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仕事に絡んだ四方山話などを徒然にと思いつつも、読んで興味深かった本ネタが多くなりそうでもあります。

【ブックトーク】必要な人に必要な情報を。/『グーグル10の黄金律』

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 つい先日、facebook が10周年を迎えて、楽しい体験などもさせてもらいました。創業者であるザッカーバーグ氏の想いの根底にあるのは確か、“全ての情報をつなぎたい”だったかと思いますが、それを受けてふと思い出したのが、こちらになります。

 『グーグル10の黄金律』(桑原晃弥/PHP新書)

 ライバルと言うには若干レイヤが異なる気もしますが、広義での“情報”を扱うとの意味合いでは、同じかなと。そんな風に思うのは、Googleのあり様が集約されたこちらがあるからかもしれません。

 “世界中の人が世界中の情報を無料で手に入れて有効に使えるようにする”

 で、そんな想いを実現するためのGoogleの理念(黄金律)が「10カ条」としてまとめられています。それぞれに納得のいく理由が示されていて、フムフムと読みいってしまいました。

  曰く「採用は全委員で」
  曰く「あらゆる必要を満たせ」
  曰く「一カ所に詰め込め」
  曰く「調整が容易な環境を」
  曰く「自社製品を使わせろ」
  曰く「創造性を奨励せよ」
  曰く「合意の形成に努めろ」
  曰く「邪悪になるな」
  曰く「データが判断をもたらす」
  曰く「効果的なコミュニケーションを」

 そして、ストンと腹落ちしたのがこちらのフレーズ。

 “人は収入のためだけに働いているのではないと感じた時、
  内に秘めた創造性を発揮する”

 「公益」や「社会的有用性」を意識しているのと思いますが、これは、、冷戦崩壊後の新自由主義の名のもとでの「自分(自社)」だけが儲かればよい、企業なんだから「利益」だけ上げればよいとの結果の限界に、いち早く気づいていたからでしょうか。

 それだけではないと思います。

 それ以前から“人々の快適な生活のためにとの想い”との理念が埋め込まれていて、そのような“先見”は、今現在、会社などに代表される組織(共同体)が必要としている“資質”ともリンクしていていたからこそではないかなと、そんな風に感じます。

 そして、この先に立ち向かっていく必要があるであろうことを、“最も厳しい格差は「情報格差」”との言葉で表現していて、個人的に強く共感しました。さて、これに対する回答はどのように出していけばよいでしょうか。

 ん、“インフラ”としての情報基盤を持たない人々に、どのような形でその“基盤”を提供していくのか、との点にまずは着目すべきと見ています。そういった意味では、生涯学習施設に集約させていくべきなのしょう、実際に欧米ではその流れになっています。

 翻って日本ではと思うと、まだまだだなぁ、、との実感が先にたちます(予算も削られる一方ですしね)。この辺りにどうアプローチしていくのかを悩んでいるだけに、なんともスルッと入ってきて、様々な示唆を与えてくれました。Googleの“次”がどうなるのか非常に楽しみである、そんな風に感じた一冊です。

【あわせて読んでみたい、かもな一冊。】
 『つながる図書館』(猪谷千香/ちくま新書)
 『増補改訂版 なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』(青木高夫/ディスカヴァー携書)
 『「戦略力」が身につく方法』(永井孝尚/PHPビジネス新書)
 『フェイスブック 若き天才の野望』(デビッド・カークパトリック/日経BP社)
 『スティーブ・ジョブズ』(ウォルター・アイザックソン/講談社)

【補足】
 “社員一人ひとりのアイデアを集め、昇華させてこそ、
  イノベーションと言うにふさわしいアイデアが生まれる”

 そうそうこちらについて、、“集合知”や“セレンディピティ”ともシンクロすると思います。ちょうど同じタイミングで読んでいた『「戦略力」が身につく方法』ともリンクして、印象に残っています。

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