンラインで雑誌を購入すると、雑誌そのものの代わりにスキャンしたデータを送ってくれるというサービスを始めようとしたのが「コルシカ」というサービスです。「私的複製」を超えたサービスとして大きな問題にもなりましたが、電子書籍が流行り始めた頃でもあり、コルシカを否定することは電子化の否定とする意見なども出てきて大きな議論になりました。

しかし、当時すでに「富士山マガジンサービス」(fujisan)はデジタル雑誌を販売していました。私が fujisan を知ったのは「R25」という無料雑誌のデジタル版が配信されていた頃ですが、当然ちゃんと権利処理されていたドキュメントが提供されるため、紙媒体をスキャナで取り込んだものよりずっと高品質でした。当時、fujisan が扱っていた雑誌数はコルシカが(勝手に)取り扱うと表明していた雑誌数よりもずっと多いくらいでした。コルシカを応援しようとする人は、fujisan を応援(利用)すべきだと思いますが、当時声を上げていた人々は fujisan を利用しているのでしょうか。

テレビジャパンJSTV

「まねきTV」裁判では、海外で日本のテレビを見られることが禁止されてしまうといった批判がなされたこともありますが、実際にはテレビジャパンや JSTV といったサービスがあります。もちろん、権利処理がなされたコンテンツが対象になるため“すべてのテレビ番組”というわけにはいきません(映画やオリンピックのようなものは難しいでしょう)。それでも、海外で“需要”を考えれば、ドラマやバラエティなどはある程度揃っているように見受けられます。

もし、権利処理がなされない動画配信が蔓延すれば、動画投稿サイトへの不正なコンテンツが GyaO を弱体化させたように、テレビジャパンや JSTV のようなサービスに悪影響を及ぼすことも想像できます。アメリカのテレビ番組をネットで再配信する ivi.tv は、(今も裁判中ですが)営業を停止させられたままです。テレビジャパンや JSTV がつぶれてもいいから、ネット配信を進めるべきでしょうか。

※参考「大企業を叩いても、チャレンジャーは喜ばない

mohno

ドメインはいつ削除されるのか(汎用JPの場合)」というエントリでは、期限切れしたJPドメインが削除されるまでの期間などについてご説明しました。また、「失効ドメインのバックオーダー」というエントリでは、そのように削除されるドメインを再登録するサービスについて紹介しました。「お名前.com」で行われた、事後オークションのようすは、「バックオーダーオークション」で見ることができます。

■どのようなドメインが削除されるのか

来月1日未明にも失効ドメインが削除されます。人気の高まりそうなドメインについては「ラット」が公開しています(削除されるドメインの数はずっと多いため、これらは手作業でピックアップしているのだと思います)。いくつか抜粋してみます。

alan.jp
berry.jp
crawler.jp
farewell.jp
fiber.jp
jackass.jp
membership.jp
……

このほかにも、人気の高いショートレター(3つの英字ドメイン)がいくつも削除されます。もし、".com" ドメインだったら、どれも数千~数万ドルで取引されそうなものばかりです。また、お名前.com に会員登録してドメインニュースの配信を設定していると、毎月下旬には削除される予定のドメインが配信されます。

■.jp が安全な理由

.jp ドメインはもっとも安全な TLD だと言われています(※)。日本レジストリサービス(JPRS)が努力しているという面も多少はあるかもしれませんが、もっとも大きな理由は登録費・維持費が比較的高額なことでしょう。近年値上がり傾向にあるのですが、.com などの gTLD は、年間$10ほどで登録できます。一方、.jp(汎用JP)は、安くても年間3000円程度の維持費がかかります。ドメインを悪用する人にとって、わざわざ高額なドメインを登録する必要はないので、TLD としての認知度が高い .com など安く登録できるものを使っているだけです。
※「「.com」サイトの3割以上は「危険」、最も安全なのは「.jp」サイト」(日経ITpro)

登録費が高いために、上に挙げたような良質の名前を登録するチャンスも多いのです。新たなビジネスを始める際に、海外も視野に入れるのであれば .com ドメインを登録する方がよいのですが、国内に限れば .jp ドメイン(または属性型の .co.jp)で十分とも考えられます。必ずしも gTLD に高額な対価を支払う必要はありません。

