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プログラミングでメシが食えるか!?

仕事は指示通りにやればいいというものではない

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多くの仕事は「依頼者」から頼まれて作業します。自発的にする仕事ももちろんありますが、大抵は、「お客さんから」あるいは「上司から」頼まれて仕事をする感じでしょう。

では、「頼まれた仕事は、指示通りにこなすのが一番」でしょうか?

たとえば、ソフトウェアの開発では、依頼側が工程を計画し、管理しながら進めます。もちろん、相談は都度あるでしょうけれど、基本的には依頼者が指示を出し、それに従って進める感じになります。委任・準委任・請負などの発注形態の違いにより、指揮管理権や責任範囲が異なりますが、全体で考えれば、やはり依頼側が指揮管理をすると言えるでしょう。

しかし、ソフトウェア開発で考えれば、たとえばプログラミングに一番詳しいのはプログラマーです。依頼側が請け負い側より高いプログラミングスキルを持っている可能性ももちろんありますが、日々プログラミングの仕事をしているプログラマーの方が実は最適な進め方を知っているかもしれません。それでも指示通りにやる方が良いのでしょうか?

指示通りに進めれば、最終的に納期に間に合わない、あるいは、性能が出ない、などの問題が出ても、指示した側の責任にできる、ということからか、多くの請負開発では請負側は指示通りに進めるようです。私は納得できないことを放置したくないタイプなので、受託開発を始めた頃から自分の考えは主張してきました。

たとえば、「テスト工程で依頼側が問題を見つけたら、請負側は5倍問題を報告するまでテストをすること」などという馬鹿げたルールには、「5倍も問題がないことは作った本人が一番知っているから、そんなことはやらない。やっても、単に5倍の問題を捏造して報告するだけだ。時間の無駄。」と断りました。

あるいは、「限られた工数の中で、仕様の追加の相談を受けた」際に、「追加費用がないなら、ドキュメントをそちらで対応してくれれば、追加分の開発はうちが引き受ける」と、交渉して、どうすればプロジェクトが完成できるかを相談しますし、「仕様書を先にまとめて、承認を得てからコーディングに進めよ」という指示に対して、「試行錯誤が必要なプログラムは机上の設計など無理。プロトタイプを作り、動かして検討しながら仕様も考えなければ手戻りが発生する。ドキュメントは目処がついてから作らせて欲しい」と相談します。

「単に嫌いな仕事を避けたり押しつけたりしているだけ」と感じるかもしれませんが、仮にそうであったとしても私は交渉すべきだと考えています。なぜなら、嫌いな仕事を嫌々進めてもろくな成果に結びつかないと思うからです。自分でなければできない仕事、あるいは、自分がやるのが最適な仕事にこそ力を注ぐべきで、それが依頼側にも一番良い結果が出るものだと思っています。

開発の仕事は、時間を使えば進む、というものでもない部分が多くあります。気合いが入らないとそもそも生み出せないものもあるのです。納得できずにグズグズと取り組んでいたのでは、全体の効率・品質も下がってしまいます。指示通りにやるのが一番というわけではないのです。

もちろん、主張したからには、主張したことに対して責任を持つことになります。そうでなければ主張など聞いてもらえないでしょう。なんの実績もない状態で主張しても聞く耳持たずかも知れません。「この人の考えなら大丈夫だろう」という背景があるかどうかは大きな違いになります。自分が望むような仕事ができるかどうかは、毎回言われるままにやっているのではなく、きちんと主張して、結果を出すことを繰り返してきたかどうかで決まるものです。どうせ取り組む仕事なら、意味のある仕事の進め方をして、良い結果に結びつけたいものです。

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