グーグル・ブック検索の修正和解案では、事前の強気という情報とは裏腹に、対象が英語圏の国(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア)の書籍に限定されることになりました(→公式サイト)。詳細に調べてみたわけではないのですが、おそらく日本の書籍への影響は極めて限定的なものになるでしょう。また、今回の和解が元々「米国」に限定されていたのですから、すでに日本でも実施されているブック検索(検索利用や一部の参照)については、和解案の影響はなく従来通り継続されるものと予想します。なんだか「オレの時間を返せ」と思うところではあります。
閑話休題。
さて、アナログチューナー非搭載レコーダーについて東芝が私的録画補償金を徴収しなかった件について、私的録画補償金管理協会(SARVH)が、訴訟を起こしました。この件について、文化庁が「アナログチューナー非搭載機も補償金の対象である」と回答したことを問題視し、MIAU や主婦連合会が提言などを行っています。この件については、私も当初文化庁の回答を疑問視していた一人だったのですが、さまざまな記事や意見を見た結果、その理解は正しくなかったと反省しているところです。すでに複数の人が指摘している通り、現行の補償金制度については問題があるのですが、それについては後述するとして、まず文化庁の見解について述べていきます。
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“3周年記念の日”に投稿するつもりだったのに、色々あって^_^;すっかり忘れていました。
閑話休題。
3年ちょっと前の、2006年7月26日の記事、「セールスフォースCOO、3年後にWindowsはなくなっているだろう」(atmarkITより)には、タイトル通り、米セールスフォース・ドットコム COO フィル・ロビンソン氏の言葉として、
「Windowsは3年後にはなくなっているだろう」
という“予測”があり、これに対して色々な反応があったわけですが、現状を見て「ほら、予測通りだろ」という人は、これからの予言の“信憑性”が、その程度のものだという評価を受ける覚悟が必要でしょうね。
衆議院が解散しました。選挙までの期間を長く設定しているのは、国会を空転させ、日本の経済対策を不安にさせ、円安を招き、海外頼みの景気回復を狙っているのではないかと思う今日この頃です。さて、この解散に合わせて(というわけではなかったのでしょうが)、MIAU が「インターネットユーザーからの10の質問」を公開しました。回答の選択肢が補完的になっていない設問があるのが気になるところではありますが、“MIAUとしては”1-A, 2-A, 3-A, 4-A~C(?), 5-B, 6-A, 7-B or C(?), 8-B, 9-B, 10-B という回答を期待しているのではないかと勝手に推察します。
さて、議論というものは、自分の意見を支えることばかりを考えていてもなかなか前に進みません。反対の立場では、どのような意見が考えられるだろうかということを考察してこそ、自分の意見を強固なものにできます(あるいはそうした考察を進める上で、意見を変えることもあるでしょう)。私は、衆議院に立候補するわけでもなければ、地方議員どころか学級委員でもないわけですが、個人的な意見は最後に書くとして、ここでは MIAU が期待する回答(予想)とは反対の意見を理由付きで答えてみることにします(ですから、あくまで【思考実験】です)。
ちなみに、「10の質問」に回答する候補者がいても、私は「とにかく回答してくれたからプラス」とは思わないでしょう。たとえば、「とにかくネット活用賛成、規制反対。私はネットユーザーの味方ですよ」と無邪気に回答する候補者がいたら、何も回答しない人よりマイナスに捉えます。逆に意見が違うとしても、すぐれた考察を見せてくれるのであれば、そうした人を応援しようという気になるかもしれません。(これらの質問への回答が、判断材料としてそれほど大きな部分を占めるわけではないのですが)
では、1問目から。
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メールベースでの送金するという決済サービスの PayPal が、日本事業を本格化するというニュースがありましたが、実は私は 2001年から PayPal を使っています。当時、海外の(格安の^_^;)ホスティングサービス業者で、PayPal しか支払い方法がなかったところがあり、その業者を利用するために口座を開設したのが最初です。そのホスティング業者は、ほどなくつぶれてしまったのですが、これまでにも、eBay での取引などで便利に使っています。Creative Commons や wikipedia の寄付でも使われていますし、ちょっとニッチなところではニコリのWeb通販でも使えます。
