仏ADSL事情ーー普及進むが市場の淘汰も進む
フランスの電子通信・郵便規制機関、ARCEPによると、フランスのブロードバンドサービス加入者数は2006年末、1270万人に達したという。ADSLはこのうち1200万人。
2006年の新規加入者数は320万人となり、2005年の数字(290万人)を上回った。ブロードバンドは順調に普及しているといえる。ADSL加入者のうち、France Telecom(FT)と契約をしないアンバンドルサービスの利用者は212万人。
これまで光ファイバーに慎重な姿勢を示してきたFrance Telecomが先日、この3月より「La Fibre」として光ファイバーサービスを強化しはじめることを発表しているが、当面はADSLの普及が進みそうだ。なお、FTでは「La Fibre」で、2008年末までに15万~20万人の顧客獲得を目指している。
ADSLの普及が順調に進んでいる背景には、ISPの価格競争がある。多くのISPは、インターネット、電話、TVの3つを29ユーロ台で提供しているが、体力のないISPや外資系が少しずつ市場から撤退している。以前このブログでも紹介したAOL Franceに続き、今度はドイツのDeutsche Telekomが仏ISP事業であるClub-Internetの売却を進めているようだ。報道によると、AOL Franceを獲得したNeuf Cegetel、Freeのサービス名で知られるIlliadなどが名乗りをあげるようだ。Club-Internetの加入者は100万人。そのうち、ADSLは50万人という。
フランスのADSLは日本と比べると、設定・インストールに時間がかかり、サポートに問題が多いように感じるのだが、Club-Internetはインストールなどのサポート面で差別化を図ろうとしていた。私の友人は、昨年8月にFreeに申し込んだが、インターネットが開通したのはその4ヵ月後の12月末のこと。これを聞くと日本の人は驚くだろうが、ここではそれほど珍しい話ではない。技術サポートへの電話がなかなか通じない、料金が高いなどサポートに関して消費者の不満も高い。この話はまた別の機会に。