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プログラミングでメシが食えるか!?

プログラミング:ログ出力には注意!

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当社の製品に、メール宛先制御システム「BridgeFilter SMTP」という製品があります。ネットワークに挿入するだけで、メールの宛先による送信制御を行える製品です。

もともとは、
・不正接続検知/排除システム:IntraGuardian(現在はIntraGuardian2)
・回線遅延シミュレータ:Ethdelay
・メール宛先制御システム:BridgeFilter SMTP
の3つの製品を、組み込みLinuxでのアプライアンスとして製品化したもののうちの1つです。

ところが、「IntraGuardian2は競合製品もあり、役割もわかりやすい」「Ethdelayは技術系で根強いニーズがある」のに比べ、BridgeFilterは「競合製品はない」「メールは重要な業務インフラなのでそんなに簡単に導入できない」という感じで、なかなか売れない製品でした。

メールセキュリティはサーバやプロキシなど、ネットワークの根幹で対処するのが一番確実なのですが、メールサーバやプロキシはそう簡単に入れ替えられるものではなく、会社によっては社外のサービスを使っているところもあり、なかなか導入がむずかしいものです。しかも、本格的な製品は非常に価格も高いものです。さらに、管理も全社レベルで行うため、個別の対応はやりにくいのが現状でしょう。

BridgeFilterは、単にネットワークケーブルに挿入するだけで、そこを通過する通信に対してだけ効果があるということで、導入の敷居を下げ、スポットで対応できるように製品化しました。開発当初のターゲットとしては、たとえば派遣社員の方々からのメールは、社員あてにしか出せないようにする、というような、島単位(HUB単位)で1つ挿入しておくようなイメージを想定していました。また導入しやすいように、コンパクトで安価な製品としました。

なかなか売れなかったので、他の製品に忙しかったこともあり、また、スポット的にコンパクトな環境で使うことを想定していたので、それほど強力な負荷テストはしていなかったのですが、このところ徐々にお問い合わせも増えてきて、ご評価いただいたあとに導入いただけるケースもどんどん増えてきました。

先日あるユーザ様から、宛先制御リストに150件、対象クライアントに80件を登録し、5MBのメールを送信すると遅かったり、動きがおかしくなることがある、と問題の報告をいただきました。対象クライアントが80件というと、BridgeFilterを通過する端末が80台!?ということで、そんなに大量のトラフィックが流れることは想定していなかったのですが、マニュアルなどに制限事項として書いてあるわけでもありませんので、お恥ずかしい話ですが、何とかしなければ、ということになりました。本来は、より大きなネットワークで使うために上位機種を用意すれば良いのですが(Ethdelayは3機種あります)、BridgeFilterはニーズがまだつかみ切れていないもので。。

実際に巨大なメールを送信しながら様子を見たり、背景負荷を高い状態でメールを流してみたりして確認したところ、単にプログラムがデバッグ用のログを出し過ぎているのが原因!と気がつきました。これまた情けない話なのですが、開発時点ではPCのLinux環境で動作確認していて、ログのローテーションサイズが大きい状態でデバッグしていたのが、リソースの少ない組み込みLinuxに入れる際にそのままだったのが問題でした。

更新ファームをすぐに用意し、更新していただければ快適に使えるようにできたのですが、このように製品はできるだけ多くのお客さんに使っていただくことでどんどん良くなるものです。販売数が多いIntraGuardian2やEthdelayはすでに何度も更新ファームをリリースしていますし、他の製品も同様です。とはいえ、製品を発売してすぐに売れ始める製品ならともかく、なかなか売れ出さない製品はこのあたりがむずかしいところで、一般的には売れないならそもそも販売を止める、となるのでしょうけれど、当社は特注品の開発なども受けていますので、製品は技術アピールにもなるということから、できるだけ載せておきたいということもあります。

いずれにしても、開発した本人としては、せっかく作ったものが誰にも使われずに放置されるよりは、少しでも世の役に立って欲しいものです。技術者の観点から見れば、売れて問題が出て対応に困る、というのは、売れずに捨てられるよりは、はるかに幸せ、とも言えるかも知れませんね。

もちろん、問題は、お買い上げいただいたお客さんに多少なりともご迷惑をおかけしてしまうことになりますから、十分なテストは重要ですし、サポートの姿勢もさらに重要なことは言うまでもありません。

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