このように PayPal は便利なサービスですが、手数料があまり安くありません(通常は受取人が負担します)。たとえば、$3,000以下の場合、3.4%+$0.30の手数料がかかります。eBay で落札した商品の対価を支払う場合の手数料は出品者(受取側)が負担するので問題ないのですが、しばしば取引するような相手がいる場合(あるいは自分が受取側になる場合)は、ちょっと無視できない金額です。こんなときは、「一括支払い」という方法を選ぶと、手数料を安く抑えることができます。
一括支払いは、PayPal サイトの下部にあるリンク一覧から「一括支払い」(または "Mass Pay")を選びます。これで詳細な説明が表示されますが、簡単に言うと「送金情報を記したタブ区切りのテキストファイル」を使って送金するというものです。日本語の説明で注意するところとしては、一括支払いのヒントで「この一括支払いファイルをExcelで作成する場合、ファイルに「Text (tab-delimited)」という名前をつけて保存してください。」とありますが、正しくは "To generate a Mass Payment file from Excel, save the file as "Text (tab-delimited)."(私訳: Excel から一括支払いファイルを生成するときは、ファイルを「テキスト(タブ区切り)」形式で保存してください。)です。
「一括支払い」といっても、とくに人数の制約はなく相手が一人だけでも使えます。一括支払いの手数料は1件あたり$1(または120円)以下で、受取側では手数料を負担する必要がありませんから、決まった取引相手がいるなら相手側に一括支払いで送金してもらう、あるいは自分が送金するときには一括支払いで送金することができます。少しだけ手間がかかりますが、信頼できる相手との取引なら活用できるでしょう(eBay で「一括支払いを使うから受取人手数料分だけ負けてくれ」と交渉するようなことは、まったくお勧めしません)。
ちなみに、PayPal は数少ない実用されている1文字ドメイン.comである x.com の所有者でもあります(豆知識)。このドメインを取得した当初は PayPal 本家のサイトに転送されているだけでしたが、一時は PayPal Labs という開発者向けのサイトになっていました。最近では、開発部門の上級ディレクターのブログになっているようです。なんだか、とても贅沢な使い方です。
ふと気がつくと、たいしてエントリを書いてもいないのに、ここ3カ月のテーマがブック検索ばかりなので、ここらで当たり障りのないエントリでも書いてみます。磯崎哲也氏が「「大盛り無料」とは何か」というエントリで、
「大盛り無料」と言っても、誰も、
普通盛りは有料だけど、大盛りは無料
だとは思わんわけですね。
という話を延々説明されています。そして、結論として「アフォーダンス説」を唱えていらっしゃいます。アフォーダンスの説明は wikipedia を参照していただくとして、ここでは(同じようなものですが)「コンテキスト説」を取って、とりとめもなく考えてみたいと思います。なお、誤解のないようにお断りしておくと、ほとんど冗談です(怒らないように)。最後に少しだけ真面目な話をしますが、この手の日本語について考えたい人は金田一春彦氏の著書をお勧めします。
さて、このエントリに対して、はてブで以下のような例を挙げてみました。
- 「ライトついてますか」
- 「俺は鰻だ」
- 「あいつは新宿」
- 「兄さんは明日」
- 「カメラとって」
- 「電気つけて」
- 「鯉の餌、10円」
- 「赤ちゃんは頭から出てくるのよ(キャー!)」
- "I'm having an old friend for dinner"
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GW 前には、いよいよ異議申し立てをしなくては、と思っていたところ、思わず期限が延長されたと聞き、すっかり通常の休暇モードになっていた今日この頃です。2ヶ月前には、あまり話を聞いてくれる人もいなかったのですが、最近急に話題になっているようで、本日も、ある会合に出席してみました。
