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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

・箇条書きスライドで注意したいこと

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昨日の続きです。
パワーポイントというツールの功罪については、雨宮俊彦さんという方が公開してくださっている「パワーポイントの認知スタイルの評価」(←論文一覧ページへのリンクです)という日本語の論文を紹介するに留め、今日はパワーポイントの話でなく「箇条書き」というスタイルがしばしば分かりづらいと言われる理由を考えてみました。

いくつか理由はありそうですが、最大の問題だと個人的に感じているのは、論理展開(大げさ?)が曖昧になってしまうところ。

例えば、サンダーバーズという野球チームを評したスライドがあったとしましょう。箇条書きの部分は同じであることに注目。

  • 圧倒的に強いサンダーバーズ
    • ベテラン揃いの投手陣
    • ホームラン打者揃いの重量打線

と書いても、

  • 疲れの見えるサンダーバーズ
    • ベテラン揃いの投手陣
    • ホームラン打者揃いの重量打線

と書いても、

  • バランスを欠いたサンダーバーズ
    • ベテラン揃いの投手陣
    • ホームラン打者揃いの重量打線

と書いても、なんとなく意味は通じます。ただ言わんとしていることはそれぞれ違います。
二番目であれば「ベテラン」「重量」という辺りから、「選手の高齢化(若手不在)」を指摘したいのかもしれない。
三番目であれば「ベテラン揃い」「ホームラン打者揃い」という辺りから、「攻守ともパターンが単調になりがち」と言いたいのかもしれない。
上記のようなシンプルな例だと、下の箇条書きから上のメッセージへの展開を後追いすることは簡単です。しかし、読み手にとって目新しいテーマだと、5つ6つと連なった単語レベルの箇条書き群から帰納的にメッセージを導くことは難しかったり、誤解を招いたりすることがあります。

スライドを見ながら説明を聞いていたときにはよく分かったのに、後で資料だけを読み返すと、なんだか納得度が下がったことはありませんか(かくいう僕も、自分の発表資料を後から読み返してそう感じることがしばしば…)。

僕自身の経験(聞き手としても、話し手としても)からすると、その原因はこういう「なんとなくつないでしまった論理」の周辺にあるように思います。もちろん、きちんと考えきって書けばいいのでしょうが、箇条書きにすると端的にまとまっているように見えちゃったりして、(特に書いている本人が自分で)推敲するのは難しいですね。


(じゃあどうすればいい?という話は、またいつか)

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