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プログラミングでメシが食えるか!?

回線遅延シミュレータ:Ethdelay

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また製品の宣伝かい?って思われてしまいそうですが、そうではなく、技術関連のお話しということで。。

組み込みLinuxの汎用ハードウェアである、Armadilloシリーズを使った製品を昨年3つリリースした中で、一番まともで元々ある程度は売れると思って取り組んでいたのが不正接続検知システムのIntraGuardianで、すでに数百個という単位で販売してきましたが、意外と反響があってビックリしたのが、今日紹介する、回線遅延シミュレータのEthdelayです。

回線遅延シミュレータは、二つのネットワーク機器の間に挿入し、わざとパケットを捨てたり、遅らせたりするような装置で、回線品質が悪い場合のシステムの挙動をチェックするのが主な用途になります。従って基本的には一般向けという感じではなく、技術者向けという製品です。

仕組みとしては簡単で、二つのネットワークインターフェースを装備したLinuxマシンを用意すれば簡単に自作もできます。片側から受信したパケットをもう片方から送信する際に、遅延・ロス・帯域制限などを行えば良いだけです。実はソフトウェア製品としては数年前から会社のホームページには紹介していました。実際自分たちでVoIPのエンジンを作る仕事の際に使ったりしたものを、技術アピール的に掲載しておいた感じです。

その後たまに問い合わせをいただいたりしたのですが、Linux用ソフトの提供という点がかなり抵抗があったようで、Linux環境を用意するのが面倒という感じでしたので、組み込みLinuxのArmadilloのネットワークインターフェースが2つついたタイプを見た際に、これに組み込んでアプライアンス化しようと言うことになり、WEBのユーザインターフェースを追加してEthdelayとして製品化しました。

これが意外と反響があり、問い合わせいただいて実際にお買い上げいただく割合はほぼ10割という感じです。実は回線測定関連の装置は専用ハードウェアの製品がほとんどで、非常に高価なのです。数百万円から数千万円します。Ethdelayはたったの59,800円です。数百間年の装置はもちろん高性能で高精度な測定ができますが、Ethdelayは非力な組み込みLinuxで実装しているので、性能も精度も良くありません。しかし、本当に高性能で高精度な測定がいつでも必要と言うことはなく、まずはプロトタイプを気軽に試してみて、技術的に行けるかどうかを判断したい場合や、細い回線でどうなるかを見たい場合などでは十分役に立つ場面もたくさんあるのです。我々ネットワークプログラマーであれば自作してしまうことも多いのですが、ハード屋さんや回線屋さん、ユーザの方などの場合は安くて手軽な製品を探していることも多いようです。

細い回線のシミュレーションは59,800円のEthdelayでかなりいろいろ検証できるのですが、お問い合わせで多いのは、もう少し高性能なシミュレーションも行いたいという内容です。Armadilloを使ったEthdeayは最大で約10Mbps程度しかスループットが出ません。せめて100Mbps程度までは測定したいという要望や、数百Mbpsまで、というご希望が来ています。そこでもう少し高性能なハードを使おうと、このところいろいろ検討してます。ギガビットイーサのネットワークインターフェースが最低3個ほしいところで、なかなかそういうコンパクトな高性能機はないものです。一応いくつか候補はできてきて、中にはネットワークインターフェースを6個持っていて、自分で自分に負荷をかけて測定するという、シミュレーションだけでなく測定まで1台でできるようなハードも検討してまして、なかなか技術的に楽しんでやってます。

どのような感じに製品化できるかは、まだこれからいろいろと検討が必要ですが、技術者向けの製品でもありますし、個人的には勢いでどんどん出したいな、と思っているところです。マニアックな製品ですが、技術面では結構楽しい分野です!

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