■本当に捨ててもよいドメインなのか

こうして削除されるドメインの中には、ときどき気になるものがあります。たとえば、ファミリーマートに吸収されたコンビニ「am/pm」が使っていた ampm.jp というドメインも来月1日に削除されます。ここでは具体的な例は挙げませんが、このように大手がブランディングしていたにも関わらず、ビジネスの終了とともにあっさり放棄されてしまうものがあるのです。

こうしたドメインは、ネット上のさまざまな場所からリンクされているため「残存トラフィック」を狙って再登録されることがほとんどです。ampm.jp ドメインも事後オークションになれば、ある程度高い値段が付くでしょう。実際、日本の事後オークションで高値が付くのは、そのようなドメインであることが多いのです。

>Comics48_loそのように放棄されてしまう理由には、JPRS が長期のドメイン登録を認めていない(1年ごとに更新するのが原則)ことがあります。.com などは最長で10年まで予約登録できるため、ビジネスやサービス、あるいは会社ごとなくなってしまっても10年間は他人に管理を渡さないようにできます。レジストラ(登録業者)によっては独自に長期間の予約登録を受けているところもありますが、これはレジストラが事前に支払いを受けて毎年の更新を自動化しているだけです。他のレジストラに移管してしまうと、登録期間は引き継がれません。

独自ドメインでブランディングした場合には、ある程度長期にわたってドメインを維持し続けることが望ましいとともに、JPRS にはより長期の登録を受け付けるようにしてほしいと思います。

mohno

「Gumroad の問題点」の問題点」というエントリでも取り上げたことですが、「検索エンジンは日本の著作権法を逃れるために海外にサーバーを置いている(だから日本でネットビジネスは育たない)」という主張は“都市伝説”と言ってよいでしょう。そのエントリでも指摘したとおり、サーバーを海外に置くだけで日本の著作権法を逃れることができるなら、ベンチャー企業にとっては“サーバーの置き場所”以外に何の障害もないはずだからです。

クラウドが普及する近年でなくても、共有ホスティング・レンタルサーバーというものは早くから存在していましたし、そうしたものを利用したものも含め膨大な数の“検索エンジン”がありました。指定したサイトの情報を何千もの検索エンジンにまとめて登録するというサービスさえありました。日本でも教育機関を中心に検索エンジンが作られていました。そして、全文検索をページランクというユニークな技術で実装した「グーグル」が、“世界中の検索エンジンの中で特筆すべき存在だった”というだけです。

■グーグル・サジェストに関する裁判

米グーグル:検索予測差し止め命令…東京地裁仮処分」(毎日新聞)では、次のように報道されています。

米国のグーグル本社に表示差し止めを求める仮処分を申請し、東京地裁(作田寛之裁判官)が申請を認める決定をしたことが分かった。だが、米グーグルは「日本の法律で規制されない」と拒否し、被害が救済されない事態となっている。

"Don't be evil" を標榜するグーグルですが、日本の法律を順守する気持ちはないようです。「Google 利用規約」を見てみると、たしかに次のように書かれています。

…一部の国の裁判所では、ある種の紛争にカリフォルニア州法が適用されません。ユーザーがそのような国のいずれかに居住している場合で、カリフォルニア州法が適用から排除されるとき、本規約に関するその紛争にはユーザーの国の法律が適用されます。上記以外では、ユーザーは、カリフォルニア州の法選択の規則を除き、本規約または本サービスに起因するまたは関連するいかなる紛争に関しても、アメリカ合衆国カリフォルニア州の法律が適用されることに同意するものとします。同様に、ユーザーの国の裁判所が、本規約に関連する紛争について、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ郡の裁判所を管轄裁判所とする旨の合意を行うことを認めない場合には、ユーザーの居住する法域の裁判管轄に服するものとします。上記以外では、本規約または本サービスに起因するまたは関連するいかなる主張についても、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ郡内に所在する裁判所においてのみ裁判手続を取ることができるものとし、ユーザーと Google はその裁判所の対人管轄権に同意するものとします。

