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フランスの天気予報?

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追記:フランスの若者の間で出回っている風刺画。実際のTV放映ではない。

友人から右の画像が添付されたメールを受け取った。思わず吹き出してしまったが、笑いごとではない。

日本でも報道されている通り、フランスは現在非常事態にある。10月27日、パリの北郊外で暴動が起きてから、すでに14日が経過。政府は警備に当たる警察官を増員し、鎮静を呼びかけているが、騒ぎが収まる気配はいまだ見えないようだ。

私が住むパリ市18区北部は、残念なことに治安が悪い。地下鉄の駅付近には、なにをしているのか分からない若者が常時たむろしているし、その先に広がる蚤の市はスリの名所でもある。ちなみに、狭い道路にはものすごい頻度で犬の糞が転がっているので、いろんなところに注意しながら歩くのが得意になった気がする。

わが家から10分も歩けばパリ市は終わり。その先は郊外住宅地が広がっている。わたしの住むアパートで、3世代前までさかのぼってもフランス人だろうなと予想できる人は、ものすごく少数。私を含め肌の色が違う人はもちろん、イスラム系の人、ポルトガルや旧東欧の人も多い。危険な地域にいるはずだが、幸いなことに、これまで車の放火などの現場に遭遇したことはない。ただ、パトカーがしょっちゅうサイレンを鳴らしながら走っており、街全体に悪いムードが漂っている。

今回の暴動発生を受け、仏政府は8日、夜間外出禁止令を発令できる権利を国内の県知事に与えた。発令されると、その地域では、大人同伴ではない16歳未満の人は夜10時以降に外出が禁じられる。政府のこの緊急対応に対するフランス人の反応は好意的で、地元紙『Le Parisien』によると73%が夜間外出禁止令に賛成の意を示しているという。

112005_001_s今回の問題は突然というわけではなく、私がパリにやってきた3年前の時点ですでに、政府とイスラム系移民の間の緊張はかなり高まっていた。ついに起こったという感じがしないでもない。そういった緊張とは無縁の私でも、フランス政府の外国人に対する扱いはひどいかな、と思うときがある。自由・平等・博愛をうたっている国とは思えない、と感じたことも何度か・・・(でも、外国に住むというのはそういうことかとも思う)。歴史、宗教などさまざまな要素が入り組んだ複雑な問題に政府がどう対処するのか、問題解決はそう簡単なことではないだろうが、希望を失わないことが大切だと一外国人として思っている。

なお、今回の暴動、コンピュータやインターネットも大いに利用されているようだ。暴動がパリ郊外から国内全域に飛び火した背景には、Webサイトでの呼びかけがあったようだし、チームを組んだ若者は携帯電話を使って状況を知らせあいながら放火などを起こしているという。政府側もサイバー上の監視活動を強めている模様で、7日、ブログ活動により人々を動員し、騒動を悪化させたとして、警察は3人の男性を逮捕したという。

*写真は、夕方に近所を走っていたパトカー。

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