とりあえず、これまでの取りまとめをしておこうと思います。
- この和解が意図するもの
- 和解内容を決めたのは誰か
- 和解に反対するために除外(オプトアウト)すべきか
- 書籍を除外(exclude)すれば和解に反対する意思表示になるか
- 米国で流通していないからといって絶版(Out-of-Print)扱いになるのはおかしい
- 米国のルールを日本を含む海外にまで押しつけるのは不当か
- 独占禁止法について訴えが起きていることは和解案撤回の後押しになるか
- 出版社は「権利がないので、著者の判断にまかせる」という姿勢でよいか
- 和解が成立したら出版ビジネスに悪影響があるか
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毒を食らわば皿までということで、同じ話題を続けます。とりたてて特定個人の意見をどうこうしようというわけでもないわけですが、ブック検索の和解が意図しているのは、著作者の意思に反してでも著作物をネット利用したいから、ということでは決してありません。もし、そんなことを“意図”していたら、そもそも和解が成立しないでしょう。
ブック検索(全体の表示使用)で、「自ら除外を意思表明(オプトアウト)しない限り著作物が公開される」設定になっているのは、「著作物を公開したくない人がいないのに公開されない作品」、いわゆる“孤児作品”を利用できるようにするためです。本来、著作物は(たとえ事後であっても)許諾なしに利用することはできません。著作者(著作権者)がわかっていれば、利用のための許諾を求めることができますが、著作者がわからなければ、それすらできません。ブック検索の設定を「参加を意思表明(オプトイン)したもの」に限れば、騒がれている問題はなくなるのですが、そうすると意思を表明できない“孤児作品”を利用する道が閉ざされてしまいます。孤児作品の問題は、私が保護期間の延長に反対するほぼ唯一の理由です。
なお、日本の著作権法では、「著作権者不明等の場合における著作物の利用」(第67条)で、著作権者が不明の場合でも「相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができないとき」には、対価を供託することで利用できます。もちろん、「ネットで検索しても見つかりませんでした」程度では、「相当な努力」と認められる可能性はないでしょう。米国でも同じような法律が検討されていたはずですが、どうなったかまでは調べていません^_^;
以前、和解サイトで得られるデータによれば日本の書籍はほとんど“絶版(Out-of-Print)”扱いになっているので、「米国の流通で扱われていないからといって絶版扱いなのはおかしい」と書きました。しかし、実際には日本の amazon から輸入できるものだとしても“販売中”(Commercially available)とみなすそうです。「データが間違っていたら、申請してくれれば直す」という対応のようですから、どれだけの著者の意思が“正確に反映”できるのか大いに疑問ですが、和解管理者からの回答によれば、版権レジストリはあくまであらゆる著作者の意思を正確に反映することを意図しており、「物書きは表示使用を許諾するのがデフォルト」という考えで設計されているのではありません。
そもそも、世の中にある書籍というのは、机に向かって書き記した個人の創作表現というものばかりではありません。それなりの時間をかけて調査したものや、制作にお金がかかっているものもあるでしょう。書店にいけば、“自己表現”でない書籍が山ほど見つかります。以前にも書きましたが、著作物にはさまざまな多様性があるわけですから、自らの著作物の取り扱いをもって、他者にまで「こうあるべき」ということは押しつけ以外の何ものでもありません。逆に、自分の作品がネットで読まれることが嬉しいのであれば、主に著作権切れの作品をテキスト化している「青空文庫」で公開することだってできます。
もし、版権レジストリが、あらゆる著者(著作権者)の意思を正確に反映するものとなるなら、何も問題はありません。そこにあるのは、意思表示されない“孤児作品”の活用が進むというメリットだけです。どこかの待合室の見たテレビ番組で、相続が重なって多数の所有者に所有権が分散してしまった土地利用の話題を取り上げていました。そもそも所有権を持っていることすら知らない所有者もいるという話で、そのような制度のために活用されない土地を問題視したものでした。だからといって、「土地活用を促進するため、活用の是非をインターネットで申請してください。申請のないものは公共用として没収します」という告知を新聞の片隅に出して、すませられるものでしょうか。しかも、申請の妥当性さえ検証しないのだとしたら。