不満があれば、カリフォルニアで提訴しなければ(もちろん勝訴しなければ)聞き入れてもらえないようです。サーバーを海外に置いても日本の法律を逃れることはできないのですが、運営会社を海外に置けば日本の法律を逃れられるという典型的な事例にもなっています。グーグルは、グーグルニュースに関してベルギーの裁判で敗訴していますが、結局、アメリカ以外での判決など意に介すことはなさそうです。

ところで、Bing からリンクされている「マイクロソフトの使用条件」は次のようになっています。

第 13 条 契約先、準拠法、および紛争解決地

お住まいの国または地域、あるいは本社の所在地が日本の場合、契約先のマイクロソフト法人は日本マイクロソフト株式会社 (108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー) です。また、日本の法律が本契約に適用され、本契約から生じる紛争、またはそれに関連して生じるすべての紛争についても適用されます。お客様と日本マイクロソフト株式会社は、本契約から生じる紛争、またはそれに関連して生じるすべての紛争について、東京地方裁判所をその専属管轄裁判所とすることに同意するものとします。

冒頭に挙げた「検索エンジンは海外にサーバーを置いて日本の法律を逃れている」といった噂が独り歩きしていた頃に、「日本の法律を逃れようとしているといった誤った印象を持たれることは法令順守の視点からも好ましくない」と伝えられたこともあります(これは、“お上”の言うことなら裁判せずに従います、という意味ではありません)。

一般論として、企業にとっては“自身に対する規制”の少ない方が利益を上げやすいものです。マイクロソフトは規制の少ない“アメリカ流”を採用すべきでしょうか。

Comics47_lo■情報提供の主体は誰か

はてブのコメントを見ると、「デマを発信しているのはその発信者の問題であり、グーグルの問題ではない」という指摘が散見されます。はたしてそうでしょうか。もし、ユーザーが“投稿”する仕組みを持つ何らかのサイトがあり、その中に不適切な(違法な)投稿があった際には、サイト運営者が通知を受けた“後”で削除すれば投稿内容については免責されます。これがプロバイダ責任制限法です。

グーグルサジェストは、グーグルの意思(グーグルが作成したプログラム)で情報を収集して提供しています。ストリートビューも同じですが、機械的な情報収集であれば故意に特定の問題発言を広めようとしたのではないとは主張できるかもしれません。しかし、通知後に削除すれば免責されるというプロバイダ責任制限法では守られません(そもそも、この件でグーグルは情報を取り下げようとしていません)。

たとえば、ネットに流布するデマをテレビ番組で放送したらどうでしょう。今なお、テレビの影響は絶大ですから、「(ネットでは)〇〇氏は××だという話です」などと伝えられたら、デマかどうかいちいち情報源を確認する人などほとんどいません。ネットの情報を流しただけのテレビ局には何の責任もないでしょうか。東スポのように「うちの記事なんて誰も信じないから、名誉棄損に当たらない」(磯崎哲也氏のブログより)と主張する手もありますが、グーグルがそう主張しているわけではないでしょう。

■“忘れられる権利”

少し前に、欧州委員会で「忘れられる権利」という法案が提出されました(「「忘れられる権利」でインターネットはどう変わる?」(GIZMODO))。情報元は、欧州委員会のサイトにあります("How will the data protection reform affect social network?"(PDF))。これは、そもそもネットに流れるデマは削除すべきというものではなく、いったんネットに公開したものでも(それがたとえ事実でも)それを取り除けるようにすべきだ、というものです。もっとも、欧州委員会の意見にグーグルが耳を傾けるつもりがあるかどうかはわかりません。

検索エンジンにとって、「検索されたくない情報を検索データから削除させる」ことは、企業にとって都合の悪い情報を見つけにくくさせることにもなります。しかし、それを盾にして、現実に起きている個人のプライバシー問題に一切手を付けないでよいものかどうか、私は疑問に思っています

mohno

返却後も使い続けられるレンタルCDの特異性」でも触れましたが、レンタルCD(レンタルレコード)というビジネスが成立したのは、頒布権の消尽(行使された知的財産権を再度行使できないこと)と私的複製とが独立しており、レンタルレコード店が購入したレコードを貸し出してもそれを借り手が“私的複製”することが完全に合法だったという事情があります(現在は“貸与権”が設定されており、国際条約(WIPO)でも著作権者が独占的に行使できる権利とされています)。

