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AR(拡張現実)『セカイカメラ』の頓智ドットがKDDIから4.5億の調達。セカイで戦うソフトウェアベンチャーに重要なシリーズA投資の事例では?

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久々に、『グローバル&キャズム』カテゴリのブログを書くモチベーションが高まりました!

KDDI:「セカイカメラ」の頓智ドットに出資、開発支援 :Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920013&sid=aBT_s.W2Mq6w

『日経は出資額を4億5000万円と報じているが、同氏は現時点で出資額は明らかにできないとしている。ただ、頓智を「持ち分法適用会社にはしない」と述べていることから、出資比率は2割未満の見込み。』

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日経の記事原文を読んでおらず、また、KDDIおよび頓智・からのリリースが出るまでは慎重にと思っていたところ、Bloombergでは『出資額は明らかにできない』という取材をされており、本ブログを書く時点では不確定な情報ではありますが、素晴らしい!ですね。

以前より、日本のソフトウェアベンチャーが、セカイで戦うには、北米に負ないファイナンスが必要だと述べてきたのですが、当然ながらセカイでスケールすると思われるソフトウェアベンチャーが少ないであろうことも事実で、ニワタマだなぁとなるわけですが、このニュース、とても重要な出来事だと思っています。

そのポイントとして、以下の3点に注目しています。

  1. ファイナンスのタイミングとサイズ
  2. 出資元が事業会社なのに縛られない
  3. そもそも、海外で評価の高かったソフトウェア(ビジネスモデル)

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1. ファイナンスのタイミングとサイズ

海外での高い評価→プロトタイプ→AR Commonsを中心とする普及活動→製品の開発完了→キャリアでの採用→クロスプラットフォーム対応→シリーズAでの巨額な第三者割当による調達

という大まかな流れがあるかと思いますが、少人数でのスタートアップとはいえ、大規模な調達せずに、アプリケーションを開発し続け、サービスを提供することは、並み大抵のことではないかと思いますが、そこを乗り越え、携帯にプリインストールという重要な実績まで積み上げた後に、シリーズAでの調達を実現しているわけで、セカイでスケールするモデルであるからこそ、事業・業務での提携に留まらず、今回の投資に至ったのであろうと推察できます。

打ちだす → やる → 得る

当たり前のようでできていないでしょうし、あまり、事例がないのでは?と思います。

2. 出資元が事業会社なのに縛られない

これは、リリースをネット上で見ていて、記事原文やプレスリリースを見ていないからでもありますが、KDDIによる出資となると、他キャリアの端末で使えなくなるのではとか、様々な懸念が湧いてきます。

しかし、Bloombergの取材による『頓智を「持ち分法適用会社にはしない』という点や、以下の井口さんとのTwitterでのレスポンスを見ても、縛りは無いのだということで、安心しましたし、KDDIも素晴らしいディシジョンをされたと思います。

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こういったサイズのファンドレイズができて、日本のソフトウェアベンチャーが、セカイで戦う第一歩。但しVCでなく事業会社であることが残念であり、また他キャリア端末での利用ができることを@iguchiJPさんに期待  http://bit.ly/cFBNq2 #sekaicameraless than a minute ago via TweetDeck

@ykatabami 記事をよく読んで頂けると、全く縛りがない事が記載されています。less than a minute ago via web

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3.そもそも、海外で評価の高かったソフトウェア(ビジネスモデル)

日本では、スケールしそうなモデルでも、ネガティブな突っ込みが多く『ほんとに実現できるの?』という懐疑的な突っ込みを受ける事が多いと感じています。逆に北米では『どうやったら実現できるの?』という成功するために何をするのかという点で、ポジティブな疑問・質問が多いと感じています。
この2つの言葉は、字面は似ていますが、まったく逆の意味で捉えられますから、日本の起業家が萎えてしまったり、あきらめてしまったり、モデルを変えて調達を優先させたり、セカイで戦う士気を損なうような事になりかねないわけです。

ところが、頓智ドットとしては、世界での評価が高かったことで、『やる』『できる』という高く強い気持ちでこの1年間を過ごして来られたのだろうと思いますし、素晴らしい経営者としての『心』と、実現していく『チーム』としての強さと、更にそれを支える『エコシステム』により、突っ走る事ができたのでしょう。(勝手な想像ではありますが。)

そして、次のファイナンスは、海外からの調達で、そのまま海外展開までも加速化なんていうことがあれば、いいですね。(KDDIといえばQualcommですが、OrangeとかTelenorとか、広がる方向で・・・)

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今後、このケースをリファレンスモデルとして、セカイで戦うソフトウェアベンチャーが、ガンガンと輩出され、そして全てとはいかずとも、いくつもの成功企業が生まれることを願い、私自身もその周辺にいますが、『エコシステム』に必要とされる存在でありたいと、心新たに頑張ろう!と思うニュースでした。

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◆KDDIによるプレスリリース
 『KDDIと頓智・の資本提携について
 ~携帯端末におけるAR事業の協業推進について~』
 http://www.kddi.com/corporate/news_release/2010/0805/index.html

 ※正確な出資金額は『448百万円』と記載されております。

◆頓智ドット株式会社(頓智・)
 http://www.tonchidot.com/index.html

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