それにしても平和な国だ
最近結婚した国会議員の、配偶者の出産時前後の男性の側の浮気が話題になった。そもそも国会議員に育児休暇をなどと言いだしたところに、自分の立場や制度の趣旨などを全く理解していない幼稚さ、更には知性のなさは表れていたが、それにしてもこのようなくだらない話に、マスコミが殺到し長時間にわたってテレビで取り上げるところも見ると、本当に平和な国だな、或いは今ここにある危機も理解していない愚鈍な国だな、と言わざるを得ない。
なお、くだんの国会議員は議員辞職するそうだが、そもそも辞職するような話なのか、もっともこれから想定されている選挙に与党としては影響が出ては困るし、現実に近々選挙があるとして次回彼が通る可能性は全くないとすれば、ということなのだろう。なお、この一連の流れの中で、大人の対応をした奥様の方はかなり評価が高まったものと思われるので、少なくとも一人分の議席は確保できているわけであり、このような点も勘案した判断だったのだろう。
だが、我が国は、本当にこんなことに浮かれていてよいのか?ランド研究所の机上演習によれば、尖閣をめぐって日中が衝突した場合、米国として全面的に中国と戦争状態になるような手段を選択する可能性は低く、尖閣領域に関する限り中国が勝利する可能性が高いようである。つまり、安倍政権が国民主権を侵してまで実現しようとしている米国との集団的自衛権は、結果として期待した我が国の防衛には十分にはつながらない可能性が高いのだ。
加えて、急速に進む株安や円高、アベノミクスが本当に日本経済にとって意味があったのか、あるのかがこれからの流れで試される。大幅な財政赤字を抱えつつ、社会保険制度が抱えた根本的な問題を解決することなく、一方で時代遅れの製造業重点型の産業政策を追随しているのが、アベノミクスだ。
そして金融政策は、言わばこれらの的外れの政策を覆い隠す目くらましであって、そもそも大量国債でクラウドアウトしている金融市場で、投資意欲を持たない、過去の栄光に縋りついたままの我が国産業界を対象とした場合、何の効果も持たない。
つまり低い株価は、我が国産業の現実の力を素直に表しているものであるし、そもそも海外投資家の動向でしか株価が決まらない我が国の株式市場など、産業の力とは全く関係ないし、そのような株価を注視した国家の政策などあり得ないわけで、ましてや国力を表す自国通貨の評価と正反対の方向を喜ぶなどという政権など考えられない。困るのは急速な通貨価値の変動であって、円高は良いことのはずなのだ。