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アップルvs.サムスン特許訴訟の東京地裁判決(2012年8月31日)に関して弁理士・松倉秀実先生に解説してもらいました

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8月末に、AppleとSamsungの国内知財訴訟で東京地裁の判決が出ました。

多くのメディアが報道しましたが、「サムスンがアップルに知財係争で勝訴した」という1つの事実でしかなくて、それは、海外での訴訟判決やら何やらで想像をかき立てて、読者・視聴者をミスリードしていたのではないかと思い、TwitterやFacebookで少しだけ書いたのですが、懇意にして頂いている、秀和特許事務所の松倉先生から、この係争に関しての解説をして頂き、AppComingのほうに記事として掲載させて頂きました。

知財系のお仕事はしたことがありますが、専門家ではないですし、係争についても当然ながら素人なので、私がとやかく言う話ではないかもしれませんが、思い起こせば1年ちょっと前にも、『ITmedia海外速報部オフライン』イベント(http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1106/07/news003.html)で、佐藤さんのおまけで登壇して、パテントの話でもりあがった事を思い出しました。http://blogs.itmedia.co.jp/katabami/2011/06/itmediaitmedia-8eb9.html

素人だから知りたいという事もあるので、私的に、こういった知財係争のケースでのチェックポイントをあげると、

  • 何に関する係争なのか?
  • どの知財に関する係争なのか?
  • 判決が出た裁判は、どのステージなのか?

と、大きく3つを気に掛けています。

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『何に関する』
具体的な訴訟内容で、技術的な侵害なのか(大企業であれば特許であり、中小含めれば実用新案まで含まれるかもしれません)、デザイン的な侵害なのか(意匠)、ブランドの侵害なのか(商標)、ソフトウェアそのものの侵害なのか(著作権)という、知財の特許・実用新案・意匠・商標(いわゆる特実意商)+著作権の何れかという点です。

例えば、アップルとサムスンのケースでは、iPhoneとGalaxyが似てると係争していれば、それはデザインなので意匠に関する係争となりますが、今回は、『iTunesとKies』に関する、しかもその一部の機能に関するものだったわけです。 多くの人は前者のデザインに関する訴訟だと勘違いしていたのではないか?と感じましたが、記事にもあるように、係争であれば、判例がネットで検索ができます。

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『どの知財』
具体的な登録されたパテントまたはソフトウェアそのものについてです。今回でいえば、『特許出願番号 特願2003-538957 特許登録番号 4204977』の特許が一体どういったものなのか?です。 これも、記事にあるように、ネットで検索できます。

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『どのステージ』
地裁・高裁・最高裁のどの段階かということで、地裁の判決だけでは、上訴(控訴・上告)するかどうか、上訴した際にそれが棄却されずにケースとして進行していくのかどうか・・・という事です。

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Apple信者であろうとなかろうと、Galaxyファンであろうとなかろうと、昨今のニュースにあるような近隣国との関係・問題により『反●●』であろうと、正しい理解できるような報道がなされれば、SNSなどによる誤った情報の拡散はかなり避けられるのではないかと思いますし、SNSの拡散能力を考えるれば、ミスリードされそうなニュースについては、もう少しだけ、重要なポイントを押さえて報道してもらえたらいいのにな、と感じています。

興味ない人は、ヘッドラインだけで判断するから、結局は一緒なのかもしれませんが、自分は、そういった誤りを拡散しないようにと、少しだけ心がけているということで、どなたかの参考になれば幸いです。

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【謝辞】 本ケースの解説にご協力頂いた、秀和特許事務所 弁理士慶應義塾大学 特任教授の松倉秀実先生に、感謝申し上げます。

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