■消尽と複製

「CDを借りてダビングする」といったことは普通に行われているでしょう。随分前に「高校生は、音楽CDのことをなんと呼ぶか?」というエントリが話題になり、高校生は CD のことを「マスター」と呼び、“コピー元”と認識しているという話もありました。日本レコード協会の2011年度「音楽メディアユーザー実態調査」で音楽をコピー(録音)した人に対する調査でも、レンタルCDや借りたCDを録音ソースとして使っている人が多いことがわかります。

・録音ソース
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※2011年度「音楽メディアユーザー実態調査」p.31より抜粋

日本では、自分で使うための複製(私的複製)が明文で合法であるため、どこかにCDが1枚あればどれだけ多くの人がその CD からリッピングしたところで、合法であることに変わりはありません(「リッピングの森」のアイデアも、これが元になっています)。もちろん、そのような大量の複製は私的複製を規定する際の想定(起草者の見解)とは違う、という見方はありえますが、条文を読む限りは違法性を問えそうにありません。

Comics46_loアメリカでも、権利の消尽は「ファースト・セール・ドクトリン」という言葉であらわされます。しかし、先のエントリに書いたとおり、「複製して転売する」ことが“フェアユース”とはみなされないようです。個人的に複製して譲渡したり、借りたものを複製したりすることで違法性を問われた事例があるわけではないのですが、著作物、とくにコピー防止機構のない CD の譲渡/転売に関わるサービスで、リッピングしたデータを保持しておいてもよいとか、「リッピングした上で転売するのも公正とみなせる」とする情報はありませんでした(「そう見なすべきだ」という“主張”はあるかもしれませんが、それもまた「現状はそうでない」という理由になります)。

■DVD リッピングと法改正

DVD の保護技術(CSS)を技術的保護手段とする法改正が国会に提出されたというニュースがありました。もともと“マクロビジョンはダメで、CSS ならよい”というのも屁理屈のような印象はあったのですが、今後は DVD のリッピングが違法化されそうです。

もっとも、「自分が買った CD をリッピングして音楽プレーヤーで聴く」という感覚と同じように、「自分が買った DVD をリッピングして別のプレーヤーで視聴する」という要望は考えられることです。実際、ディズニーは以前から「デジタルコピー」サービスを行っていますし、先日のエントリで紹介したように、他の大手の映画会社もアメリカでは「VUDU Disc to Digital」というサービスに参加しようとしています。これらのサービスは著作権者の許諾に基づくサービスなので、十分な需要があれば日本でも実施される見込みのあるものです。少なくとも著作権法が邪魔をするということはありません。

一方、かつて RealNetworks が発売した DVD 複製ソフト「RealDVD」は著作権侵害にあたるとして裁判を起こされ、完敗しました。この裁判の詳細はわかりませんが、もっとも問題が大きいのは DVD レンタルなどで借りたものをリッピングできることではなかったでしょうか。RealDVD は、自己所有であろうとレンタルであろうと、どんな DVD もリッピングできたはずです。他のメディアで視聴させることに積極的なハリウッドの映画会社でも、そのようなサービスは言語道断だったのではないかと思います。

日本の DVD レンタル店に行くと DVD-R メディアが山積みになっています。今回の法改正が成立すれば、そうした状況がなくなるのかもしれませんが、本来「一時的に視聴できるだけだから安い」「永続的に保持できるので高い」というすみ分けになるところを、CD レンタルや、DVD リッピングによって仕組みが破壊されてしまっているともいえます。それとは別に、購入した DVD を“コンテンツを永続的に視聴する権利”と考えれば、リッピングされて別メディアで視聴されようとも、さほど問題があるとは思えません。もちろん、リッピングしたコンテンツを残したまま、DVD を転売すれば別です。

■問題はどこにあるか

こう考えていくと、問題なのは「技術的保護手段を回避して複製すること」ではなく、「複製して譲渡/転売することで一度販売されただけのものが想定外の多数に利用されてしまうこと」だという気がします。もし、複製を残して譲渡/転売することを“消尽”の対象から外すことができれば、権利者側の問題も、利用者側の問題も解決するのではないでしょうか。その延長線上には、「レンタルCD のリッピング」も違法化されてしまうことになりますが、世界的に見れば“他国と同じ”レベルになるだけです。

