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ユーザ満足度で契約する

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社会情報学会の2008年度の大会が、12日から14日まで、東京大学で開催された。
その地方自治体部会で発表された、茨城大学後藤玲子氏の「電子政府のサービス価値の評価モデル」は、日頃目先のことのみにとらわれている私には、とても新鮮だった。
これまでシステム開発の評価は、ニーズを満たしたシステムを、いかに安く構築できるかだった。後藤氏は、そこに使いやすさというユーザの評価が抜けているという。だから機能は満たしているが使いにくい、使われないシステムが作られてしまうという。後藤氏の論文は、国際的に標準とされる概念や枠組みに基づいて、電子行政サービスの業績評価を行うための理論モデルを開発したのだという。そこには大きくユーザの視点が入っている。まだ具体的に適用できるところまで研究は進んでいないが、おおいに期待できる、世界に先がけた研究だと思った。
私は、西宮市におけるリッチクライアント導入事例を発表した。ユーザ満足度という視点で、後藤氏の考えと一致した。会津大学の林隆史氏の「電子自治体におけるSOA導入の課題と可能性」も示唆に富んだものだった。とても素晴らしいひとときだった。電子政府の重鎮、東大の須藤先生も最前列で聞いてくださり、感激だった。

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