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消費者の集合知のIQについて

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昨日のエントリーの続きです。コメントでも触れられているように、flog(ヤラセブログ)がばれて炎上して結局逆宣伝になってしまうケースが頻発していますね。何で、同じ過ちが繰り返されるのでしょうか?

おそらく広告代理店側に「広告とはうまく消費者をだませた者勝ち」という発想が残っているからだと思います。しかし、これから先はマスメディアや広告代理店の論理で消費者をコントロールしていくのはますます難しくなっていくでしょう。これは、消費者の一人一人が賢くなっているからという理由ではありません。多くの消費者がネット上で情報を交換し、集合知を確立していくための仕組みがますます強力になっているからです。過去と比べて消費者個人のIQは変わっていないとしても、集合知のIQは飛躍的に高くなっていると思います。つまり、個人はだませてもネット世論全体をだますのは難しくなっていくのではないかということです。

この点にについては、1年ほど前に「Web 2.0時代のCSRについて」というエントリーでも触れました。そこでは、ネット世論形成の手段として以下のものがあるのではと書きました。

匿名ネット掲示板: ノイズは多いがビジビリティ抜群。専門家が大っぴらにはとても言えないことを匿名で書いたり、インサイダーが内部情報を書くこともあり得る。
SNS: 匿名掲示板よりノイズははるかに少なく、責任ある意見交換が行われる。
匿名ブログ: ネット掲示板よりは信頼性がある。履歴がわかりやすい。トラックバックにより情報が連携していく。
Wiki: しっかり管理されていれば正しい情報の整理・集約に役立つ。掲示板よりも見やすく、情報を最新に管理しやすい。
検証サイト: 動かぬ証拠を突きつけることができる。
実名ブログ: 信頼性ある(少なくとも責任がある)意見が見られる。トラックバックによる情報連携。

さらに、今ではYouTubeという強力な「武器」もあります。さらに、この時は書き忘れましたがGoogleも当然重要な武器ですし、キャッシュやアーカイバーにより1度でもネットで書いたことはあわてて消しても証拠が残ってしまいます。

過去においては企業側のヤラセが発覚して、何とかしたいと思ってもも個人ベースでそれを世論として広げていくことは困難でした(個人がマスメディアに告発しても無視されるだけ)が、今や、ネット世論形成のパワーは飛躍的に大きくなってます(これは、まとめサイトを作るというカルチャーが確立した点が大きいと思います)し、ネット世論を検閲することは実質的に誰もできません。こういう潮の流れの大変化が理解できてないメディアや広告代理店は今後手痛い目に遭うことが多くなると思われます。

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