もちろん、現実的に考えれば、これだけ CD レンタルが一般化している中で、突然やめさせることは現実的ではないでしょう。しかし、「音楽コンテンツの値段」で取り上げたとおり、CD レンタルが低価格で購入する層を取り込んでしまっているために、CD の単価が上がっていたり、オマケ付で売るのが常套化し、音楽配信が伸びないといった日本独特の現象が解決する可能性はあります。日本の著作権法に独特の“きしみ”があるとしたら、それは「複製して譲渡/転売」が合法であることに由来しているように思います。

mohno

DNJournal が毎週発行しているドメイン名取引情報の 2012/3/14 版によれば、lab.org というドメインが $12,500 で取引されました。このドメインを購入されたのはロフトワークを運営されている諏訪光洋さんです。このブログでも取り上げてきましたが、日本では(少なくとも表向きは)良質のドメインを使うということに対する意識が希薄であり、まして良質のドメインを買ってまで使おうとする例が稀有な中で喜ばしい動きでした。

かつて、「Web 2.0」がもてはやされていた頃、ドメイン名への投機は古い(Web 1.0)ものだとされました。しかし、世界的には、この頃から良質のドメインというものがますます重視されていました。サブプライムローンからはじまった世界不況のあおりを受けて、ドメインの取引価格も下落したのは事実ですが、良質のドメインの需要が続いていることに変わりはありません。

lab.org を購入された諏訪さんは、

…日本の最近スタートアップ、ドメインが適当なのが(jpだったりハイフン入ってたり)僕には信じられません。
https://twitter.com/#!/suwaws/status/178056280596938752

とコメントされています。とくにネットで新たなビジネスを始めるときには、ドメイン名にも十分に配慮すべきです。ドメイン名の取引価格までわかっている例は、ほとんどないのですが、日本で使われている良質のドメインについていくつか紹介します。

Pict142a_2chance.com(チャンスイット)

私がドメインに興味を持ち始めた頃に取引されたもので、チャンスイットという懸賞サイトが購入しました。プレスリリースにも出ていますが、当初は chance-it.com というドメインを使っていました。その後、米国在住の個人が所有していた chance.com を8万ドル(当時で約1000万円)で購入したもので、懸賞サイトとしてのブランディングに成功した例だといえます。ポピュラーな英単語の.comは「ワンワード.comドメイン」として、大変貴重がられるものです。当時は、750万ドルで取引された business.com を契機にしたドメイン名バブルがはじけた頃でもあり、こうしたドメインが比較的安価に買えることも多かった時期でしたが、十分にリーズナブルな取引だと言えます。

Pict142bhatena.com(はてな)

「はてな」は日本では hatena.ne.jp というドメインを使っていますが、米国に進出する際に hatena.com を購入しました。日本語のローマ字読みドメインは、日本限定となるため英単語に比べれば需要は限定されますが、覚えやすく良いドメインであることに変わりはありません。このドメインの場合、取引自体が公表されているわけではありませんが、元所有者がドメイン名をなかなか手放さないことで知られていた Ultimate Search だったので、それなりに高額の取引だったことが伺われます。「はてな」の米国進出そのものは、成功事例とは言い難いところですが、ブランディングにおいてドメイン名の重要性が考慮されていたということです。

Pict142ckakaku.com(価格コム)

さまざまな製品やサービスの価格情報を提供する老舗のサイトとして知られています。これもローマ字読みドメインですがドメイン取引で取得したものではなく、ドメインバブルが始まる前の1998年に自ら登録したものです。まだ、ネットビジネスの先駆者として朝日新聞の記事で取り上げられていたのを読んだ覚えがあり、おそらくその頃から急速に一般への認知が広まっていったのでしょう。その際、“カカクコム”と素直に読めるドメインを使っていたことが、ネット上でのブランディングの成功につながったことは間違いありません。

Pict142dDMM.com(デジタルメディアマート)

“英字3文字”は、さまざまな場面で使えるため、どんな組み合わせであってもそれなりの人気があります。とくに“.com”ドメインは失効することはまれで、最低でも数千ドル程度の取引になります。DMM.com についても取引は公開されていませんが、whois の履歴を調べると前所有者から移管されたのは2002年頃です。この頃、安いものは数百ドル程度で取引されたものもありますが、「DMM」という並びは使い勝手がよいので、相応の対価が支払われたものと推察されます。今では「♪ディーエムエム、ドットコム」というコマーシャルで知られていますが、覚えやすいブランド名として定着しています。

