ロケフリ裁判について(3)
昨日のエントリーで引用した著作権法30条(私的複製)で後略とした部分の最初はこうなっています。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(略)を用いて複製する場合
こういう場合は自分でコピーしても私的複製には当たらない(つまり、著作権者の許可がなければ著作権侵害となる)ということを言っているわけです。
なんでこのような規定が生まれたかというと、昔、店頭に高速ダビング器を置いて、客に貸したCDをその場でテープにダビングさせる貸しレコード屋が登場したからです。コピーをしているのは客本人であり店は関知していないので私的複製だという理屈です。これによりレコード店の商売は大打撃を受けたので、この問題を防ぐために法律そのものが改正されてしまったということです。
著作権法は基本的には業界の秩序維持を目的としている(人格権の保護という要素もないわけではないですが)ので、業界的にまずい状況が起きるとすぐ法律が改正されてしまいます(これが、著作権法が法律として結構複雑な理由のひとつです)。上の例以外でいうと、法律の隙間をついて貸しレコードという業態が出てきたので、貸与権という権利が新たに設定されたりしています。まあ要するにルールの裏をかいてうまいことやってる人が増えるとルールそのものがすぐに変えられてしまうということです。
仮に今回の「まねきTV」の件が法律的にOKになってしまうと、似たような業者が多数登場してくるでしょう。そうなるとTV局側が動いて著作権法そのものが改正されてしまう可能性もあります。一昨日のエントリーのコメントでも指摘されているように、(消費者にとって)最悪なパターンは私的複製の権利そのものが制限されてしまうことでしょう。この辺は国民としてしっかりウォッチしていく必要があるでしょう。