クラウドかオンプレミスかという二者択一は危険である
昨日のエントリーで、どのアプリケーションをクラウドでどのアプリケーションを自社内でやるかを判断するためのポートフォリオ管理が重要と書きました。しかし、この判断は、単にクラウドでやるか自社設置システム(オンプレミス)でやるかという二者択一の問題ではありません。
たとえば、ハードウェア資源所要量の幅が大きいアプリケーションがあるとします(典型的には特定の季節に需要が急増するタイプの業務)。もちろん、このようなアプリケーションは従量制料金のクラウドで稼働するのに向いていますが、それが唯一の選択肢ではありません。サーバ・ベンダーが提供するCOD(キャパシティ・オン・デマンド)などの購買プログラムを使うことで、ハードウェアの資源消費量が多い時だけ料金が増加するような支払い形式を取ることができます。
データセンターのスペースが足りなくなったとします。この場合でも、従量制のクラウドだけが唯一の選択肢ではありません。資源所要量が十分に予測可能であれば、マシンを自社で買って外部のデータセンター事業者にハウジングしてもらった方が安上がりでしょう。もちろん、データセンター自体を賃貸して自社で管理するという方法もあり得ます。
システムの管理要員が足りないとします。クラウド化すれば一般に管理負荷は減ります。しかし、他にも選択肢はあります。自明な選択肢として、アウトソーサーを雇って自社設置のシステムを管理してもらう方法があります。システムは自社に設置したままで管理作業だけをネットワーク経由で外部のプロバイダーに行なってもらう方法もあります。
ということで、データセンター、管理作業、ハードウェア、システム・ソフトウェア、アプリケーション・ソフトウェアなどの多くの次元で、自社所有、社外(固定料金)、社外(従量制料金)などの多くのやり方があることになります。これだけでも、5の3乗で125通りのやり方があることになりますね(組み合わせの中にはあまり意味のないものの含まれますが)。
いずれにせよ、クラウドかオンプレミスかという二者択一は概念レベルの話をしている時であれば良いのですが、実際に現場における展開の選択肢を考える場合は話ははるかに複雑になるということです。