Pict142ehirano.com(平野洋一郎氏の個人ブログ)

オルタナティブブロガーでもある平野洋一郎氏の個人ブログ(ここでの更新は休止されており、ご自身の運営する会社で継続されています)。“良質なドメイン”といっても、新たなビジネスの名称を決めるのであれば、さまざまな選択肢があります。しかし、苗字はひとつしかないため、「ほかのドメイン」という選択肢がありません(しかたなく、“~family.com”といった組み合わせから探す例はあります)。“平野”は苗字ランキングとしても100以内に入るであろうもので大変人気がありそうですが、平野氏はインターネット黎明期の1996年にこのドメインを登録して以来、使い続けられています。

良質のドメインは、必ずしもビジネスの成功を約束してくれるものではありませんが、ビジネスにおいて適切なマーケティングや広報活動が重要なのと同じように、とくにネットビジネスの入り口となるドメインも重要だということです。現在、chiiku.com というドメインが $2,400 で取引が成立し、移管処理中のようです。「知育サイト」として運営されることに期待したいと思います。

Comics45_lo

mohno

Comics44_lo 昨年夏に自室に blu-ray レコーダーを設置したのをきっかけに、いわゆる深夜アニメを見るようになりました。GIGAZINE の記事によれば、2011年秋期には64本のテレビシリーズ(地上波で48本)が作られたそうです。おそらく半数くらいが“大人向け”の深夜アニメだと思います。

以前からアニメを見ている人には何も新しいことではないでしょうが、どれも質が高いと感じます。もちろん、好みはあるでしょうが、映像的にも脚本的にも作りこまれているものがほとんどです。これまでケーブルテレビで古いアニメを懐かしく見ることはありましたし、世界名作劇場のような作品は今でも貴重だと思いますが、“大人向けアニメ”と言われるだけのことはあります。実のところ、息子と一緒に“子供向けアニメ”ばかり見ていた頃は、「つまらなくなったものだ」などと感じていた程度だったのですが、今はけっこうな数の深夜アニメを見るようになってしまいました。

さて、秋アニメの頃から Excel を使って番組の放送時間を一覧できるようにしています。地元のケーブルテレビで受信できる東京キー局+独立U局(TOKYO MX、TVK、テレ玉)+BSについてまとめましたので、興味のある方は参考にしてください。録画スケジュールを検討するためにも役立つのではないかと思います。

なお、すべてのアニメを網羅しているわけではありませんし、いくつか再放送分も含まれています。それこそ独立U局で放送される再放送アニメを全部入れると相当な数になりそうです。また、私が記載したアニメを全部見るわけではありません。明確な取捨選択の基準があるわけでもないので、あしからずご了承ください。

Anime2012Spring.xlsxをダウンロード (Excel 2010で作成)
※2012/3/29追加、修正しました。

※掲載したアニメ

Pict141a

Pict141b

mohno

Comics43_loこの週末に、1か月前のエントリでご紹介していた「武蔵野えどまる団」の最後のイベントがありました。土曜日はあいにくの雨で中止され、日曜日も小雨のぱらつく中でなんとか開催したという状況でしたが、なんとか夕方まで本降りにならずにすみました。

イベントの内容は前エントリのとおりですが、いつも通りの激しく楽しい“戦い”になりました。このイベントには、江戸東京たてもの園のスタッフはもちろん、多くのボランティアの方々、そして参加される方々がいてこそのものでした。もっとも遠方の参加者は、なんと台湾から“えどまる団に参加するために”いらしていたそうです(もともと近所にお住まいだった方だそうです)。すべての方々に感謝するとともに、またどこかでお会いできる日を楽しみにしたいと思います。
※「江戸東京たてもの園」がなくなるわけではありません。今後もさまざまなイベントが企画されると思います。

mohno


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大野 元久

大野 元久

平成元年にIT業界に入って以来、開発ツールに関わり、主にマーケティング中心に活動してきました。現在はフリーランス。

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