疑問は、いまだ消えません。
われながら、何度も同じ話題を続けるのはどうかとも思いますが、ブック検索の和解について日本文芸家協会が抗議声明を出したとの報道がありました→声明文(PDF)。もっと早くに出ていてもおかしくないと思うようなものですが、この声明文にはいくらか疑問があります。
まず、
日本の著作権者が和解案に困惑していることが明白であるにも拘わらずGoogle Japan Inc.(以下日本グーグル社)には責任ある相談窓口も設けられていないことをみても、米グーグル社の姿勢にはいささかの誠意も認められない。
とあるのですが、そもそも、今回の和解通知書が米グーグル社名義で出されていることからも、日本グーグル社は関係ないのではないでしょうか。また、この和解はグーグル社が単独で決めたことではありません。そのため和解専用のサイトが用意されており、和解管理を委託されたコンサルタント会社によって、電子メールや電話(無料)での問い合わせを受け付けています。質問によっては、回答までに(とても)時間がかかるのですが、これまで日本から約140件の問い合わせを受け付けているそうです。日本文芸家協会は、「誠意がない」などという前に、この問い合わせ窓口に連絡してみているのでしょうか。
また、
確かに、同和解案は、米国の法律、訴訟手続上は適法、有効なものであるかもしれない。しかし、米グーグル社の提供するネットワークサービスの巨大さ、全世界に広がる利用者の膨大な数、世界中のどこからでも利用できる利便性等の特殊性に鑑みれば、同和解の結果が、米国内のみならず、全世界の著作権制度、訴訟制度をそれぞれ異にする国々の著作権者をも、米国の法律・手続により一方的に拘束することとなり、極めて不当なものである。
とも書かれています。しかし、ある国の著作権ルールが海外の著作物の利用を拘束するのはベルヌ条約で決められていることです。ベルヌ条約の第五条(2)には、
(2) (1)の権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがつて、保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。
と書かれています。つまり、著作権保護の方法は、各国の法令で決めることができるのです。実際、レンタルCD(レンタルレコード)は海外にはない日本独自の制度ですが、もちろん合法です。合法化された当初、当然ながら海外からの反発はあったようですが、それは「レンタルするな」といっても禁止できないからです(後年、こうした声に応えて1年間の禁止期間を設けています)。また、不正アップロードされたコンテンツのダウンロードも、日本は私的複製が明文化されているので合法とされていますが、これは日本の著作物も海外の著作物も同じです。だからこそ、米国による年次改革要望書で違法化してほしいという要望が来ているわけです。
これに限らないのですが、著作権については権利者の代表とされる方々のご意見に、しばしば論理的な欠陥が見られ、説得力を感じないことが少なくありません。この和解についても、直観として不安や憤りを感じるという点は理解するのですが、心情に訴えてみたところで相手もビジネスですから易々と受け入れられるものではないでしょう。世の中は知的財産を専門にされている方もいらっしゃるわけですから、必要ならばそうした方々の支援を仰ぎつつ、理路整然とした内容で抗議すべきように思います。
なお、最後の段落では、
私たちは、今回の米グーグル社の和解案提示をめぐる諸問題について和解案の原告であるアメリカの作家団体代表と話し合い、情報交換する場を持ちたいと願っていることを表明する。
と書かれています。実際に、和解管理者と電子メールでやりとりしましたが、彼らは必要ならばいつでも通訳を連れて、こうした組織に会いに来ると言っていました。まったく無意味な声明とは言いませんが、こうした経緯を考えると日本文芸家協会が当事者に連絡を取ろうとしているようには見えません。まずは当事者への連絡を試みるべきだと思います。(もちろん、このエントリも、ですね)
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